人の間を縫うように
颯爽と通り過ぎていく
二輪車は無防備な
僕らを嘲笑いながら
時間に追われていく様が
稀代の英雄のようで
哀れんだ目で見送る僕らの
杞憂をよそに一時の
優越感に酔ってるようだ
かき分けて辿り着いた先の
置き場のない怒り
僕らの杞憂が生み出した
何かの化身じゃないことを願う
今日もまたたくさんの
スピードマスターたちが
まだ見ぬ未来を我先にと
蹴り出す後ろ足が風を纏い
時を問わずに右へ左へ
稼いだ時間の分だけ
より良いモノが手に入ることが
できる人はどの位いるのか
僕にはわからないけれど
些少の差異しかなければイイのにと
願う僕は変わりゆく景色を
楽しみながら慣れた道を眺めてあるく