段々、姉さんの眠る時間が長くなった
私が物心付いた頃から
姉さんは身体が弱くて
姉さんが眠る横で
私は姉さんを看続けて
たまに起きる姉さん
姉さんは明るく話すけれど
身体は辛そうで
私は姉さんと話す時は
笑顔を絶やさないようにして
姉さんが眠ると
私は泣いてしまう
もっと姉さんと話していたい
もっと姉さんと笑っていたい
もっと姉さんと生きていたい
姉さんが最後に起きた時
私の手を握り締め笑った
今までありがとう、かなた
そう言って、遥姉さんは二度と起きなかった
私は泣き崩れて
何日も何も出来ずに
引きこもっていた
仕事も失敗続きで父さんに怒られて
ある日、ふらっとお墓に行った
お墓を掃除してると
視線を感じた
周りを見ても誰も居なくて
拝んで帰ろうとしゃがみ込み
拝んでいると
頭を撫でられた感覚
頭をあげると姉さんの姿
かなたが悲しそうな顔してるから、姉さん化けて出て来ちゃった
そう言って笑う姉さんは
生前と何ら変わってなくて
私は驚いていたけど
自然と涙が零れ落ちていた
涙を拭って姉さんを見る
いつもの笑顔を見せる為に
姉さんは私の顔を見て頷く
遥姉さん、私…
かなた、これからも辛い事があると思う
辛かったらいつでもここにおいで、私はここに居るから
私は、いつもかなたの事を見てるからね
そう言って、遥姉さんの姿が徐々に消えていった
遥姉さんはいつも一緒に居てくれる
そう考えると、今まで引きこもって何もしなかった自分が恥ずかしく感じて
それから私は、以前の様に仕事をこなし
力を身につけていった
遥姉さんに笑われない生き方をする為に
遥「…なんて事もあったわね。」
かなた「やめてよ遥姉さん、恥ずかしい…」
遥「昔話に浸りたかったのよ。何となくね。」
かなた「遥姉さん…」
遥「ま、それだけかなたは問題ないって事よ。彼も居るわけだし。」
かなた「…うん。」
遥「さて、長居しちゃったな。それじゃ、かなた。」
かなた「うん。遥姉さん。」
遥・かなた「またね。」