『ソロモンの偽証』 第1、2、3部 (全三刊) 宮部みゆき 新潮社
ある雪の降りしきるクリスマスイブの夜、14歳の少年が中学校の屋上から落下、死亡する。
自殺なのか他殺なのか。
さまざまなしがらみに囚われる、無力な大人たちにはもう任せておけない。
14歳の生徒達が、学校裁判を起こす。
いや~、面白かったです
一冊の厚みが2センチ程あるんですが、それでもイッキ読みしました。
一人の少年の死にからんで、さまざまな関係者が登場。
この少年に、どう関わっていたのか・・・
そして、登場人物それぞれがまた、心の中に闇を持っていて、葛藤しているんですね。
一人の人間の内にひそむ”狂気”。
なんとか自分で乗り越えた、自制できた人。
誰かに助けられ、自制できた人。
周りの助言にも気づかず、耳も貸さず、落ちてしまう人。
・・・・・
『いじめ』も、テーマにされているんですが
誰かの異常に気づき、助けてあげられる人がどれだけいるんだろう。
登場人物の中に、普段はあまり目立たなくて地味なんだけど
その優しさから、いろんな人たちに重宝されていたキャラが何人かいるんです。
14歳の子供ですら、こんな優しさや思いやりを持っているのに
エエ歳した大人の自分には、そんなのがあんまし無いなあと
読み終えた後も、じんわり、またじんわりと思いだし、考えさせられる作品です。
それにしても、宮部みゆき氏はスゴイ
この著者のファンで、今までも何作か読んでるんですが、
『ソロモンの偽証』はその中でも代表作となるでしょう。
それまでは、『模倣犯』が自分の中ではベスト1だったんですが。
時代物、ファンタジー物、コメディー物、ほんとに手広く書かれています。
『ステップファーザー・ステップ』は、コメディーですが、
彼女の作品の中でも大好きな作品です。
(ちょっと前、ドラマ化されましたね)
『日暮し』、『ぼんくら』は時代物ですが、これもじんわりとココロにきます
主人公のイメージが、藤田まことさんにどうしてもダブッていました(笑)
どの作品もとにかく、状況描写・心理描写がすごいです。
次は『英雄の書』を読もうかな