『虹の彼方』/小池真理子 | らっぱの散歩道

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有名人同士、正臣と志摩子の泥沼恋愛スキャンダルの結末は・・・


最後は泣いてしまった。


何に?
志摩子の旦那の在り方に・・・

やっぱ女性の身で読んでしまうね。
こんな旦那を置いてくなよー。

でも志摩子に賛同の節もあり。




恋愛小説家・小池真理子の8月の集英社文庫の新刊。

直木賞受賞の『恋』を読みたかったんだけど、
旧作はできれば定価で買いたくないので渋ってたら・・・目にとまった。




賛否両論あるみたい。



すごい。



その心理の緊迫感、緩和、虚ろな情景、賑やかな異空間、狂おしい心情・・・









登場人物の複雑な性格が巧妙に浮き出ていて、
特に第18章と第19章の正臣と志摩子の心情描写は、すばらしい。




ところで、小池さん自身、三島由紀夫に影響されてる?
プチ三島愛読者としては気になるフレーズもチラリ。

p.369「如何ともしがたい過去への呪詛の念」
p.489「道徳精神とやらの呪縛」
p.663「一種の美徳」

などなど。





さてこのスキャンダラスな二人の行く末はどうなったでしょうか・・・


もしかしたら逢瀬を重ねつつ、しかし意外と穏やかにお互い一人でいたんじゃないかな。。。


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p.9
『恋は畢竟、不可解なものであり、いかなる優れた哲学者でも説き明かすことのできない、言わば、一種の狂気に近いものだ。・・・』

p.177
「足もとに、久々に温かな水が流れてきて、乾ききっていた土を湿らせ、自分自身を瑞々しく息づかせてくれたようにも感じられた。」

p.342
「たいていの人間は家庭の外に向かう自らの欲望を花を愛でたり、風景を愛でたり、音楽や絵画を愛でたりすることによって、置き換えようとする。・・・・だが、本来人間が持っている欲望の根源は、風景や芸術に向かうのではない。」
→!!!

「健全不健全の区分けは、自分自身に向かってどれだけ深く分け入っていけるか、にかかっている。」

p.366
「すべては別物であった。位相の異なるものであった。にもかかわらず、その異なる位相のもの同士が、今、ひとつの土俵の上に一列に並んでいる。」

p.386
「だが、何故、笑う。何ものの力も借りず、自分の肉体を使って生き、自分自身を欺かずに生きようとすることのどこに、笑われねばならぬ理由があるというのか。」

p.411
「地獄と同時に至福を運んでくる」=「地の底で聴く音楽」