2023.3.6

教育こども委員会での5つ目の質疑になります。

「一時保護所の学習支援」について。

 

野上らん

「続きまして、こども相談センター一時保護所についてお聞きをいたします。
 さきの代表質問で松井市長から、重大な児童虐待ゼロを目指した施策として真っ先に、こども相談センターの4か所体制に向けた大幅な増員や、一時保護所の整備に取り組んできた旨、御答弁をいただきました。
 令和3年4月に開設した北部こども相談センターでは、子供たちが家庭的環境の中で安心して生活ができるよう、一時保護所の居室のユニット化が図られ、子供たちが1人きりの時間を持てるようになったり、自分のペースで落ち着いてそれぞれの課題に取り組めるようになったりと、支援が充実してきていると聞いております。
 また、中央こども相談センターと南部こども相談センターについても、一時保護所の早期の環境整備を目指して移転、建て替えが進められており、新設される4か所目の一時保護所と併せて、ハード面の環境整備は充実してきております。
 一時保護所に入所する子供については、その年齢や一時保護を要する背景も虐待や非行など様々であるため、ソフト面についても一人一人の状況に応じた適切な支援が必要であると考えております。
 支援の充実とともに、こども相談センターには子供たちの最善の利益を守ることが求められますが、子供たちのよりよい生活を確実に保障していくために、一時保護所ではどのような取組を行っているのでしょうか、お聞かせください。」
柏木こども青少年局中央こども相談センター一時保護所担当課長兼北部こども相談センター一時保護所担当課長、南部こども相談センター一時保護所担当課長
「お答えいたします。
 国のガイドラインでは、一時保護所は、家庭的環境等の中で束縛感を与えず、子供の権利が尊重され、安心して生活できるような体制を保つよう留意するとされていることから、原則として個室とするなど、そのほかの設備も含め家庭的な生活空間となるよう建て替えや新設を進め、環境を整えていっています。
 一方、支援に関わるソフト面での取組としては、本市3か所全てのこども相談センター一時保護所で、子供たちの最善の利益を守るために、子供たちが毎日書く日記や毎月実施している生活アンケートにより、子供たちの希望や意見を酌み取り、生活支援に反映させることにより、子供たちの生活の改善を図っております。
 そして、生活支援のさらなる改善を図るため、今年度、法務担当の弁護士や児童福祉司と連携し、南部こども相談センター一時保護所を退所する子供への聞き取りによるアンケートを試行いたしました。
 そのアンケート結果から、改善点について、全ての一時保護所での支援に生かすとともに、次年度はそのアンケートの対象を広げ、全ての一時保護所で実施するよう取組を進めてまいります。以上でございます。」
野上らん
「生活面での支援も、子供たちに寄り添った形で進んできているということを確認させていただきました。ぜひアンケート結果を生かしていただきたいと思います。
 それでは、次に学習面についてお尋ねいたします。
 令和3年度の決算特別委員会において、我が会派から、学校に通う児童や生徒がこども相談センターに一時保護された場合の一時保護所と学校の連携について質疑を行わせていただきました。
 その際に、教育委員会事務局と連携して、一時保護所教育協議会の場を用いるなどして、個別の学習内容に関して、一時保護所から学校への引継ぎをよりよい方法で検討していくとの御答弁がありましたが、その後どのように実施されているのかをお聞かせください。」
柏木こども青少年局中央こども相談センター一時保護所担当課長兼北部こども相談センター一時保護所担当課長、南部こども相談センター一時保護所担当課長
「お答えいたします。
 昨年度の御指摘を受け、今年度からこども相談センター一時保護所では、2週間以上入所した大阪市立の小中学校に通う全ての子供について、一時保護所を退所する際に、児童福祉司を通じて一時保護所での学習内容について在籍校に引き継ぐように改善いたしました。
 その他、私立小中学校、高校等に在籍する子供につきましても順次取組を進めており、今年度中に全ての学校を対象に実施してまいります。以上でございます。」
野上らん
「改善をしていただいているとのことで、ありがとうございます。
 一時保護所を退所した後、学校に通えなかった期間の学習内容についてしっかりとサポートをすることは、子供たちの学びを保障するために不可欠ですし、学校生活を再開させるに当たって、少しでも不安を取り除けることにつながっていくのではないかと考えております。今後も引き続き、子供たちのために緊密な連携をお願いいたします。
 一方で、入所中の一時保護所での学習支援については、学校での学習活動に遅れが生じることのないよう、一人一人の状況に応じてきめ細やかに対応することが重要です。
 北部こども相談センターでは、令和3年度から民間事業者へ学習支援事業を委託していると聞いておりますが、その実施状況はこれまでの学習支援と比べてどのように違うのか、また、今後の進め方についてをお聞かせ願います。」
柏木こども青少年局中央こども相談センター一時保護所担当課長兼北部こども相談センター一時保護所担当課長、南部こども相談センター一時保護所担当課長
「お答えいたします。
 中央、南部のこども相談センター一時保護所では、学校長経験者など、教員免許所持者を会計年度職員として採用し、一時保護所指導員と共に、日々入退所がありメンバーが変動する子供たちに対し、ドリルなどを用いて個別の学習支援を実施しております。
 学習支援を必要とする子供たちは、小学校1年生から大学受験を控えた高校3年生までがおり、学習支援する職員は小中高全ての範囲を理解して教えることができる必要があります。そのような会計年度職員の確保が困難になってきており、現状でも欠員がある状態です。
 一方、北部こども相談センター一時保護所では、学習支援事業を外部委託していることにより、これまでより一人一人の児童に見合った学習環境を整えることができています。
 具体的には、学習について専門性を持った事業者が関わることにより、教材が豊富になり、学習支援員も充実し、その時点で入所している子供の状況に合わせて、子供の知りたい、理解したいという興味を引き出し、分かることを体感させ、勉強したいという意欲につなげ、一人一人の子供がそれぞれのペースで楽しんで学びを深めること、それを一時保護所を退所した次のステップにもつないでいくことが進められてきています。
 そのため、次年度には本市の全ての一時保護所で学習支援事業の外部委託を進め、学習支援の充実を図ってまいります。以上でございます。」
野上らん
「家庭で様々な経験をして一時保護所に入所し、生活をしている子供たちには、できるだけ楽しく笑顔で過ごしてほしいですし、一時保護所を退所した後も心豊かな生活を送ってほしいと切に願っております。
 その上で、一時保護所での生活や学びがさらに充実することは大変望ましいことであります。
 本市全ての一時保護所で展開される学習支援事業については、しっかりと軌道に乗せて、子供たちの学習への興味をこれまで以上に引き出せるようにしていただきたいと思います。
 また、今回の質疑を行うに当たり、改めて一時保護所でのお話をお聞きいたしましたが、一時保護所の状況として、大人の都合で先が見えない不安な生活を強いられている子供たちに対して、職員さんが寄り添い、支え、励ましながら、子供たちの健やかな成長を願い、日々一生懸命取り組まれていることを痛感し、とても感謝いたしております。昨年の七夕の時期には、短冊に大人になったらここの職員さんになりたいと書かれている児童もいたとのことです。
 子供たちがそれぞれの人生をしっかりと歩んでいけるよう、今後も子供たちの支援に御尽力いただきたいことを申し上げさせていただきまして、この質疑を終わらせていただきます。」