山本周五郎著『樅ノ木は残った』感想 | エンジェリック乱世のブログ

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樅ノ木(もみのき)と読みます。
江戸時代の仙台藩、伊達家のお家騒動。
これまでの史実では、悪人とされていた原田甲斐(主人公)がじつは、お家を守る為に戦っていたという物語。

谷沢永一の『紙つぶて』(読売新聞等の掲載コラム集)には昭和45年に『樅ノ木は残った』ブームのことが記されているが、谷沢さんは山本周五郎をあまり評価していない(笑)。
そもそも史実とは違う驚きの新解釈は山本周五郎の発案ではないとして、大正十年の田辺実明(さねあき)『先代萩の真相』がネタ本だと紹介している。
ちなみに『樅ノ木は残った』は昭和33年出版。

ここで疑問に思ったのが、なぜ昭和33年から10年以上経って昭和45年にブームになるのか。
調べたら、その年NHKの大河ドラマになっていた(主演・平幹二朗、ヒロイン吉永小百合!)。

それにしても(ネタ本はあったとしても)、山本周五郎さんのこの歴史巨編は読み応え十分で、ラストの武士として見事に生き抜く描写は最高に素晴らしい!
ネタの発想も大事だが、それを表現する技量も作品の重要なファクター(私個人の考えはネタよりも表現の方に配点が高い)。
最後に、中学生みたいな感想になるのだけど、ヒロイン宇乃とルパン三世『カリオストロの城』のクラリスが重なりました。




写真は江戸城の桜田巽櫓(たつみやぐら)