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1月12日の英国BBCのニュース。
若い年代の乳がん患者を対象に行った研究の結果、BRCA遺伝子変異陽性の患者が両乳房切除手術をしてもしなくても、10年生存率には影響しないという結論に達した。
18~40歳の患者2,700人が研究対象で、10人にひとりがBRCA遺伝子変異陽性とのこと。10年越しの研究結果発表が、ニュースになっている。
テレビには特別解説者が登場して、「たとえ陽性とわかっても早まって切除にふみきる『必要』はない」と話している。
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そうは言っても、患者の気持ちは複雑だ。少しでも生存率を上げるためなら、ほんのちょっとだけでも心配の種が減るなら、身体の一部を取り除く決断に至る人は結構多いのではないだろうか。
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「がん」が見つかったとき、スイスで遺伝子検査を依頼した。でも、わたしの場合、乳がん家系ではないので、検査すらしてもらえなかった。「遺伝子検査対象」としては失格だったのだ。そういう言い方はしなかったけれど、「過剰検査」と判断されたわけだ。あの時は本気で憤慨した。スイスの医療規則で、患者のわたしが無検査に納得するまで数回専門医に問診された。遺伝子検査は時間と労力がかかるので、統計的に陽性の確立が高い人、または医学的に研究対象となる人以外はしない事になっていた。4年前の事だ。
あの時、もしも検査して、もしも変異が見つかったら、バッサリ切って少しでも気が楽になりたいと思っただろう。
数年前に、美人女優のアンジェリーナ・ジョリーがん予防策として両乳房切除手術をして話題になった。乳がん家系なので遺伝子検査をした結果、陽性と知り、両乳房の後、卵巣まで切除した。心配ですもんね。
わたしも、3年前の右乳房全摘手術は怖かった。わたしは「がん」を切るしかなかったので、選択の余地はなし。
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スイスで仲良くしていたアメリカ人の友人は、「乳がん家系」という理由で初期乳がんが見つかったのを機に、両乳房切除していた。この友人は女性の親せきが「全員」乳がんで亡くなったので、遺伝子検査もせずに切った。前が全部開くシャツを買うようにとか、うれしいアドバイスをくれた。「血が出る」のが恐ろしかったわたしは、切らなくてもいい人達まで切ったのだから、大丈夫、と言い聞かせて手術に臨んだ。
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医療の世界で、過剰診断とか過剰治療という話しがある。手遅れとのバランスをとるために、何千人もの患者が研究対象になって、10年間データを集め続けて、統計的には「切除してもしなくても関係ない」という結果が出た訳だ。こうやって、コツコツと統計を積み重ねていくしかないのだろう。
これから子供がほしいとか、状況次第で、これからは少しでも安心して切らない選択をとれる人は大勢いるだろう。
一方、この結果にかかわらず、「とりあえず切りたい」患者さんは、これからもいると思う。
わたしはもうすっかり50過ぎだけど、20年前でも「過剰」を選択してたかな、と思う。でも、こればっかりはわからない。
医療の世界って、大変だな。
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