今日の曲はこれ
ブログ小説「君のいない未来へ」
毎週 月 / 水 / 金 更新予定
藤井 孝也 : この物語の主人公
高橋 美咲 : 女子バスケ部のエース
県立栄城高校 → 県下有数の進学校
このお話は1990年代
孝也の青春の葛藤と成長を描いた物語です。
第30話 レッスン
木曜日の部活。
孝也は初心者メニューを終え、ドリブルでコートを往復しながらのレイアップと1on1の練習に参加する許可を得た。
1on1でのシュートはレイアップ限定だ。
1 on 1でディフェンスの先輩は、手を抜いてくれる。
先輩たちが本気でディフェンスをやると、初心者の孝也は絶対にシュートまで持ち込めない。
先輩たちは、立っているディフェンスをフェイントでかわしてレイアップに持ち込む流れを孝也に身につけさせようとしていた。
ディフェンスの時は、できるだけ手を下げないで体を大きく見せるように指示された。
手を広げ続ける動きは慣れず、非常に疲れる。
少しでも手が下がると、先輩から「ハンズアップ」の檄が飛んできた。
それでも、次のステップに進めたことは孝也にとって嬉しいことだった。
その日の自主練習中、高橋美咲先輩が声をかけてきた。
木曜日担当の2年生が赤点を取ってしまい補習授業と再テストが終わるまで部活禁止となったため、美咲が代わりに指導係に来たのだ。
「藤井くん、すごいんだね。普通科ベスト10入りなんてバスケ部史上初めてだと思うよ」
孝也は少し照れくさそうに答えた。「たまたまです。それより、バスケがしたいです」
「目を閉じてドリブル練習してるよね?ドリブルだいぶうまくなったじゃん。レッグスルーやバックチェンジは練習してる?そろそろ次のステップじゃないかな」
美咲に手本を見せてもらい、孝也はレッグスルーにチャレンジした。
孝也は体育館の隅で美咲と向かい合い、真剣な表情でレッグスルーの動きを試みていた。
1、2回であれば何とかできるようになったが、連続となると少しぎこちない。まだ左手での切り替えしのコントロールが悪いようだ。
足元でボールが速く動く音が響き、集中力を要する動作に汗がじわりと滲む。
時折彼女は孝也のいいポイントを見つけそれをを褒めた。
彼女の褒め言葉は、自信を持たせると同時に、さらなる努力への意欲をかき立てた。
思ったより難しいが、それが楽しくなってきた。
難しいことに挑戦する楽しさを改めて感じる。
「先輩、ありがとうございます。」
「藤井君、初心者でどうしてバスケ部に入ろうと思ったの?」美咲は尋ねた。
「父親の方針で運動部に入ることが約束で、あと体が小さくてもスピードとテクニックで勝負ができる競技を選びました」
「( ̄∇ ̄;)ハッハッハ、藤井君、チビだもんね」
美咲のほうが孝也よりも背が高い。
「先輩、気にしていることをサラッと言いますね」
窓から差し込む夕日が、体育館のフロアをオレンジ色に染め上げる中、美咲は微笑んで頷いた。
「それより、もうすぐ地区大会ですね。頑張ってください」
この物語はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません
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I still didn't drink alcohol today.
今日もお酒を飲みませんでした(130日目)
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