「武士の家計簿」って本は、途中まで面白かったんだけど
途中から、数字が多くなって実はいまだ、挫折中
でも磯田道史氏は、歴史嫌いのワタシに違うアプローチからの
面白さを教えてくれたので、これに懲りずまだまだ「古今をちこち」
とか楽しみに読んでいきたいと思っている。
しかし、考えてみたら映画の方は、亡くなった森田芳光監督
だったことを思い出し、見てみることにした。
挫折したとはいえ、猪山家の加賀藩での地位や、御算用者の
仕事など、読んだ部分が大変役に立って、細かい所は省いている
映画を、補う形になり実際より深く見ることが出来た。
ただの武家の家計簿を見ただけで、アレだけの本を書いてしまう
磯田氏の想像力に驚かされるが、またこの本からこんな可笑しい
映画を作ってしまう森田監督。
さすがです。
代々降り積もった借財で、家計が行き詰まっていく猪山家。
さびしくなってゆく食卓や弁当。
売れと言われた着物を、出しながらやっぱり行李の下に隠してしまう
お母様。
家宝を何とかして高く売ろうとするお父様。
親の葬式の最中に、葬式の費用を計算する息子。
自分の祝いに絵に書いた鯛が出され、無邪気に喜ぶ子共。
↑ 絵に描いた鯛。
それぞれが一生懸命で、そこがおかしくてそしてやっぱりちょっと悲しい。
日常って、感情の爆発や劇的な出来事なんてモノなくても、
必ずそこには沁み込んだドラマがある。
それを描くのがとてもうまい。
残念です。森田監督。合掌