「ミステリアスショーケース」ティヴィッド・ゴードン他
ポケミスといえど、コレはミステリーの名手達を集めたアンソロジー。
今をときめくデビッド・ゴードンをはじめ、大御所の
トマス・H・クックまで、個性あふれる短篇がぎっしり
ただ、ミステリーと思って読むのはちょっとはずれかも。
クックは「彼女がくれたもの」。ありえねーと思うような
展開だがそれぞれが抱える空虚感を探りあい、違う方向を
見ながらも寄りかかりあう男女の姿が印象的。
どん底な話だけど、オシャレなカンジ。ハードボイルドみたいな
西部劇の世界や、南北戦争の話もあった。
ダグ・アリンの「ライラックの香り」 。
思い出したけど、ヤンキーって北軍の事を指すんだよね。
今じゃ、不良っぽい子の事だけど。
南北戦争当時の人々の話。風と共に去りぬでなんとなく知ってる。
市井の人たちのなかにはこんな事もあったのだろう。
キツイ結末にむせかえるように立ち昇るライラックの香り。
印象的。
中でも、一番良かったのは今上り坂のデヴィッド・ゴードン。
「ぼくがしようとしてきたこと」
「クイーンズのヴァンパイア」の2作。
前者は作品を書いてない作家に近づく女子大生。男のアホさ加減が
可愛らしい(笑)。
後者は病弱で空想好きの少年と、ヴァンパイアになりきった老人の
つかの間の交流。老人の孤独と、少年の寂しさが歩み寄る様子が
美しい。
どの作品も、とても地味だが味わい深い。ミステリーと言うより、
ブンガクだねー。
デヴィッド・ゴードンかー、・・・「二流小説家」も読んでみようっと