とある国に、立派なおひげを生やした王様がいました。
王たるもの、誰にもマネできないような何かをもっていなければならない!
そう言って常日頃から、手入れを欠かさず、白い立派なおひげは王様のご自慢でした。
いつもおひげと髪の手入れをしている、王様お気に入りの床屋が、今日もやってきました。
丁寧にハサミをいれ、形を整えていきます。
王様は安心して、気持ちよくいびきをかいて夢の中です。
ぶ~ん。
どこからともなく、窓から虫が入り込んできました。
床屋はきづきません。
チョキチョキとリズムよく、おひげを整えています。
虫は王様のいびきに吸い込まれるように、お鼻に引き寄せられます。
あっ!!!
床屋が気付いたとき、虫は王様の鼻に吸い込まれます。
ヘックションっ!!!
盛大に王様はくしゃみをしました。
さすが王様。
くしゃみもご立派です。
ですが…
あまりのことにびっくりした床屋は、つい手に力が入ってしまい、王様のおひげを半分切り落としてしまいました。
王様は寝ていたので、何が起こったのかわかりません。
ただ床屋の青ざめた顔を見ては、妙に軽くなった右頬が気になります。
そぉーっと右手を頬に触れてみました。
そこにはご自慢のおひげがありません。
呆然とした王様と、今にも倒れそうな床屋と大臣たちは、お互いに顔を見合わせたまま、しばらくそのままでいました。
「床屋よ。」
おもむろに王様は口を開きました。
「ちょうどこれから暑くなるので、さっぱりしたかったのだ。左の方も整えてくれんか?」
床屋はびっくりしました。
王様はニコニコと微笑んでいます。
「しかし、王様。私は王様の大事なおひげを切り落としてしまいました。
このお詫びは命をもっても変えられません。」
すっかりおびえきった床屋は床に頭をつけ、謝ります。
王様はそっと床屋を起こします。
「私はすでに誰にも負けない、立派な臣下や民がたくさんおる。
床屋、お前も私によく尽くしてくれておる。何を罰する必要があろうか。」
そう言って王様は、再び床屋におひげの手入れを頼みます。
床屋は涙を流しながら、今まで以上に丁寧に、おひげと髪の手入れをしました。
見守っていた大臣たちや、話を聞いた国の人々は、この王様の素晴らしさを改めて知ったということです。
後日談。
おうさま、自室にて。
夕ご飯呼びに来た大臣は部屋に入り大慌て。
ベッドの上で体育座りして落ち込むの図。
こういうラフスケッチはけっこう好きです。
今回のテーマは「許す」こと。
王様「わしのひげ…ひげ…」
大臣「おうさまー ごは…キャー)(゚д゚)(」みたいな。




