ジュリエットはいずこ | 三龍建築士

三龍建築士

BOX・ドラマ・映画・・・ときどき読書(笑)の日々に変更~

最近になく、ちょっと近未来SF小説。


「ロミオとロミオは永遠に 上・下」

                     恩田陸著







内容(「BOOK」データベースより)

日本人だけが地球に居残り、膨大な化学物質や
産業廃棄物の処理に従事する近未来。
エリートへの道は唯一、「大東京学園」の卒業総代に
なることであった。しかし、苛酷な入学試験レースを
くぐりぬけたアキラとシゲルを待ち受けていたのは、
前世紀サブカルチャーの歪んだ遺物と、閉ざされた
未来への絶望が支配するキャンパスだった。
やがて最下級の「新宿」クラスと接触したアキラは、
学園の驚くべき秘密を目にするが…。

日本人だけが、というのがすごい設定。
どんだけくじ運が悪いんだろう。


高校生男子が主人公とあって、設定とかもどこかで

見たような、と思ったら、数年前に読んだ桐野夏生の

「優しいおとな」と似てるんだね。

アングラな世界とか。


でも、この小説が面白いのは滅んでしまった昭和の

サブカルチャーへのオマージュであるところだ。


ワタシ達は、この手の話題にどっぷりつかって

オンタイムに育ってきた。

出てくるもの出てくるもの、みんな覚えがあって

愛着があって、なつかしいだけじゃなく、その時の

自分の個人的な思い出までゾロゾロ引き出す

装置となってしまう(笑)


だからと言って話の本筋自体も、バトルロワイヤル

みたいで引き込まれ、最後まで興味は尽きない。


なんで大東京学園なのか、彼らはどこに行ったのか

結局はわからないのだが、作者自身がこのタイトルの

意味さえあとづけもできないという事から、もしかして

近未来のどこからか神が下りてきて作者に書かせた

のでは?と思わせるおもしろい物語だった。


キャラクターの中ではアタミ君は秀逸!

映画にするなら誰が演じるだろうなんてまた考えると

楽しい。








この設定だとキョウコがジュリエットで、2人のロミオがいるって

事かな?