晩年の大野三男氏はらんちゅうの色柄について、更紗は色模様の具合によって魚の価値を下げるとして、無難な素赤を好んでいた。

若いころには面被りを追いかけたこともあったそうだが、面被りの固定は困難だと判断したようなことを言っていた。

 

確かに更紗は色の配置が良ければ、魚の観賞価値を高めるが、配置が悪ければせっかくの優魚も観賞価値が落ちる。

ベテランになれば、色に左右されず型や泳ぎの正確な鑑識ができるとよく言われるが、観賞魚である以上見た目の印象は大事。

 

例えば、この白勝ち♀。

型としては充分及第点だが、かつぶし模様の入り方が左右非対称なので魚が曲がって見える。

私としては、種魚として見ているので、模様は関係ない。

今年、仔出しが良かったので価値の高い魚になっている。

 

逆にこの♂。

面被りに近い配色で、池では泳ぎも上手く目をひく。

若干、尾に右左を見せるが、配色の良さで欠点が払拭される。

色得代表みたいなもんだ。

配色の良い更紗は万人が嫌いではないと思うが、長くやっていると、優魚に妙な柄が入るくらいなら素赤のほうが良いと思うようになるのも分かる気がする。