COMITIA123の話 | 乱歩酔歩--Random Walk official blog--

COMITIA123の話

どうも遊木です。

今回は2/11に行われたCOMITIA123についてのまとめをしたいと思います。

 

 

私は、モーニング・ツー、ITAN、アフタヌーンが主催した即日新人賞が目当てでイベントに参戦しました。

せっかくなので編集さんによる対談、ちばてつや先生による講演会、即日新人賞の感想、自分の意見などをまとめたいと思います。

…徹夜状態で参加していたので若干内容があやふやなところがありますが…多分大きなズレはないと思います。まぁ元々ざっくりしかメモ取ってないけどな!

  

この日の流れは、即日新人賞作品提出⇒各編集長による対談(間に30分ぐらいちば先生登場)⇒即日新人賞結果発表という感じでした。

 

 

 

モーニング・ツー、ITAN、アフタヌーンの編集長による対談

テーマは<新人賞への挑み方>

編集長さん達が事前に募集した質問をもとに、その雑誌で重要視しているポイントを答えていく流れでした。……一応内容はメモしていたのですが、どの内容をどの編集長が言ったのかはメモし忘れた……けど、あまりどの編集部も違いがなかったので多分大丈夫(?)

まず初めに、各新人賞(ちばてつや賞、四季賞、スーパーキャラクターコミック大賞)の説明がされ、その後に以下の7項目について対談が行われました。

 

①新人賞を取る作品は

 ・編集に「この作者の強みを、自分が最大限引き出したい」と思わせるもの。

 ・わかりやすくて面白いもの。面白くても人を突き放すような内容は佳作止まりが多い。

 ・完成度の高さではなく、キャラがいきいきしているものが良い。画力の高さより、キャラが“いきいき”している様子が描けているのが大事。

 

この項目に関しては、「まぁそうやろうな」という感じでした。今回の三編集部に限らず、商業誌なら多くが同じ内容を答えるのでは。

 

②どうして新人賞をやるのか

 ・編集と作家の出会いのきっかけ

 

これしかメモしていなかった!

 

③新人賞のメリット(ネットやイベントに比べて)

 ・自分の作品に可能性を感じた編集が担当についてくれる。

 ・四季賞の場合は、好きな先生が自分の作品を見てくれる可能性がある。

 ・賞を取った場合、全国の書店に自分の作品が載った雑誌が置かれ、多くの人に見て貰える。

 

この項目から、編集部には「商業誌信仰」が根深く残っているんだなぁという印象を持ちました。

ぶっちゃけ「多くの人に見て貰える」という点において雑誌がネットに敵うわけがない。まず雑誌を手に取って貰うこと自体がひとつのハードルなのに、その中から自分の作品を読んで貰うことがいかに大変か……。

個人的には、「自分の作品に評価された分のお金がしっかり払われる」的なことの方が、よっぽどわかりやすく刺さると思いました。

 

④投稿作を自分はこう読んでいる

 ・「私はこれを描きたい」「世に問いたい」など、強い感情がこもっているかを重視。

 ・読んだ後に、「もう一度読みたい」と思わせる作品かどうか。

 ・主人公でなくても、目を引くキャラが登場しているか。

 ・絵が上手いことは重要だが、上手いだけでは評価されにくい。

 

この項目についても「まぁそうね」という感じでした。…しかし、この後に行われた即日新人賞の一次選考通過作品がどれもめちゃめちゃ高い画力で、最後の項目への説得力が砕け散った。

 

⑤投稿者が陥りやすいミス

 ・ふきだしのしっぽがない、手など部品の役目がわかりにくい。

 ・普段漫画を読まない人でも、ストレスなく読めるようにしなくてはいけない。

 ・場面に二人しかいなくても、どの台詞をどちらのキャラが話しているか、明確にふきだしのしっぽをつけるべき。

 ・中身が分量に見合っているか。適正なページ数を取れているか。

 ・特にページ数の指定がない賞には、内容に対してページ数が多すぎたり、短すぎたりするケースが多い。

 ・「自分の好きなもの・こと」をただ描くだけでなく、第三者に伝える、他者と共有するような内容にしなくてはいけない。

 

これもその通りかと。適正ページ数については見落とされがちな項目の気がしますが、結構大切なことなんだろうなと思います。ふきだしのしっぽについては、さいとうたかを先生も拘ってましたね。

 

⑥新人賞を取るためにやるべきこと

 ・漫画描きは孤立しやすいため、客観的な視点を持つことが難しいが大切なこと。

 ・何においてもやっつけは駄目。

 ・本物の雑誌に、他のプロ作家に混じって自分の作品が載っているイメージを持てるか。

 ・漫画を読まない漫画家は多いが、長い作品、良い作品をつくる先生は共通して映画を見ている。

 

「本物の雑誌に~」のくだりは、今まで意識してきませんでしたが確かにわかりやすい基準、感覚かもです。客観的な視点に関しては、サークル活動を通してひしひしと感じているので、その通りだなと。身近に漫画描きがいて、お互いに講評し合える今の環境は恵まれています。

 

⑦こんな作品が読みたい

 ・最近は私小説な様なものが多いが、もっと息抜きになるような作品が読みたい。

 ・最近は元気が少ない漫画が多い。もっとキャラが行動を起こす、元気な作品を読みたい。

 ・画面、物語に動きがあるものが読みたい。

 

これは以前担当さんにも言われました。息抜きになる日常系が供給過多な一方、主人公が努力、成長していくような元気な作品は少なくなっているらしいです。「単純に楽しい」という作品が減っているようですが、出版側はそういうタイプが欲しいとのこと。

 

 

ちばてつや先生講演

確か、「先生は今の漫画をどう見るか」的な内容だったと思います。(曖昧)先述の⑤~⑥の間に、30分ぐらい登場されました。

 

・先生がデビュー時は、読者がヒーローに憧れる傾向にあった。(ヒーローという役職というより、わかりやすい憧れの象徴という意味)

 ・最近は私小説のようなものが多い。自分の悩み、いじめについてなど。これは現代の世相を表しているのだと思う。

 ・漫画はかつて息抜きだったが、今は違う。色々なジャンルが出てくるのは見ていて楽しい。

 ・ちば先生的にヒーロー不在はありなのか?→それが今の形。若者たちの言葉を聞くのは楽しい。

 ・プロは「人に読ませる」が何より一番大切。楽しいことだけではなく、当然苦しいことも辛いことも多い。

 ・漫画は読むもので、読み砕くものではない。さらっと眺めるだけでわかるものが望ましい。

 ・わかりやすい、読みやすい、かつメッセージ性があるものが良い。

 ・漫画は映画と同じようなことをしているのに、映画ほどお金がかからず、自分で全てを決められる。だからこそ、時間、我慢、忍耐が必要となる。

 

 

即日新人賞

提出された作品は全部で99作、うち一次選考を通過したのは9作品でした。

感想としてはまず第一に「一ヶ月かそこいらで作った作品出してごめんなさい」でしたね。まさか、一次選考通過した作品すべてが製本されているものだとは思わなかった…。なんというか、根本的な熱量が違いましたね。

最終選考は、その場で各編集さんが話し合って決める流れでしたが、まぁ適度にぐだぐだでした← しかしどの作品もめちゃめちゃ完成度が高い。画力もやばい。「絵はまだ難ありだけど、きらりと光るものがある」ではなく、「圧倒的に完成されているもの」が選ばれた感じでした。

しかし2時間そこいらで99作品見るとなると、確かに「才能を探す」というより「パッと見て圧倒される完成度」が選ばれるのは当然のような気がします。(一応しっかり見て欲しい人は1月末までに提出することになっていましたが)

「即日」で結果を出す以上、選ばれる方も「即戦力」であるのは当然かな、と。

 

自分が提出した作品への評価は後日触れようと思います。

というのも、持ち込んだ作品は本日から外部公開予定の「設定交換制作企画」のものだからです。この企画では外部投票を呼び掛けるので、事前に作品情報を出し過ぎるのは微妙かなぁと。

諸々が済んだら、企画感想と一緒にいろいろ書こうと思います。

 

 

 

さて、全体的な感想ですが、商業誌でプロデビューを目指す人にとってはどれも「そりゃそうよね」という内容だったのではないでしょうか。特別新しい情報はありませんでしたが、逆を言えば、どの出版社も求めている根本はかなり似ているということでしょうね。

昨今は特に、「商業誌の新人賞でデビュー」だけが漫画を描いて生きていくための道ではないし、紙媒体とweb媒体を同じように考えることも出来ない。そして「読みやすくて楽しい作品」だけが評価される時代でもない。しかし一方で、時代を超える普遍的な「楽しい作品」を蔑にするのも、やはり違う。一概に「○○は正しい」とは言えないなぁと感じました。

作品発表の場、デビュー方法、自作で稼ぐ手段、それらが増えたからこそ、漫画を描く人間は昔よりしっかりと「自分が目指すもの」「達成するのに適した場所・方法」が何なのか考えなくてはいけない気がします。

 

 

というわけで、即日新人賞に提出した作品は本日午後10時頃公開します!

サークル内で進行中の「設定交換制作企画」用の作品で、この企画は外部の方から評価投票して貰うシステムもあります。

詳細は特設ページにありますので、よろしければ是非ご参加下さい~!

 

 

ではでは~

 

 

aki