沼に落ちると人生が豊かになるよ
どうも遊木です。
最近は天気が良過ぎて、運動不足解消のためのウォーキングが捗ります。
先月の記事でも触れましたが、自粛期間中はいつもよりインプットを積極的に行っています。
先月に引き続き今月も、新しいものをいくつかと、過去に面白いと感じたものを再度見直したりして、作品の分析に勤しんでいました。
というわけで、今回は最新のインプットの中から久しぶりに沼った作品「魔道祖師」について語ります。
詳細なネタバレはありませんが、あらすじやキャラ紹介レベルの情報はあるので注意。
1月の記事でもさらっと触れましたが、原作は中国のBL小説(完結済み)です。
本国やアジアで大ヒットして、実写ドラマ、アニメ、ラジオドラマ、漫画など様々な媒体でメディアミックスがされているよう。
日本語の媒体は、先月から地上波放送が始まった吹き替え版アニメ、ラジオドラマがあり、実写ドラマ「陳情令」は字幕版があります。
原作はBLですが、中国のお国事情柄、アニメ&実写ドラマはブロマンス止まりの仕様らしいです。多分アニメが一番ライトだと思われる。
全部の媒体は当然見れていないっていうか、なんといっても原作小説の日本語版が発売されていないので(今年の5月に発売予定)、自力で翻訳したりいろいろなところからかき集めた情報ですが、「魔道祖師」の魅力をいくつかご紹介したいと思います。
〇「世界観」「設定」の厚みとキャッチーさ
「魔道祖師」は古代中国の文化を背景にしつつ、怨霊や妖怪が出現する世界観です。
メインキャラは修行者と呼ばれる人たち(陰陽師的な力を持った人たち。戦う仙人みたいな)で、彼らは怨霊や妖怪を退治することで一般人の平和を守ることが使命、みたいな設定です。これだけだとめっちゃわかりやすいですよね。
ただ、この修行者たちの属する各一族には独自の設定があって、それぞれ得意な術や家風も違います。勢力関係とかもしっかり考えられおり、むしろその勢力争いが物語の軸となっていく。鬼や怨霊がポイントになりつつも、それを退治することはあくまでもこの世界の日常であって、物語の軸の話題じゃない。
“仙人たちの妖怪退治”というキャッチーな題材を扱いながら、それがメインではなく、派閥争い的な妙に生っぽい切り口で物語が進行するので、今までにありそうでなかった作品だと感じました。
あと地域の文化や歴史の細かい設定まで詰められている(っぽい)ので、ちょっとしたくだりにも説得力があります。ただ、設定を理解しないと??となる箇所もあるので要注意。
というか、この作品を視聴するうえで一番最初にやるべきことは「キャラの名前を覚えること」です。古代中国を舞台にしているせいか、キャラの呼び方が一人につき複数ある上に、日本人には馴染みがない発音なので……。
例えば主人公は、魏 無羨(ウェイ・ウーシェン)、名が嬰(イン)、字が無羨(ウーシェン)、号が夷陵老祖(いりょうろうそ)。
親しい人には魏嬰(ウェイイン)、阿羨(アーシェン)と呼ばれたりもします。メインキャラは大体このぐらい呼び方があるので、慣れないうちは「それ誰やねん」となる。
ちなみに日本版ラジオドラマだけは日本語読みなので、魏 無羨(ぎむせん)、魏嬰(ぎえい)と呼ばれています。
あとアニメ版は、日本アニメのような突飛な髪や見た目のキャラはいないので、最初のうちはキャラデザ分かりにくいな~と思ってましたが、何か知らない間に慣れました。慣れると普通に良いキャラデザと感じる。
特に主人公の変遷が良い。
〇展開と主人公の魅力
まず、物語のスタートが「死んでいた主人公が復活する」ところから始まります。
どうやら主人公は、生前めっちゃ強くて、死んだ後もなお語り継がれる大悪人として討伐されたよう。
でも復活した彼は全然悪人っぽくない、天真爛漫でおしゃべり、にこにこ笑っているタイプの子です。おちゃらけているようで、さりげなく人助けをしたり、年下のフォローをしてくれるような善人。典型的、弱きを助け悪を挫くタイプ。
じゃあなんでこんな人が、そんな大悪人と呼ばれて死ぬことになったのか、というのが一つ物語の肝になっているわけですが、このあたりの展開が私的に大変ツボで熱いです。まさに“義を貫く”を体現している主人公。
天才肌で様々なことが極めて優秀の上、稀代の美男子で、女の子大好き!お酒大好き!不真面目だけど勉強も優秀!絵も音楽も得意!発明もするよ!という盛りまくった設定だけど、その分非常につらい目に合うのでどっこい。
まぁ最後は「だが受けである」が全てを解決(?)してくれます。やっぱり主人公は受けに限る。(例外は認める)あと、途中養い子を連れているシーンがあるのでママみも感じられてマジ優秀です。攻めに「その子は?」って聞かれて「俺が生んだ」って答えて困惑させるらしいからね。しゅごい。
といってもこの作品は、大きな陰謀を暴き悪を成敗する話であって、別に受けと攻めがくっつくことを主軸にしている話ではないので、BL要素がなくても普通に面白いです。
あと個人的な趣味の話ですが、私はキャラが一度死んで、まだそのキャラを知っている人が普通に生きている時間軸に、別人として舞い戻る展開が好きなんですよね。「推しの子」とか。そんで、正体を隠したり暴かれそうになったりの話が大変美味しい。「魔道祖師」はまさにこの展開で、WHOOOO!ってなりました。
〇稀に見る最強の“攻め”
BL要素がなくても面白いと言いましたが、当然BL要素があるからこその面白さもあります。
個人的にすげぇ…となったのが攻め(もう一人の主人公)の存在。なんというか、ここまであらゆる意味で最強の攻めはそういない。
何が強いって、能力的な強さもありますが、受けに対する感情が激強い。なんかもう受けのためなら全てを捧げそうな激重感情を、しれっと抱えている。
若かりし頃は受けに対する思いを上手く表現できず、様々な悲劇の末、死別。受けが死んでいる間は、別に両想いだったわけでもないのに彼を一途に思い続け、彼の面影があるものをひたすら追い続ける日々。
そんな生活を十年以上続けたせいですかね……受けが復活してからは、もう悟りを開いているレベルで受けを大切にします。
しかし受けは生前、攻めには嫌われていると思っていたので、復活してからの攻めの態度に「え…?こいつに一体何が…?」と思われる始末。哀れ。
あと無意識か意識的かはわからないけど、お前それ外堀埋めてるよね?と思わなくもない行動が多々あります。
ちなみに天真爛漫、問題児タイプな受けとは反対に、攻めは品行方正、誰もが認める聖人君子タイプです。口数が少なく表情もほとんど変わらない超美人。でも目がめっちゃ雄弁。(と感じる。私が)
口がうるさい受けと目がうるさい攻めの組み合わせですね。
私が触れたのはアニメ、ラジオドラマ、実写ドラマですが、媒体によって設定変更している箇所はあるものの、どの媒体もポイントは押さえられているのでどれもおススメです。
あえて言うと、アニメは絵としての情報量は多いけど、展開が超早い。本筋と関係ないくだりは結構カットされたりすごく圧縮されている。ただ、術を使ったり飛んだりするファンタジー的表現は当然一番良い。
ラジオドラマはBL要素が残っているっぽいし、多分時間軸も原作通りの進行な気がする。ただ絵としての情報がないので、初見さんは状況や設定を理解するのが大変そう。
実写ドラマ「陳情令」は、ワイヤーアクションやCG演出に慣れれば無問題。BL要素がブロマンスになっているものの、結構濃い目のブロマンスで原作リスペクトを感じる。主人公が別人として復活する設定がキャストの都合上変更されているけど、原作にはない設定を足したりして上手くまとめていると思います。全50話かけてしっかり表現されている印象。あと音楽が良い。
ちなみにドラマの吹き替え版はありませんが、宣伝PVだけアニメキャストで吹き替えされているのがあります。↓↓
…まぁ、アニメキャスト良いと思うけど、実写は字幕の方が私は好きです。中国語がかわいい。
とにかく早く原作が読みたいーーー!!!
あとweb漫画が連載されているっぽいけど、あれは日本語訳版にならんのかな……。
aki