今月の書いたレポートは西洋音楽史。
大学時代にもやったし、大学院の受験でもおおまかに勉強したし、いろいろやってるはずなのに
毎回新しい発見がある分野であります。
忘れないうちにメモをしておきたいと思います。
今回のテーマは、その時代の大事な役割を果たす作品について、というテーマを選びました。
トランペットは古楽器でも存在しますので、演奏はしていますが私は演奏数は多くありません。
私が演奏した最古のものだとガブリエリでしょうか。
敢えて、今まで縁の遠かった初期バロックという時代を選び、その重要な作品について調べました。
初期バロックはオペラが初めてできた時代です。
最古のものはペーリの「ダフネ」」と言われていますが、これは楽譜がほとんど残っておりません。
現存する最古のオペラは同じくペーリの「エウリディーチェ」(1600)
カッチーニも同年にこのテーマでオペラを書いています。
このとき既にレチタティーヴォ様式が生まれていました。
それによって話が進行しやすくなったため、オペラができるようになったようです。
「オルフェオとエウリディーチェ」というギリシア神話を題材にしています。
かんたんにいうと・・・・
オルフェオとエウリディーチェは愛し合う仲ですが、エウリディーチェが不慮の事故で亡くなります。
それを探しにオルフェオは向かうのですが、あの世の王様に返してもらうよう請うオルフェオに対して
ひとつ条件を出されます。
「絶対に現実の世界に戻るまでふりむいてはならない」 と。
ところが振り向いてしまうんですね・・・・
そこで、オルフェオは八つ裂きの刑になるのが本来の筋なのですが、悲劇を求めないオペラにとっては
様々なエンディングパターンができることになるのでした。
オペラというものはなかったものの、インテルメディオという幕間劇は流行っていたようで、
音楽劇自体は当時、貴族の間で人気でしたが、曲ひとつひとつか完結していて全体の統一感というのには欠けていたようです。
ペーリとカッチーニの作品に影響を受けて書いたのが、モンテヴェルディの「オルフェオ」。
彼はもともと後期ルネサンスの作曲家で、
当時流行っていたポリフォニーのマドリガーレ(節がない自由詩)をたくさん書いていました。
それをこの「オルフェオ」の合唱にすばらしく反映させています。
作品の音楽性は、ペーリの作品よりもずいぶん華やかで、
当時禁じ手と言われていた和声進行もいれていて変化に富んでいます。
今で言う、9thの響きやDim.も出てきます。
Majorにいくかと思いきやminorにいったり、不意をつかれます。
シンフォニア(管弦楽のみ)も充実しており、
それぞれの音楽が特定の世界を表すモチーフという考えも既に存在します。
リトルネッロによって繰り返されることにより、よりその世界観がよりいっそう強調されています。
このあと、モーツァルトの時代もワーグナーの時代もずっと引き継がれ、似たようなことをしています。
何より私が今回驚いたのは金管アンサンブルのクォリティの高さです。
実はこのオペラでトランペットは初めしか出てきません。
これは当時モンテヴェルディが仕えていた、
ゴンザーガ公爵の楽団トランペット・トロンボーンがコンサートの初めにファンファンーレを吹いていた名残りだと言われています。トランペット吹きを持つ公爵は権威の象徴でもありました。
そんなわけで、もともとは作品とは別だった、というわけです。
このファンファーレがけっこう技巧的ですし、とってもカッコイイ!!
時代を越えて、素晴らしいものは変わらないんだなということを再認識しました。
ぜひ冒頭のファンファーレだけでも聞いてみてください。
オケではツィンクも使われています。
すてきな響きですね♪