※前回の続き
「そういえば。」
運転中、ふと何かを思い出した梅沢。かなたはそんな梅沢の方を向く。
「どうかしたんですか?」
「あぁ、事件とは関係無いんだ……昨日知ったんだが、天乃とは付き合ってるんだな。」
「はい。司さんが梅沢さんと同じ仕事をしているとは知りませんでしたけど。」
少し声が弾むかなた。
「そうか。…それを知っても変わらないんだな。」
「……どういう意味ですか?」
梅沢が何を言いたいのか、いまいち掴めないかなたは首を傾げつつ聞いてみた。
梅沢はチラリとかなたを見てから、前をじっと見る。
「こういう仕事だから…もし、という事がある。それを覚悟して、天乃と今の関係を続けていけるんだな?」
「………わかるけど、わかりません。」
「……そうか。まぁ、ただの独り言だ。忘れてくれ。」
梅沢はそれ以上何も言わなかった。
かなたも何も言えず、窓の外に視線を移した。
第3、第4の現場に着くも、何の進展も情報も無かった。
そのまま、その日の捜査は終わった。
大体同じくらいの時刻
「あー疲れた…。」
上着を乱雑に脱いで、部屋のベッドに倒れ込む女性。そのまま、スカートのホックを外してスカートを脱ぐ。
スーツ姿だった女性は、今ではカッターシャツとストッキングとやや扇情的な姿となっていた。
「姉貴、帰ってきてすぐそれはどうかと思うんだが。」
冷めた目でベッドに寝転ぶ女性を見る男。女性も男を見て、ベッドの上に起きてぺたんと座る。
「なに、興奮するの?」
「別に。……だからってシャツめくるな。」
「ちぇー…つまんないの。」
呆れる男に対し、口先を尖らせる女性。
「それで我が弟よ、何か用?」
「借りてた物返しにきただけ。ここに置いとくよ。」
「ん。ついでに飲み物持ってきてよ、潤。」
「へいへい。」
生返事で部屋から出ていく潤。未來は潤を見送ると、そのまま後ろに倒れ込み、天井を見上げる。
天井に向かって右手を伸ばし、その手を見る。
「……つまらない。」
ふぅ、と溜め息を吐き、近くにあった本を取り仰向けのまま読み始めた。
ある程度読み進めた所で、何かの視線を感じた未來。最初は潤かと思ったが、周りを見ても誰も居ない。
気のせいか、と再び本を読もうとする。その時、本を見るはずに向けた視界、目の前にピエロの面を被った何かと目が合った。
未來は驚き、声を上げた……つもりだった。
口が動かない。口だけでなく、全身を動かす事も出来ず、動かせるのは目だけ。
「つまらないか?」
それは口も動かさず、耳から入ってくる声でもない。未來の頭に直接語りかけていた。
頭が混乱し、何をすればいいか、どうしたらいいかわからない。
そんな中、未來の頭の中である言葉が浮かぶ。
それを理解したのか、未來の目の前のモノは口元を歪めた。
「………ん、あれ?」
未來は気が付くと、辺りは暗くなり始めていた。
眠ってしまったのか。それにしても嫌な夢を見た気がした未來は、ベッドから起き上がった。
この辺で〆
自分で書いててなんだけど、自分でもわからなくなるとか笑えねぇ…