漫画ネームプレゼンテーション
どうも遊木です。
ここ一ヶ月くらい精神的に追い詰められていましたが、プレッシャーから一旦解放されたのでまた色々な方向の創作意欲が高まっています。……ホラーゲーム作りたいんだよなぁ。(浮気性)
さて、昨日のミーティングでは久しぶりに企画ものをやったので、ちょろっとブログでも触れようと思います。
2018年度のサークル活動は漫画制作中心と決めていたので、企画内容も当然漫画関係のことなのですが、去年の4月からずっとミーティングは(外出系以外)各メンバーの制作物についてのディスカッション、ディスカッション、ディスカッション、とにかく沢山ディスカッション……状態でした。
しかしもう年度末も近いので、ここいらで一度まとめになることをしようかなと思い、「ネームプレゼンテーション」という企画を行いました。内容は読んで字のごとく、「自分のネームについてプレゼンを行う」というものです。
すごく特別なことをしたわけではありませんが、こういうことは複数人で創作活動しているからこその内容だと思うので、少しどういう流れだったのか紹介したいと思います。
ちなみに、このタイミングで企画を行ったのは、前述の通り「一年のまとめになることをしよう」というのもありますが、久しぶりに全員が同じタイミングで完成形に近い新作読み切りのネームがあったからです。全員の制作状態が被るのは最近では珍しかった。
▼「ネームプレゼンテーション」
■概要
〇各自自分のネームについてプレゼンを行う。
・ページごとの流れ、台詞、コマワリ、アングルなど、各演出にどのような意味や効果を与えているのか。
・大きな区切りの演出面(起承転結、序破急、物語全体の一貫性など)をどのように表現しているか。
・コンセプトやテーマ、物語、キャラクターの関係性。
・自分のこだわり、苦労した点。 …etc
■目的
〇自身のネームを客観的に見直すため。
・効果や演出、台詞などが自分の狙い通りに機能しているのか。
・自分は何に気を付けて、どのような点に気を配っているのか。
・苦労する部分、苦手なものの確認。
・それらをどのくらい理解し、自覚的に使いこなしているのか。
〇他メンバーの持つテクニックを学習するため。
・単純な画面作りはもちろん、物語の展開、メリハリのつけ方、伏線の使い方などもテクニックのひとつ。
・感性の部分とテクニックの部分の明確化。感性を盗むことは難しいが、テクニックは知識として学ぶことが出来る。盗んで学べ。
■発表後
〇質疑応答
・発表を聞いたうえで、理解できない部分、より詳しく聞きたい箇所の追求。
・発表には含まれなかった聞きたい部分の確認など。
〇全員終了後
・プレゼン企画への感想。
・最後に遊木(企画提案者)が全体のまとめ。
当日は非常に有意義な時間を過ごせたと思いますが、この企画を振ったのがミーティングの2、3日前だったので、メンバーには十分な準備期間をあげられなかったのがひとつ心残りです。
せっかくなので、プレゼンでは具体的にどのようなネタが出たのか、メンバーを代表して載せていこうと思います。(都合により載せられない情報もあるので飛び飛びですが)
※内容はあくまでも私のl個人的意見です。漫画界全体に当て嵌まるものではありません。
ネームプレゼン内容 by遊木秋勇
■大まかな発表内容
〇制作物の前提条件の確認。
・目的。
・求められていること。
・注意することなど。
〇ネームに盛り込んでいるテクニックについて。
・展開などについて
・ページをめくらせるための方法
・個人的に良く使う演出手法
「前提条件の確認」については、諸事情により表に出せない情報が多分に含まれるので、ここでは「テクニック」についてのみ書きます。手元にあったネームを具体例にして発表したので、ちょっと???な所もあるかもです。
☆ネームに良く盛り込むテクニックについて。
①展開関係
・“午前、夕方、夜、朝”など「時間経過」で区切る。(回想シーンなどは別)
・例えば、午前(この間に物語に必要な餌を蒔き切る)、夕方(最後の盛り上がりへの助走)、夜(盛り上がりと物語の伏線を一気に回収)、朝(この話の結論、まとめ)的な感じ。
・この方法は結構使い勝手が良い。読者に直感的に伝わりやすい。
・場所移動、天候の変化などで表現することもある。
②ページをめくらせるためには(漫画はとにかく次のページをめくらせることが大切)
・わかりやすいのは、見開き単位の「起承転結」(とは限らないが)の「結」を次のページ冒頭に持って行く方法。大切なのは直前の「フリ」で、「結」を見たくなる「フリ」がなくてはならない。所謂引きと呼ばれるもの。場合によって、強い引きの上でその引きを「裏切る」という合わせ技もある。
・「フリ」は直前のコマだけのときもあるし、ページ全体のときもある。
・逆に「起」の部分を、見開きラストに持ってくるのもあり。こちらの方が少しマイルドな引きになる。
・このどちらかと、アクション的勢いで読ませるのが自分の定石。ただし勢いだけで読ませるのは、読者の目が慣れると威力が弱まるので多用しない。
・基本的には、「フリ」と「回収」の繰り返し。これはページごとの細かい部分と、物語全体の大きな視点、両方に当てはまる。(伏線の回収など。)
③個人的に良く使う演出手法
・カメラのズームアップ。
…かなり使う。対象にスポットライトを当てるのと同じ効果。急激にズームの倍率が上がるほどメリハリがつく。逆に回数を重ねてのズームはじわじわ雰囲気を高めていく感じ。
・カメラのズームアウト。
…アップほどは多用しない。アップの場合は「動」の表現に向いているが、アウトの場合「動」のものを鎮静化する作用がある気がする。カメラを引くことによって周囲の状況を見せ、少しその場面に客観性や「静」の要素を入れられる。
・同一のものを別アングル撮りする。
…シーンを強調して印象を強くする。アングルを大きく切り替える程「動」が強くなる。
・同じカメラアングルの積み重ね。
…「リアルタイムの変化」を表現しやすい。わざと同じアングルにすることで、「限りなく小さな“動”」を表現できる。ノベルゲームなどの差分表現に近い。ギャグシーンとの相性も良い。
・「動」の前にワザとらしい「静」(一時停止的な)を入れる。
…多用するとくどいが、ここぞと言う時には効果的。印象に残る。
・「文字」が主役のシーンやコマを入れる。
…「文字」は漫画にとって重要な要素。たまにそういうシーンを作ることで空気感を変えたり印象的にしたり、演出のメリハリになる。
他にもちょっとした癖などが結構ありますが、全部は紹介しきれないのでこの辺で。どれも特別な内容ではないです。漫画描きあるあるなものばかり。
基本的には「静」と「動」の使い分けで演出を盛り上げたり、メリハリをつけているのかな……。(自分でも曖昧)
漫画には「静」に向く演出方法(淡々としたアングルやコマワリなど)と、「動」に向く演出方法(カメラを俯瞰やアオリにガンガン切り替えたり、コマを変形させたり)というものがあると思いますが、それらをセオリー通りに使うこともあれば、わざとアベコベにしたり(アクションシーンでわざと単調なコマワリにして、当事者ではなく第三者の視点っぽくしたり)、とにかく画面を飽きさせないことが大切かな、と。
でも、こういう小手先の画面作りは結構感覚でやっていることが多く、今回のような機会がなければ改めて考えないことです。それよりも、物語全体の筋、キャラクター性の筋、伏線の回収など、そういう展開に関わってくることの方が意識的に気を付けて制作しています。じゃないとあっという間に破たんする。
ミーティングではネームを見ながら、各項目の具体例をその都度示して進めたのでもう少しわかりやすく出来ていたと思うのですが、文字だけだと本当にわかりませんね……。
機会があれば、しっかりサンプルを表示したものをいつか公開できればと思っています。
こういう勉強会はそれなりの熱量を持ち、同じ媒体を扱う仲間がいないと成立しないので、今の環境はやはり恵まれているなぁと感じます。
この環境の良さをみなさんにお伝えするには、やはりわかりやすい成果を上げることだと思うので、その辺はサークル発展のためにも頑張りたいです。
メンバー一同、引き続き制作を進めて参ります~。
aki