ロシアのヒーロー | 雪上の足跡

雪上の足跡

降っても融けても消える、はかないメモリー

子にロシアの昔話を聞かせてやろうと

богатырь(英雄、勇士、豪傑 ;英語でhero)を図書館で探し、

いくつかある中から一冊を選んだ。

 

曰く、ヴォルガ・フセスラーヴィエヴィチなる人物が

5歳で文字を覚え、6歳で外を歩くと地が揺れた。

読み始めて面白いので、購入しよう。

avito(ロシア版メルカリ)で

送料含め380ru(約620円)でゲット。

夫に音読指導を頼み、

図書館の本に書き込んでしまった

アクセント記号は全部消して、

自分の本にアクセント記号を書き込む。

 

日本昔話も物によって漢字の読みや

語りのイントネーションが外国人には難しいように、

ロシアの昔話(口承叙事詩ブィリーナ)の発音が

まったくわからない。

 

例えば、шелковый(シルクの)は

шёлковыйでショーゥコヴィが現代読みだが、

昔話では音のリズム的にシェゥコーヴィと読む、とか。

1つの単語に読み方が二つあって、どっちでもいいとか。

そもそも、基本的な単語землиがいつゼームリで

ゼムリーなのかわからん(単数と複数で違う)のに。

 

Кидает в небо パーリツ, на лету ловит パーリツ…

(指一本を空に投げて、(馬で)走りながら指を捕まえた)

急になんの曲芸じゃい!と思ったら、

パーリツПальцу(指に)ではなく

パーリツПалицу(鉄の棍棒を)だった。とか。

頭の中で混乱すること度々。

 

そんななか、唯一アニメで知っていた

アリョーシャ・ポポーヴィッチという勇士。

У ростовского попа соборного

попаポーパは「お尻」のこと。

え、ロストフのお尻??と混乱したが、

поп(祭司)の単数生格でパパーと読む。

(ロストフの教会の祭司のところに)

 

ロシア語でローマ教皇をパーパ・リームスキという。

ローマのお父さんかと思ってたけど、ローマの祭司で

Попа Римскийパパー・リームスキなんだと納得しかけたが、

やっぱりПапа Римскийとお父さんで合ってた。

え、поп(祭司)とは関係ない…?

英語ではPopeというそうだ、ローマ教皇を。

(じゃぁ、関係なくないじゃん?よくわからん)

 

彼は他の勇士が死んだと嘘をついて

その美しい妻と結婚しようとしたり、

農民出身の勇士を上司には認めないと騒いだり、

アニメの呑気な見た目と違って人間的に嫌な奴…

(元々、ロシアの民話で祭司はろくでなしだが、

 その息子だから人でなしで当然ということらしい)

なんだかがっかり。

でも本物の英雄も出てきたりして。

最初、読みだした時は「つまらない」と言っていた子が

「今日もБогатыр(勇士)を読んで!」

というようになり。

夫の指導を受けた範囲しか読めないので、

1つの話を繰り返し読んだり…

子も私もどっぷりはまっている。

 

これ一冊読んでから歴史博物館に行けば、

素通りしてた鉄の帽子や古い武器も

英雄に絡めて面白く見ることができるかもしれない。