トウトウと流る | 三龍建築士

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BOX・ドラマ・映画・・・ときどき読書(笑)の日々に変更~

映画で観た「かぞくのくに」

原作も読みたいと思って、早速。


「兄 かぞくのくに」  ヤン・ヨンヒ著


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現実には、作者には3人の歳の離れた兄がいる。

恐るべき事に、その3人共を帰国事業で北朝鮮に返している。


普通は、長男や一人っ子は勘弁してもらえるらしいが、両親ともに

熱心な北の信望者で、始めに次男三男を帰国させ、なぜか後から

長男もと乞われて、しぶしぶながら承諾して送ってしまったと言う

ことだった。


当時の暮らしが、それほど良くなかったのかもしれない。

地上の楽園と言う言葉を信じ、従ってしまった。


一人残された妹は、反発を覚えながらも、周囲のココロを思い、

始めは黙って我慢する。



びっくりしたのは、映画と違って、兄を訪ねたヨンヒさんは、

何回か北に渡り、意外に兄たちとフランクな、楽しい時間を過ごしている。

映画では標準語で話していたが、彼らはもともと関西人で

会話も関西弁。

なので、不幸な境遇も、吉本のノリで結構笑い飛ばしちゃったりするのだ。


両親の仕送りや、熱心な活動もあって、兄たちの所帯も、ピョンヤンでは

暮らし向きは良い方なのだ。



それでも、結局長兄は精神を病み、次男は進んでいない医療のために

2番目の妻に先立たれ、映画のモデルとなった三男は映画の通り、

日本に来たが、脳腫瘍を治すことなく北に帰った。



幼い甥や姪も思いやって、気をもむヨンヒ。

兄たちの「お前は好きなように生きろ」と言う言葉に押され、

自分は自由に世界中を見て人々の暮らしを見てやろうと、役者や

映画制作をするようになる。



彼女は、自分の家族の事を世界中に発信する事によって、北には

入国禁止になってしまったが、きっと兄たちは揃って

「すげえな、ヨンヒ」

と苦笑交じりに言っているに違いない。



ただ、このようになって、お兄さんたちは、周りから批判されて

いないのだろうかと心配。

著者もきっと、それが一番の悩みに違いないと思う。



こんな事、早く終わって欲しい。

歌が好きで、ジョークが楽しくて、妹をこんなに思ってて・・・

こんなお兄さんたちが不幸になって良いわけがない。





万景峰号を見送るくだりは、(特にコノ兄)悲しくて涙が出た。汗
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