電脳九龍城砦
どうも遊木です。
最近いろいろな場所に出かけすぎて、逆に何のネタを書けば良いかわからなくなっている今日この頃です。ぜいたくな悩みですね。
全体の話は月末の活動報告であげれば良いかなぁと思うので、今回はその中の一つをピックアップ。
昨日、11月17日に閉店したウェアハウス川崎店について。
「電脳九龍城」というコンセプトで外装・内装がデザインされているアミューズメント施設、つまりゲームセンターです。
九龍城砦とは、当時イギリスの植民地だった香港と中国の境目に生まれた不管理地帯の名称で、違法建築を重ねた結果「一度入ったら出てこられない」と言われるような、独特の構造をしたスラム街です。ちなみにBLACK LAGOONの張が所属する三合会は、ここが拠点になっていたそうな。ビジュアルも歴史も興味深いので、気になる人はぜひwikiへ!
で、この「電脳九龍城」、そのデザインの凝りようは噂で聞いたことがあったのですが、近いわりに行ったことがありませんでした。いずれ行きたいなぁとは思っていたのですが……。そしたらなんと閉店するらしいではないか。これは行かねばなるまいと、先日須々木氏と乗り込んできました。
とりあえず写真からどうぞ。
ちなみに私はスマホで撮影しているのでいろいろしょぼいです。須々木氏の方が良いカメラで撮影しているので、しっかり見たい方は彼のインスタへどうぞ。
外装。この時点ですでに浮いている。
入口。入った瞬間に両側からスチーム(っぽいもの)が浴びせられる。
奥に見える扉が入口。
出口。
娼婦の再現として下着姿の人形が中で寝ている。
エレベーター。
奥の扉をくぐると駐車場へ続く。
ここまでが一階フロア。
一階は本当に「九龍城砦」の再現だけがある。
二・三階がゲームセンター。
あと、頑張って写りこまないようにしていますが、結構な数の人がいました。みんな写真撮ってた。
換気扇までしっかり回っている。
よく見ると赤い下着が干してある。
肉屋。小道具まで再現度が高い。
マリカーみたいなメジャーなものから、レトロなものまで幅広いゲーム機がある。
感想は「何故ここまで本気を出した?」です。
ちょろっと調べると、どうもウェアハウスは外装・内装のデザインが独特のものが多いらしいですが、それにしても……。
使われているのは、九龍城砦(1993年ごろに取り壊されている)から本当に持ってきたものらしく、落書きに使われている広東語も香港人のチェックを受けているとのこと。もはや歴史的価値があるのでは?と思わせますね。
この施設は18歳以下立ち入り禁止となっていますが、それも頷けます。特にその歴史を知らなくても、売春や薬物が横行していただろうというのが一目でわかるほど、内装は赤裸々なものでした。
そしてこの施設で何より感性が刺激されたのは、「東洋の魔窟」と言われた混沌さに“電脳”という要素を足したことによって、サイバーパンクの雰囲気を具現化している点です。
サイバーパンクといえば、攻殻機動隊、ブレードランナーでもお馴染みのディストピアです。そして、サイバーパンクはもともとリアルな現実性が意識されるジャンルなので、これらを見た人間に“訪れるかもしれない未来”を予感させる面白さがあります。
「電脳九龍城」では、今まで映像や絵といった二次元でしか触れてこなかったディストピアが、急に目の前に突き付けられたような、そんな不思議な感覚を覚えました。そして、「うわー!ここを舞台に創作したい!」と思わせる強い刺激がありました。
この“刺激”は、創作者にとってとても重要です。人間、経験を重ねれば様々なことに慣れてくるし、何かを調べようとすればネットで簡単に情報が手に入る時代です。そのせいか、私自身“刺激”に対して鈍感になっているところがあるなぁと感じていたのですが……。なんというか、今回の体験はスリープモードになっていた自分の感性を再起動してくれたような、そんな感覚がありました。
情報、作品から学べることも沢山ありますが、やはり実体験に勝る刺激はそうそう無いのかもしれませんね。
閉店してしまったのが残念でならない!
おまけ。
思わずノンリレの主人公を重ねたらめちゃめちゃマッチした……。
aki