ブログ小説「君のいない未来へ」
毎週月/木 更新予定
藤井 孝也 : たたのつもりで読んでね
あやちゃん : 片思いしている子
平田 朱音 : 栄城高校商業科の子
県立栄城高校 → 県下有数の進学校
このお話は1990年代
孝也の青春の葛藤と成長を描いた物語です。
第5話 ときめきの始まり
土曜日、孝也は電車に乗り、約束通り平田朱音とのデートに出かけた。
「少し早かったかな」女性を待たせるのは気が引けたので少し早めに家を出たが、早く着きすぎてしまった。
先に店に入って待っていることにした。
朱音は時間通りにミスドにやってきた。
「初めまして、平田 朱音です。孝也くん待った?」
「いや、それほど、先に来ていないと顔を知らないから困ったと思う、声をかけてくれて助かった」
「そうね、ドッキリかもしれないものね、フフフ」
朱音のポニーテールとくりくりとした目は愛らしく、無邪気な笑顔はとてもかわいかった。
デートの最初は少し緊張していたが、朱音の明るい性格のおかげで徐々にリラックスしていった。
ミスドでの軽食の後、二人は近くの公園に散歩に出かけた。
公園では、朱音が自分の趣味や家族について話してきた。
デート中、朱音は孝也の小学校や中学校時代について質問してきたが、孝也は自分の暗い過去を打ち明ける気にはなれなかった。
代わりに、今後の目標について話し、友達を作りたいと伝えた。
朱音はテニス部を薦めてきた。
彼女自身も中学でソフトテニス部に所属し、高校でもテニス部に入る予定だという。
「一緒にやろうよ」という誘いに、孝也は少し驚いたが、朱音の笑顔に和まされた。
他愛もない話だが、朱音が笑いながらいろんな話をしてくる。
孝也は緊張しつつ、ほとんど聞いているだけだったが初めてのデートを楽しんでいた。
途中、朱音が公園内の池でボートに乗ろうと言い出した。
手漕ぎボートは初めてだったがなんとなく分かる。
と思ったが、孝也の漕ぎ方はあまり上手ではなかったらしく、左右にボードが揺れる。
「キャッ」朱音は孝也にしがみついてきた。咄嗟に腰に手をまわしてしまった。
こんなに女子に密着する経験がなかったため、どうしていいかわからない。
「おぬし、これが狙いか・・・」朱音は笑いながら言ってきた。
「単なるアクシデントです・・・」
そんなやり取りもあり池の中央に着いた時、朱音がふと真面目な表情になり、「孝也君、これからももっと一緒に過ごしたいな」と言った。
返答に困った。「そうだね」と返すので精いっぱいだった。
その後、二人は近くのショッピングモールに移動し、クレーンゲームで楽しんだ。
孝也は初めてクレーンゲームをやったが、なんと最初から景品をGETした。
初めて獲得した戦利品のかわいくないぬいぐるみを朱音にプレゼントした。
「孝也くんクレーンゲーム上手だね、得意なの?」
「得意も何も初めてプレイした」
「えっ凄い、才能かなぁ、すごく上手だよ、このぬいぐるみ大事にするね」
朱音はそのぬいぐるみを大事に抱えながら、「ありがとう」と照れくさそうに感謝の気持ちを伝えた。
夕方が近づくと、二人はまた公園に戻り、ベンチに座って夕日を見ながら話した。
朱音の明るく元気な性格と積極的なアプローチに孝也は戸惑いながらも、
「デートはもう少し一緒にいたかったな、
と思えるくらいで切り上げたほうがうまくいくらしいよ」
「次もまた会いたいと思えるから」と本で読んだ言葉を引用して、デートを終わりにした。
朱音は少し残念そうな表情を浮かべたが、「次も楽しみにしてるね」と明るく答えた。
デートが終わり帰りの電車の中で、孝也は自分の気持ちを整理する必要があると感じた。
告白された朋美と朱音、そして片思いのあやちゃん。
朱音とのデートが思いのほか楽しかったことが、孝也の心を揺らしていた。
電車の窓から見える街の風景が夕日に照らされ、静かに流れていく中、孝也は心の中で新たな感情と向き合っていた。
この物語はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません
Today's results
78.2kg
24.1%
I still didn't drink alcohol today.
今日もお酒を飲みませんでした(60日目)
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