漫画制作で3DCGは意外と使える。
須々木です。
先日、遊木の読切漫画「アイヴォル」がとなりのヤングジャンプで公開されました。
いろいろ試行錯誤していたようですが、そのあたりのことは本人のブログ参照。
さて、遊木のブログでもちょっと触れられていますが、僕も3DCGでささやかなアシストをしたので、ちょっと触れておこうと思います。
RW的な協力プレーの一例として。
(作品未読の人は先に読んだほうが良いです)
コロナ禍の影響もあってそれっぽい場所に取材に行くことは難しく、さらに架空の空間。
しかも、作中基本ずっと同じ空間。
背景のクオリティが作品としての説得力にわりと影響するタイプでもあります。
というわけで、早い段階で3DCGの協力要請が来ていました。
もう空間丸ごと3DCGでやってしまえ戦略。
背景のためにガッツリ3DCGでつくってしまうというのは、これまでもノベルゲームでは結構やってきましたが、漫画に特化してやるのは初です。
今回、3DCGに関する流れはこんな感じでした。
(使用画像は遊木の確認済み)
●遊木からの発注
空間の間取り、イメージラフ、資料写真、メモ書きetcなどが来て、さらに口頭説明。
こちらからも気になる点の聞き返しなど。
こんなふうにいろいろ情報が詰まったパックが飛んできました。
これを下絵として3DCGにしていきます。
もらった時点で、階段のあたりは高低差と階段ステップの寸法が矛盾しそうだったので、そのあたりの確認もとりました。
ビリヤード台の数も調整可能か確認。
このくらいの間隔だと、打つのはきついので、台は減らす方向に。
ちなみに、写真はBankART Stationです(撮影:遊木)。
天井については雰囲気重視だったので、わりとフィーリング。
●モデリングを頑張る
とりあえずBlenderでつくるだけ。
随時確認してもらい、雰囲気がずれていないか注意しつつ。
どこまでつくり込むのかも随時確認。
ひたすらつくるだけで、リテイクみたいなのはなかった気がします。
天井をそれっぽく見せるのは少々苦労しました。
天井の配管の仕組みなどググったり。
光や影の雰囲気も参考にしたかったようなので、それらも可能な範囲で調整。
真上から見るとこんな感じになりました。
(天井ははずしてます)
Blenderですけれど最新版にしてない・・・
●遊木のネームにあわせてカメラ配置&レンダリング
遊木とネームを見ながら、背景が必要な場所、アングルを確定し、カメラを置いていきました。
Blenderの3Dデータをクリスタで活用するなら、Blenderでfbx形式のエクスポートをするのが手っ取り早いのですが(クリスタで直接グリグリいじれる)、今回は光や影も見る必要があったのでBlenderでレンダリングする流れで。
というか、そもそもデータサイズがでかかったので、fbxは厳しい。
ここまでやったら、あとはレンダリング。
以下、実際にいろいろ渡した中から3枚チョイス。
作中のどこで使われたのかは各自確認で。
※都合により一部ボカしています。
●レンダリング画像を渡してあとはひたすら遊木が頑張る
このやり方で進めるのが初めてなので、ここからさらに遊木が試行錯誤。
画像から漫画の状態にするまでいろいろなご苦労があったようで。
厄介なポイントが分かってきたので、今後はさらに効率化できると良いですね。
過去にも注文があって3DCGというパターンはありましたが、このレベルは初でした。
今までガッツリやるのはノベルゲームの背景用がメインでしたが、ノベルゲームのときは僕がシナリオのメインを兼ねるパターンが多く「シナリオを考えつつ3DCGもやる」という感じでした。
つまり、僕はわりと好き勝手やってイラスト組に回す流れ。
今回は具体的に注文をもらい、そのイメージを実現していく必要があり、その点は少し新しかった気がします。
でも、RWとして積み重ねた過去の創作はいろいろ活かされていたなと感じます。
RWはオリジナルオールジャンルの創作サークルですが、現状、漫画制作の比重がかなり高くなっています。
そのような状況で、3DCGは結構強力です。
3DCGのみでクオリティの高い作品をつくるのは、かなりの鍛錬が必要だと思いますが、漫画のサポートだけなら初歩的なモデリングができるだけでも結構貢献できます。
というか、この役回りでは、3DCG能力より設定考証能力の方が重要な気がしないでもない。
せっかくの創作集団なので、今後も漫画制作の効率化につながる3DCGの活用法は模索していきたいですね。
本当は僕はあまり3DCGメインで頑張りたいタイプでもないので、ゆくゆくはそういうことに意欲をもった新メンバーでも迎えられればいいなあとも思っています。
(「仲間募集」は今後状況を見つつ再開予定)
3DCGの話を聞いたうえで、背景にも注目してご覧あれ。