まさか、新訳が出るなんて!
「街への鍵」 ルース・レンデル著
内容(「BOOK」データベースより)
メアリは白血病患者のために骨髄を提供した。
だが、それが恋人の男の怒りをかう。彼女の美しい
肌に傷がついたと、身勝手な理由で男はメアリを
責め―暴力をふるった。家を出た彼女は、過去を
ふりきるように大胆な行動に出る。
素性もよくわからぬ骨髄の提供相手に会うと決めた
のだ。そこにいたのはレオという優しく繊細な男性。
メアリは次第に彼に惹かれていくのだが、それが
悲劇の始まりだった。その頃、街では路上生活者を
狙った殺人が起き…不穏さを物語に練りに練り込んだ
“サスペンスの女王”による傑作。
とっても丁寧な人物描写が魅力。
どうしてこんなに、一人一人の性格や考え方、行動しそうなこと
が想像できるのだろう。
メアリを中心に、犬の散歩を生業にしているMr.ビーン、
一時的ホームレスのローマン、薬漬けのホブ・・
みなまったく違う境遇。暮らしぶり・・・
もともとルースレンデルはミステリーにというよりこんな
表現力に魅かれて読んでいる。
しかも真相は本当のギリギリまでわからない。
日本では死後の発表となったが、じつは20年前の作品
だそうだ。
「ロゥフィールド館の惨劇」ほどの毒はないが、薄幸の
女性メアリが、怒りを覚えることで自立していく様子や
ローマンとの友情の予感。
また最後6~7ページにみせる圧巻のサスペンスは
実にお見事!よっ!女王様~
ひと頃は大変多作だった彼女。もしかしてまだ未訳の
作品はないのかしら。
また、ポケミスで読みたい。(やっぱりポケミスよね~)
ローマンはとっても気になるキャラクター。このまま路上生活者として
人間観察しながらミステリーを解決!というのも面白かったかも。
あ!隅の老人っぽいのか!