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ブログ小説「君のいない未来へ」
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藤井 孝也 : この物語の主人公
中川 詩織 : 小学校時代の同級生
あやちゃん : 孝也が片思いしている子
県立栄城高校 → 県下有数の進学校
このお話は1990年代
孝也の青春の葛藤と成長を描いた物語です。
第29話 Sクラスの内情
数学Sクラスでの勉強の進みは早い。
教室内は常にピリピリとした空気が漂っている。
他のクラスの倍以上の問題を解き、宿題の量も格段に多い。
運動部をやりながら成績上位を維持するのが難しいという噂が、ようやく現実のものとして実感できた。
孝也の勉強方法は予習中心だ、翌日の授業で黒板に書かれるであろうことを想定してノートを作る。
自分が理解していて解法がわかる問題は飛ばし、ノートに書くのは、理解が難しく、手間のかかる問題だけ。
それが孝也の勉強のやり方だった。
授業形式も独特で、各自に割り当てられた問題を授業開始までに黒板に板書する。
孝也の視線は黒板をじっと見つめ、板書の進行に集中していた。心の中で解法を確認する。
一見すると簡単な問題も、深く掘り下げると新たな発見があるかもしれないという期待感が彼を駆り立てる。
周りの生徒たちが黙々と自分の担当の板書している。
教室内は静まり返り、唯一聞こえるのはチョークの音と生徒たちの小声での相談事だ。
窓から差し込む午後の日差しが、教室内の空気を柔らかく温める。その温かさが孝也の心を少し和らげていた。
授業が始まると、自分の担当する問題を前に出て解説する。先生は基本的に生徒の解説を補足するくらいだ。
さすが優秀な生徒だけ集めたSクラスだ、事前準備をしてこない生徒は一人もいない。
教室の前後の黒板にはそれぞれ3~4問ずつの問題が書かれ、1問解説が終わるごとにすぐに消して次の生徒が板書をする。
解説を始めるたびに、教室内には緊張と集中が漂う。1問1問ノートをとる時間はほぼない。
このサイクルが授業時間の中で15問程度繰り返され、1問あたりの解説時間はわずか2~3分。
中学校までのように「この公式はこう使います」という解説はなく、公式の理解は自分で予習してから授業に臨むしかない。
数学の授業は毎日あるため、毎日進み具合を考えて20問ずつ問題を解く必要があるが、孝也にとってはまだ難問と呼べる問題には出会わなかった。
授業が終わると、いつものように孝也の周りに生徒たちの輪ができる。
「さっきの問題のここがわからなかったんだけど、解説してくれる?」といった質問が飛び交う。
ベスト10入りのランカーも時折、孝也に聞きに来る。
孝也は、質問に答えるたびに、自分の知識が他人の助けになっていることに満足感を覚える。
そして、詩織の存在がどこか遠くに感じられた。
詩織が「孝也にはかかわるな」と周りに働きかけているような気がしていたが、そんな影響はここでは感じられなかった。
Sクラスの生徒たちは嫉妬や妬みとは無縁で、知識の共有と学びのために協力し合っている。
彼女の嫉妬や妬みが、この教室では何の力も持たないことに、孝也は心から安堵するのだった。
窓の外には、青空が広がり、風が木々を揺らしていた。
その風景が孝也の心をさらに軽くし、彼の心は再び教室の中に戻っていく。
同じ志を持つ仲間たちと共に学び、成長する喜びが、彼の心に新たな希望を灯していた。
あやちゃん。
最近、部活と勉強の両立が少し大変だけど、なんとかやれてる。
あやちゃんはどうしているかな
この物語はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません
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I still didn't drink alcohol today.
今日もお酒を飲みませんでした(127日目)
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テスト勉強したことがない
辞書に載る言葉を作ったことがある
恋愛に青春をささげた
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