大正生まれの祖母は

とても元気でした

 

身体の動きは

不自由になってきましたが

頭はしっかり働いていて

 

耳が聞こえにくく

何度も聞き返しては

来るものの

 

毎日 沢山の会話を

家族と楽しんでいました

 

 

 

この日も

私が側に座っていると

 

祖母は ゆっくり

いつもの様に

ニコニコしながら

話を始めました

 

 

「執着は 怖いね

 人を狂わせるから

 正しい判断が出来なくなるね

 

 執着があるなら

 全部捨てちゃった方がいいね

 

 何も無ければ

 執着もなくなるからね

 

 

 

 それからね

 同情は愛情では無いからね

 

 それは相手にとって

 とても失礼なこと

 あなたにとって

 必要のないもの

 

 相手が考えて

 相手が決めなくては

 いけないことを

 

 あなたが

 同情しているなら

 

 その同情は

 あなたにとって

 害になるものだからね

 

 同情を渡して

 お返しに

 執着をもらっちゃうから

 

 怖いね

 

 

 だからね

 色々な物が

 ぐちゃぐちゃになったらね

 もう 何一つ

 確認なんて しなくていいから

 

 もっと もっと

 両手で ぐちゃぐちゃって丸めて

 ポイって

 ゴミ箱に捨てると

 綺麗になるからね

 

 あとは

 パンパンって叩いて

 それで終わり

 

 

 

 人間っていう生き物は

 余計なことを

 考えすぎ

 抱え込みすぎ

 

 私は そう思うの

 

 

 全てを手放すから

 見えてくることがある

 

 何もないから

 心がきれいになる

 

 全てを手放して

 真っ新になったら

 

 新しい人生が

 もう一度 始まるよ

 

 

 だからね

 先ずは手放すこと

 最初に 捨てること

 

 あなたの心のポケットを

 空っぽにしたら

 

 そこには 大きな夢が

 入って来る

 

 それは いくつになってもね

 お祖母ちゃんになっても

 同じよ?

 

 夢の内容がね

 変わってくるだけ

 

 私のポケットにも

 夢がいっぱいあるのよ

 

 内緒よ?

 

 

 

 毎日想像すると良いね

 

 幸せなキラキラの光を

 想像していくの

 

 キラキラ光る

 未来を考えると

 そうなるの

 

 

 またきっと

 悪い結果になるんだろうな

 

 そう思った瞬間

 シュッとその悪いものが

 やって来ちゃうからね

 

 気を付けないとね

 

 

 悪いものはね

 隠れていても

 隠そうとしても

 ちゃんと

 気付いてやってくるから

 

 怖いね~

 

 

 

 楽しいことだけ

 信じようね

 

 キラキラした自分を

 信じていようね

 

 あなたは

 キラキラ輝くのよ

 

 そう信じようね

 

 必ず そうなるから

 

 想像が そのまま

 あなたに成るからね

 

 それを 覚えておいてね

 

 

 

 そして やっぱり

 感謝だね

 

 生かされている毎日に

 感謝だよ

 

 前も言ったね?

 

 感謝 感謝

 

 自分に感謝

 

 毎日 感謝」

 

 

手を合わせながら

祖母は こんなふうに

私に話をしてくれました

 

 

私達の会話が

聞こえていたのか

どうなのか

 

 

祖母は

長い長い 自分の人生を

振り返るように

話をしてくれて

 

その話は

しっくりと

私の胸に溶け込み

 

 あなたの判断は

 間違ってないよ

 

そう 言ってくれて

いるようで

 

 

いつの間にか

祖母のこの話に

 

家族も皆

耳を傾けていました