「去年の冬、きみと別れ」がイマイチだったん
だけど、どうも他の作品の方がとても評判が
いいので、読んでみた。
「銃」 中村文則著
これはデヴュー作なんだね。
思いがけず、銃を手に入れてしまった主人公が
その存在自体に魅了され、崩壊に向かってゆく。
そこへ向かう心理状態が、読んでいるワタシ達をも
巻き込み息苦しいほどの誘惑にさらされる。
普通に考えたら、偶然銃を手に入れた人がいたずらで
ネコを撃っちゃって・・てな話なんだけども。
凶器を持つと、その妖気によって人を殺したい欲求に
駆られる・・・妖刀村雨とかってあるよね。
刀が血を呼ぶ。
宇野千代もこのモチーフで書いてる。
何の気なしに買った包丁。怒り狂った男に
思わずその刃先を向けてしまう女。
もしかしたら、この状況は包丁が作ったものでは?
潜在意識では、買うときに殺意があったのでは?
と考えてしまう、人間心理の恐ろしさ。
「銃」では、その狂気に向かってゆく過程が
鬼気せまる様子で細部にわたって描かれていた。
な~んだ、こっちの方が全然面白いじゃん。
デヴュー作のイキオイって事もあるだろうけど、
じゃあ、この次もいってみよう!
こんな所じゃ、銃なんてゴロゴロ。その代わり自分だって身の危険が