2020=私の40句 つきひ | 神戸RANDOM句会

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シニアの俳句仲間の吟行・句会、俳句紀行、句集などを記録する。

私の40句 つきひ

    楽しみにしていた「新緑の播州三木句会」が新型コロナウイルスのため中止になりました。見水さんの下見紀行文を拝読し、貴重な一日を失った気がして残念です。下見に行ってくださった一風さん、見水さん有難うございました。
    タイトルを付けて20句まとめるというスタイルで、俳句を作ってみました。蜘蛛の囲は2019、蝶と遊ぶは2017年の作です。
    八十姉は元気にしていますというランダム句会の皆様へのメッセージです。

 

蜘蛛の囲

蜘蛛の囲にじたばたと音動く闇
雁字搦めに息の根止める蜘蛛の糸
腸啜る蜘蛛の表情見えずとも
鮮やかな球団カラー黄金蜘蛛
黄金蜘蛛ソックスも又縞の柄
一つ囲に二匹居るはず蜘蛛見えず
振動にすぐ身構へて黄金蜘蛛
蜘蛛の囲に迫る殺気のひたひたと
獲物抱へラガーの様に走る蜘蛛
蜘蛛ジャンプきらきら光る命綱


逆さまに宙に浮く蜘蛛昼の月
風の日の蜘蛛己が囲に張り付きて
雨粒が描き出したる蜘蛛の網
雨粒の重さに弛む蜘蛛の糸
造化とは雨を宿せる蜘蛛の網
蜘蛛の囲に白き花びら二三片
蜘蛛の囲にみどりの翅の遺りをり
蜘蛛身軽網一枚に寝起きして
網はパオ蜘蛛の暮しの遊牧めく
蜘蛛の囲の跡形もなく消えてをり

   

    蜘蛛はどちらかと言うと嫌いだったのですが、観察していると、その丸見えの生き方を好ましく思うようになりました。蜘蛛の本に蜘蛛は囲を遺さないと書いてあり、その通りであったことに感動し、蜘蛛の囲の最後の一句が出来ました。

 

 

 

蝶と遊ぶ

跨線橋渡り切ったる春の蝶
中空にジグザグとある蝶の道
蝶飛べり空の起伏を楽しみて
青空に蝶の軌跡の点と線
飛ぶことに倦めば吹かれて風の蝶
蝶時に鳥より速き急降下
草原に沈みて長き蝶の時
帆のやうに翅傾けて風の蝶
対馬丸沈みし海に蝶放つ
なんじゃもんじゃの花に番の黒揚羽


麝香揚羽世界遺産の二の丸に
目の前を泰然とゆく夏の蝶
影先に着地してをり夏の蝶
汝の幼虫吾の油点草食ひ尽くす
食草に仮寝の揚羽星の声
胴曲げて曲げて産卵揚羽蝶
秋蝶の翅の蜆の欠けてをり
秋蝶を空の深井に見失ふ
冬の蝶命ぬくめる石の上
扁平に命たたみて蝶凍つる

   

  田舎の我が家の庭に藤袴を植えて10年ほどアサギマダラを待っていますがいまだに来ません。
   油点草を食べ尽くしたのは、ルリタテハの幼虫です。ルリタテハは幼虫からは想像も出来ない美しい蝶です。
  近所にジャコウアゲハを育てている人がいて、羽化すると我が家にも飛んできます。今年も我が家の更紗卯木に群れるジャコウアゲハを見たいと思っているのですが・・・

                             

                                                                                    写真 : mimizu (2020年4月)