ややっ!すばらしい一夜だった
尊敬する作家の一人、水村美苗先生の講演会に行ってきた
先日出版された「母の遺産」の出版記念
テーマは「文学と人生の不思議な関係」で、水村先生と
最近では映画「マイバックページ」の原作者として知られる
川本三郎氏が出演者だ。
水村先生と言えば、 「本格小説」がおなじみ。
もちろん漱石の明暗の続編として描いた「続・明暗」など
も有名。
私は「本格小説」が好きで、何回も読み返しては感動している。
嵐が丘を日本語で書いたら・・と言う試みで書かれているが
本家の嵐が丘なんかよりず~~~っと面白い。
「母の遺産」は金色夜叉を下敷きに、新聞小説(通俗小説)を
書いたらどんな風になるかと言う試み。
この作品も初出は讀賣新聞で、まさに新聞連載小説。
オンタイムで読んで、大変面白かった。
このように、実験的というか確信犯的に書くと言う手法は
新鮮だ。
しかも内容は、本当に作者が経験した事にかなりリンクして
いるようで、まさに講演のテーマに沿っている。
この小説を執筆中、実際にお母様の介護をされていたので
原作は先生のおっしゃる”ミもフタもない”現実的な内容だ。
それでも最後はヒロインが前向きに残りの人生を歩み始める
所謂ハッピーエンドで終わっており、非常に良かったとおもう。
講演は、1時間半ほどで、お母様との実際にあった確執や
川本氏の奥様を亡くされた日々のお話など、落ち着いた雰囲気で
進み、(でも、初めは水村先生は緊張されているようだった、
失礼だが、とってもカワイイと思った)最後は、今取り掛かっている
作品などについて語られ終了。
初めてお会いした先生は、写真で見た通り外国生活に慣れたカンジの
オシャレで上品なご婦人だった。
日本が高度成長の頃、先生はお父様の仕事の関係でアメリカに
住んでいたのだ
それでも、その頃の日本の話をアリアリと見てきたように書いている。
不思議だ。
サイン会で、握手もしていただき、大感激
この手であのオハナシを書いたのだなあ~。
ワタシが百万年生きても絶対になれないような素敵な
元祖帰国子女だった