クラスの乱暴者 | 雪上の足跡

雪上の足跡

降っても融けても消える、はかないメモリー

園の後、家の裏の公園で15分ぐらい遊ぶ。

先月、公園に園のクラスメイト・エゴールが来て。

子はすぐ一緒に遊びだし、追いかけっこしてたかと思うと

エゴールは子に抱き着いて地面に押し倒す。

最初はただの遊びと思って見ていたが、

追いつくたびに押し倒し、子が止めてと言っても

繰り返す。エゴールの父親も制止するが、

エゴールは聞かない。

子ばかりが標的になり、一緒にいたイリアは

2人の間に割り入って、子と一緒にエゴールから逃げる。

 

イリアのことも押し倒すので、

ベビーシッターも注意するが、止めず。

子はエゴールに雪を投げ、それが当たると

エゴールが怒って子を押し倒す。

父親が「喧嘩するなら家に帰るぞ」と叱るが、

実行しないので、何度言っても効果ない。

 

それから、しばらくエゴールは公園に来なかった。

数週間して、また同じ顔触れになった時、

また押し倒されて、その拍子に後頭部を打ったりした。

エゴールの父親は他の保護者と

「子が挑発してエゴールのスイッチが入ると

 何も言うことを聞かない」と言っており。

子には「エゴールをけしかけるな」と注意する。

それにより、子を押し倒す回数は減ったが。

 

翌日似たような年齢の子が8-9人集まった時のこと。

エゴールは雪遊び用の長いスコップを振り回して

他の子供たちを追いかけまわし、押し倒し、

スコップで叩いたり。クラスメイトのカーチャを

押し倒すに至り、カーチャママ激おこ。

カーチャ姉はエゴールの頭めがけて雪を投げ。

周りの子も一斉にエゴールに雪を投げつける。

 

カーチャママ「頭をねらっちゃだめよ」

カーチャ姉「これは私達ルールだから、

     彼にはいいのよ!」

カーチャママ「そんなルールありません。

  私のルールで遊びなさい。顔はダメ。

  こっちで雪だるま作りましょう。」

こっそり「エゴールと遊ぶな」と言っている。

 

他の子供たちが雪だるまづくりを始め。

エゴールは父親にスコップを取り上げられ、

なにやら怒られている。

それでもエゴールがみんなの周りをウロウロして

雪を投げたり、叫んだりしている。

 

翌日もスコップを振り回して追いかけまわすので

エゴール対他の子の構図が定着して、

子が「エゴール、ここまで来れないだろ」

みたいなことをけしかけると、

彼は「僕を馬鹿にする」と泣きだしてしまった。

 

たぶんエゴールは一緒に遊びたいだけの

ただの乱暴者なのだろう。

父親は遠くで筋トレしてたりして。

仲良く遊べるように誘導してあげればいいのに…

 

翌日、幼稚園に迎えに行った時、

更衣室に誰もおらず、先生がクラスから出てきて

子を褒めたので、これはチャンスと思って、

私「あの、公園に乱暴者がいて、女の子さえ

 押し倒したり叩いたりするんですが」

先「あー、それは親ですよ(親が悪い)」

私「子が挑発行動をするせいだと相手の親は

  考えているみたいなんですが」

先「いえ、お子さんは落ち着いた性格の子です。

 それは考えにくいのではないですか。

 そういう状況であれば、通常の行動でしょう」

 

子や隣部屋の子供達に聞こえないように

お互いの耳元でヒソヒソ声で話をしていて、

(ロシア人は日本人より距離が近い)

着替え終わった子には指示を出す。

「廊下の椅子に座って待ってなさい」

 

私「親として、一緒に遊べるように?

 どのようにすれば・・・?」

先「(そういう子と)関わらない方がいいです。」

私「しかしですね、それはクラスのエ・・」

先「クラスでは喧嘩はさせませんし、ありません。

 いまウンチやおしっことかそういう言葉を言うのが

 男の子たちの間で流行してますけど・・・」

私「いや、それがクラスのエゴールなん…」

と同時に、廊下にいた子が「エゴール!(のお迎え)」

と大声で言い、ハッと見ると、

エゴールの父親が入ってきた。

 

噂をすれば影。

名前が聞こえたのか聞こえなかったのか

先生は私と目を合わせて頷きながら、

エゴールを呼びに教室へ入って行き。

私は父親と挨拶をしてそそくさと出た。

 

それ以降、エゴールは公園に来ず、

平安が戻った。