大阪市会議員の野上らんです。

2023年、3月6日に行われた教育こども委員会での私からの質疑をご紹介させていただきます。

 

先ずはこれまで取り組んできた、児童虐待防止にかかる

「重大虐待の発生」について、

 

野上らん

「大阪維新の会の野上らんです。私からは、まず初めに、児童虐待防止についてお聞きをしていきたいと思います。
 先日の代表質問において松井市長から、重大な虐待ゼロを目指して取り組んできた虐待防止対策全般について、どのような思いで  取り組まれてきたのか、また、残された課題についての認識をお聞きしたところであります。
 この4年間に児童虐待対策を最重要施策と位置づけて、あらゆる観点から様々な取組を強力に進めてこられたということでありましたが、虐待事例のうち、とりわけ子供が死亡する事例や後遺症が残るような重症を負うといった重大な児童虐待について、ゼロを目指して取り組んでこられたと認識いたしております。
 その結果、就任された令和元年度は5件、令和2年度、3年度はゼロを達成したものの、令和4年度は残念ながら死亡事例が1件、重症事例が1件発生したということです。
 報道によると、そのうちの1件は、19歳の女性が自宅トイレで出産をし、怖くなって放置して死亡させてしまった事例と聞いております。胸が痛む本当に痛ましい事例で、すぐそばにいたのにというもどかしい気持ちも増してしまうところであります。
 児童虐待防止法では、虐待事例が発生した場合、自治体として検証を行うことが義務づけられていると思いますが、今年度発生した2件の重大虐待事例については検証を行うことになるのでしょうか。これからどのように進めていかれるのかをお聞かせください。」
久山こども青少年局子育て支援部児童支援対策担当課長
「お答えいたします。
 本市において発生した児童虐待事例については、事実の把握を行い、発生原因の分析と必要な再発防止策を検討するため、児童福祉審議会の下に設置された児童虐待事例検証部会で検証を行っております。
 検証部会は、検証の客観性を担保するため、福祉関係、司法関係、医療関係などの専門家5名で構成されており、検証をより迅速に行うため、令和3年度より部会を2部会に増やしたところでございます。
 今年度発生した2件の事例については、来年度、2つの部会でそれぞれ検証を開始する予定です。
 事例の詳細については、これからヒアリング等を行うことになりますので、それぞれの事例についてどういった経過があったのか、検証の場で明らかになっていくこととなります。
 これまで検証において指摘された課題や提言を基に、平成21年度に24時間365日通告できる児童虐待ホットラインを開設したことをはじめ、最近では、予期せぬ妊娠に悩む妊婦に寄り添いながら相談に乗る産前・産後母子支援事業を施策として具体化しております。
 また、来年度の新規事業である家事・育児訪問支援事業についても、最近の検証において、福祉のサービスの導入が難しい家庭への支援策の必要性について提言を受け、施策として具体化したものでございます。以上でございます。」
野上らん
「虐待事例の検証を外部有識者による虐待事例検証部会で行ってきたことや、そこで出された提言を基に事業が具体化されてきたことについて理解いたしました。
 今年度に発生した2件の重大虐待事例についてもしっかりと検証を行っていただきまして、再発防止のために取り組むべき課題と対策を明らかにしていただきたいと思います。
 また、先ほど説明のあった産前・産後母子支援事業については、実施している平野区のボ・ドームダイヤモンドルームに、私も我が会派の児童虐待防止プロジェクトチームのメンバーと一緒におととしに見学に行かせていただきまして、実際にどのように支援をされているのかお話を伺いましたところ、妊娠期から出産まで、そして出産後においても、非常に寄り添った支援を行ってくださっているなと感じまして、特に思いがけない妊娠で悩みを抱えている方には利用が広がってほしいと強く思いました。
 今回の事例の詳細はまだ分かっておりませんが、この女性がもしもこういった事業につながっていれば、結果が違っていたのではないかと思うところです。
 産前・産後母子支援事業は開始して3年近くたっていると思いますが、ここで改めて詳しく事業の狙いや実績についてもお聞かせ願います。」
久山こども青少年局子育て支援部児童支援対策担当課長
「お答えいたします。
 産前・産後母子支援事業は、平成30年度に開催した大阪市児童虐待防止体制強化会議において、予期せぬ妊娠をした妊婦が出産直後の実子を遺棄する、いわゆる日齢ゼロ日児問題が大きな課題として取り上げられたことから、それを未然に防止する施策として開始したものでございます。事業は、母子生活支援施設を運営する団体に委託して実施しております。
 予期せぬ妊娠をした妊婦は、家族に知られたくないとの思いから、医療機関や区役所などに相談することができず、1人で悩むという実態があります。そこで、産前・産後母子支援事業では、妊娠判定のため初回受診同行や、妊婦の悩みに寄り添って困っていることを丁寧に聞き取り、必要な支援につなげるということを行っています。運営する母子生活支援施設のノウハウを活用し、支援コーディネーターと看護師等の専門スタッフが妊娠期から出産後の養育のサポートまでを行っています。
 事業を開始した令和2年10月から令和5年1月末までの約2年間で、相談の実件数は313件、安心して安全に出産を迎えられるよう施設内に確保している産前・産後母子支援事業専用の住まいに出産前から入所し、出産後までサポートした妊婦が15名、それ以外に、区役所や病院へ同行し、アウトリーチしたのが12名となっています。
 最初は気軽に相談できるように、匿名で電話やメールでの相談も可能としています。以上でございます。」
野上らん
「妊娠したことを相談することができないでいる女性にとって、産前・産後母子支援事業は心強いサポートとなる重要な事業と認識しており、このサポートがゼロ日児問題をはじめとする虐待防止に非常に役立っているのではないかと考えております。
 実際に、ボ・ドームダイヤモンドルームでは、入所当初は出産に不安を感じていた方が、日々の寄り添いや支援によって安心して出産を迎えることができたお話や、出産後も初めての経験ばかりで不安だったが、支援コーディネーターさんなどの支援を受けながら生活をすることができたので安心して赤ちゃんと接することができたお話や、それによって子育ての自信へのつながりであったり、退所後にも連絡を取り合えることで安心感があるとのお話もお聞かせいただきました。
 先ほどもお伝えしたように、維新の会の児童虐待防止プロジェクトチームで、3年間にわたって児童虐待の発生を食い止める方策についての検討を重ねて、昨年の10月に松井市長にお渡しをさせていただきました重大な児童虐待ゼロを目指すための提言書において、妊娠期から育児は始まっており、母親はこれまでにない体の変化や精神的な不安を感じることとなる。個人差はあるが妊娠初期には吐き気や頭痛に襲われるつわりや、徐々に膨らんでくるおなかとともに体が疲れやすくなるなど、実質は様々な行動に制限がかかってしまう。現代は、ワンオペや孤立の孤と書いて孤育てという言葉があるように、いかに今の子育てが周りに頼れる環境がないものかを表しているが、本来は妊娠期から寄り添った支援が必要であり、母子生活支援施設や保健センター、大阪母子医療センターなどの現場からも、妊娠期から虐待のリスクを把握する必要がある、周産期の出会いのときから親と子供との響き合う関係性を育む支援が重要である、男性の育児参画を推進し、母親の孤独化を予防しなければならない、妊娠期からの寄り添いが出産後の母親の心の安定、母子の絆を深めたといった声が上がっている、身近に頼ることができないのであれば、地域や行政でその環境を整え、手を差し伸べる必要がある、また、妊娠期から頼れる環境があるということを知ることで、子供が生まれてからも1人で悩まずに子育てを行える環境づくりにつなげることができるとの提言をさせていただいております。
 私たちとしては、この産前・産後母子支援事業をはじめとした妊娠期からの支援を行う事業がしっかりと市民に伝わっていくように、そして、こういった事業によって、重大な児童虐待ゼロはもちろん、子供が犠牲になることがないよう、保護者の方にも安心して子供を産み育てられる環境づくりのために今後も後押しをしていきたいと考えておりますので、引き続きよろしくお願いいたします。」