仮面病棟を読んだ後なので、こちらもサスペンスものか
ホラーものと思い込んで・・・
「閉鎖病棟」 帚木蓬生著
内容紹介
とある精神科病棟。重い過去を引きずり、家族や世間から
疎まれ遠ざけられながらも、明るく生きようとする患者たち。
その日常を破ったのは、ある殺人事件だった……。
彼を犯行へと駆り立てたものは何か? その理由を知る者
たちは――。現役精神科医の作者が、病院の内部を患者の
視点から描く。淡々としつつ優しさに溢れる語り口、感涙を
誘う結末が絶賛を浴びた。山本周五郎賞受賞作。
精神病棟と聞くと、怖いような想像もつかないような。
でもこれを読むと、自分たちと彼らは確かに地続きで
あるのだと思う。見下したり遠ざけようとしたりすることは
いつ自分の身もそういう目に合うのかわからないという事に
思い至らないと。
いつの間にか、患者のチュウさんの視点になっている
事に気づく。
その悲しみや怒りは計り知れない。
しかし平凡に見える入院生活でも少しづつ変化が起き、
また大きな事件も起こり、チュウさんを自立の道へと
目覚めさせるようになるのだ。
患者さんによってその症状に差があるので、一概に
閉鎖病棟、反対とは言えないが、いいお医者さんや
受け入れる人さえいれば、健常者と同じ地面に立って
生活ができることもあるのだ。
なかなか難しいのだろうけど。
読後感はとてもさわやか。でも想像すると物凄い孤独感だ。