どうもこんばんは霧島です。
最近天気が荒れてて運動不足気味です…いい加減腰が爆発しそうなので今日は雨の中を散歩してきました。雷でめちゃ空ピカピカしてて美しかった。
先日映画ラストマイル観てきました!以下ネタバレを含みますのでまだ観てない!これから観に行く!と言う方はぜひ観た後に読んでいただければ…(今回は珍しくかなり盛大にネタバレしてます)

ではまず簡単にあらすじから…
DAILY FASTという大型ネット通販サイトの流通センターに、センター長として福岡から赴任してきた舟渡エレナ。チームマネージャーの梨本孔に施設内を案内してもらっていると、センターから発送された荷物が届け先で爆発し、次々と死者や重症者が出るという連続爆破事件が起こる。
最初の事件が起こったのはブラックフライデー前夜。いつもより荷物量が多く、流通をストップすると大きな損害となってしまう。流通を止めることなく爆弾や犯人を見つけようと躍起になるエレナだが…
こちらはドラマ「アンナチュラル」「MIU404」でお馴染みの野木亜希子さん脚本、塚原あゆ子監督、新井順子プロデューサーによる作品で、シェアードユニバースというドラマと同じ世界線で描かれる作品となっています。
(我がサークルRandom Walkでいうところのヒビカシティープロジェクト的な感じですね)
ここで少しアンナチュラルとMIU404の紹介を挟みます。
アンナチュラル:不自然死究明研究所(通称UDIラボ)という架空の研究所を舞台に、法医解剖医の三澄ミコトが毎回様々な「死」を扱いながらその裏側にある謎を解明していく物語。
MIU404:働き方改革の一環で、機動捜査隊(Mobile Investigative Unit)に新たに設置された第4機動捜査隊。そこでバディを組むことになった元捜査一課の優秀な刑事志摩一未と、奥多摩の交番から赴任してきた伊吹藍が初動操作の24時間というタイムリミットの中で犯人逮捕のために奔走する。
この二つももちろんシェアードユニバースなのでアンナチュラルのキャラクターが後続のMIU404に登場したりするのですが、今回のラストマイルも爆破事件なのでさきの作品とも相性がよく、各キャラクターが普通に仕事をして普通に登場するというとても自然な流れがあるんですよね。
ラストマイル、一つの作品として私はとても楽しめたのですが、過去作のドラマを網羅していた方が何倍も楽しめるのではないかなと個人的には思います。知らずに観ると単純にキャラの整理で結構いっぱいいっぱいになるのではないかと…
映画の世界観共有の話は一旦ここまでにして、内容についてもいくつか触れたいなと思います。
まず今作、ポスターを見れば分かる通り主人公は舟渡エレナ(満島ひかりさん)と梨本孔(岡田将生さん)なのですが、序盤あまり2人を好意的に見えるように描いてないんですよね。
野木さんの描くキャラクターはいつもとても魅力的なのでそこにまず「いつも(ドラマ)と違う感」を感じました。ともすれば悪役なのかも…?と観客が思うような描き方をしている。怪しさ満点なわけです。
そもそもが爆弾犯は誰か?というストーリーが一つの軸になっているので、観客は否が応でも犯人を探してしまう。
でもあるシーンを境にそれが一変するんですね。あの流れは本当に秀逸でした。
ドラマだと毎週視聴者に観てもらわないといけないのでできるだけ早い段階でキャラに好感を持たせる必要がありますが、映画はよほどつまらなくないかぎり序盤多少キャラの好感度が低かろうと観てもらうことができる。
そこをうまく利用した面白い流れだなと感じました。(もちろんストーリーが面白いから離脱されないというのは大前提)
そこで謎に包まれていたエレナの過去が描かれ、本当の意味で孔との運命共同体感が後押しされる。
この映画、もちろん流通センター内での出来事ばかりではなく、現場、つまり配送業者の抱える苦悩なども描かれます。これがまた物語後半でめちゃくちゃ効いてくる。
ちなみに余談ですが、この配送の過程で描かれる佐野親子の父親がよく口にしていた「やっちゃん」という人物、私は最初事件のキーパーソンとなる「山崎」と佐野父になんらかの関わりが…!?と思いながら観ていました。しかし彼はデリファス勤務だしまだかろうじて生きてるし…でも何か繋がりがないと浮いて見えるセリフだよな…と思ったんですが、これが仮に山崎の父親であるとすると結構すっと納得がいくんですよね…いや山崎が事故を起こしてからの父親の対応(恋人とのことで悩んでいたというのを間に受け恋人を非難したり、山崎が訴訟を起こさないというサインをしてるあたり)などにちょっと違和感を持ちながら観ていたので…
この辺りの描写がもう少しあるとより山崎の絶望が深く描かれたのかなとも思うのですが、描いてないあたりが逆に何があったとしても自死に至ってはいけないというメッセージのようにも思えたり…なんだり…
佐野親子の好きなシーンが二つあるんですが、一つはやはり息子が爆発に巻き込まれそうになった時に真っ先にかけより、自分たちが運ぶ荷物は大丈夫だと言ったじゃないか!と上司に怒鳴り…そのあと「あんたも無事でよかった」と2人の肩を抱くシーン…
この親子はスタートから組織の末端…言わば皺寄せがくるポジションとして描かれており、出だしからなんだか可哀想な雰囲気も漂っていてエレナと孔が持つべき好感度を担っていたキャラクターなのかもなとも思います。(可哀想だから好感度が高いとかそういう話ではもちろんない)
そしてもう一つは最後の爆破阻止のシーン。
これめちゃくちゃアツいのが最後に命を救ったのが、警察でもエレナたちでもなく宅配のおじさんというところなんですよね…
ラストワンマイル…「顧客にモノ・サービスが到達する最後の接点」(wikiより)
そもそも佐野親子の息子は、価格競争に耐えられず倒産した電機メーカーで働いており、その時に日乃本産の洗濯機というワードが出てくるのですがここにきてそれが命を救うとは…。誇りを持って真面目に自分の仕事をして、たとえそれが途中で潰えたとしても回り回って自分の命を救うことになる…もうこの映画の中で1番泣きましたね。真面目にこつこつ働いててよかったなあ…!!て心底胸に来ました。
ただ自分の仕事を誠実にやろう、という姿が野木さんの脚本ではよく描かれていて、私はそれがとても好きなので…
もちろんそういう人々が必ずしも報われる世界ではなく、「報われなかった人々」も描かれているのが苦しいですが…
そして何よりしんどいのが、これだけの事件が起こっても結局世界はほとんど変わらないということ。この映画で描かれていた山崎や筧まりかの姿と舟渡エリカの1番の違いは、世界を変えようとしたか、自分を変えたかだと私は思います。そうして、次はあなたの番とエレナから孔へと引き継がれていく。巨大な組織の中で何か問題が起きても、首だけ挿げ替えればまた変わらず機能してしまうんですよね。大事なのは、無理な時に無理だと誰かに言えること、やーめたと手を離してしまえる事。
いつかMIU404で九ちゃん(九重)が言った「自分が使えない奴だって認めるのは怖い」に対する陣馬さんの「間違いも失敗も言えるようになれ」がめちゃくちゃ思い出されました。山崎にはそういう人が…きっといなかったんだろうな…
そしてこの映画を全て観た後の米津玄師さんの「がらくた」
そういうことォ!!!?て情緒がぶっ壊れましたね。私歌聞いてる時にあまり歌詞を理解しないタイプなんですが(なにそれ?)これは本当に…そこの視点なの…?みたいな…
何を隠そうこれ1番しんどいのが山崎佑はまだ生きてる事なんですよね。いやもう目を覚まさないのかもしれない。でももし覚ましたらと思うと戦慄してしまいます。自分が何をしてしまったのかということの大きさに、生きていける気がしない…いやそれでも生きなきゃいけないというのが言わんとしている事なんだろうけど…それでもしんどすぎる…
この、それでも世界は変わらないという真実を単純な後味の悪さだけでなくエンターテイメントを交えつつ、過去作からのファンへのプレゼントも交えつつで描いていて本当にすごいな…と。
まだ一回しか観れていないので取りこぼしてる部分も多そうですが、それでも週刊ジャーナルというワードやメロンパン号、かつての若者の更生(というかMIUの勝俣くんに至っては放送当初「こういう子たち(警察に助けられた)が将来警察になったりするんだろうな…」と淡く思ってたので解釈が一致過ぎました)や立派に生きてる白井くんにもう興奮し通しでした。毛利さんは相変わらずさらっとかっこいいしさぁ…「山崎が濁らなかった」の件やば過ぎましたね。東海林さんに見せてあげたかった。(?)
伊吹の「きゅるっ」を完全に理解してる志摩とかスタンスの変わらない(真逆の)ミコトと中堂さんとか研修医やってる久部くんとか…木林さん髪伸びてたね。
もう何回か観たいです。観るたびに発見がありそう…
とまぁ思ったことをだらだらと書き殴ってしまいましたが、今年の夏(といってももう8月も終わりだが)は観たい映画がまだあるので、ひとまず仕事を終わらせて堪能したいと思います。
したらば!
rin