「91Days」感想だぉ | 乱歩酔歩--Random Walk official blog--

「91Days」感想だぉ

どうも遊木です。

ぼちぼち生きています。

 

3連休は母校の文化祭に行ったり、須々木氏がすでに記事であげている「STEAMPARK」に行ったりと、割と活動的でした。(「STEAMPARK」の感想は次の記事にでも)

ちなみに母校の文化祭では、漫研に「〇年度部長参上」という置手紙(置絵紙?)をしてきました←

 

10月は、先月の修羅場を抜けてから暫く、ずーっと出来ていなかった作品のインプットに勤しむ日々を送っております。(ぼちぼち制作の方もやっています)

今回は、見た中でも私好みだった「91Days」の感想でも書こうかと。

 

 

ネタバレ含みますので未視聴の方はお気をつけて。

 

 

まずこの作品は、「家族を殺された主人公アヴィリオが、7年の時を経て仇のマフィアに復讐を遂げるための、91日間を描いたもの」です。

物語の主軸となる↑の内容は、たいして珍しいものではないですが、この作品のポイントは「復讐を遂げるアヴィリオが、あくまでも“アンチ主人公”として表現されている点」だと思います。

アヴィリオの復讐対象者が、作中では「マフィアでありながらどこか憎めないキャラ(仲間を大切にしてたり、良い兄貴分的性格だったり)」として描かれており、アヴィリオの方が陰鬱で冷徹な性格ゆえに、「こいつの方が悪役じゃね?」と思わせる演出が強いです。こういう表現は、ギアスのルルーシュに近いかもしれませんね。

その主人公の演出のせいで、単なる“仇討ち”の物語より複雑で厚みのある内容になっています。

 

 

まぁ、当然この手の物語は「復讐を遂げた最後に、主人公は一体何を得るのか」というのが一つの見所なわけです。

この「最後」が見えているという点は、エンターテインメントにおいてマイナス要素と思われがちですが、私的には「最後」が見えているからこそ、その途中の物語に見る側が引き付けられるものがあると思っています。

特に「91Days」は、アヴィリオも見る側も、序盤からネロがアヴィリオの復讐対象者とわかっているわけで、それなのにどんどん二人は絆を深めてしまう。見てる側からすると「え?アヴィリオ、それって演技なの?最後にネロのこと殺すんだよね?」と、コルテオの気持ちと同調してしまうわけです。ネロがドンに就任したとき、忠誠の証に手にキスをしていくシーンなんか「アヴィリオいいの?それいいの?演技なの?」とか思っちゃう。

これ系の物語独特のハラハラ感ですね。

 

私がこの物語で「いいな」と思ったのは、最後、アヴィリオがファミリーの裏切り者だとばれ、親友を含めた様々な人間が死に、多くのものがなくなった「その後」がしっかり描かれているところです。

最終的にアヴィリオも、ネロにとってファミリーをめちゃくちゃにした“仇”になるわけですが、お互いがお互いの仇だとわかった状態で、まる一話分二人で旅をする演出が入れられている。

この最終回一話の演出を入れることによって、序盤の二人旅に、単なる「復讐者と対象者の歪な二人旅」以上の意味が生まれるわけです。演出もわざと、一回目の旅をなぞるようなものにされていますしね。

また、ヴァネッティ・ファミリーの人間が、非常に“人間らしく”表現されているのとは対照的に、アヴィリオは最後まで“復讐に取りつかれたもの”として描かれていたのもこの作品の魅力だったのかな、と。 だからこそ最終話で「だったら7年前に自分を殺しておけば良かっただろ」とネロに泣きながら激昂するシーンがすごく際立ったわけです。ここにきて、初めてアヴィリオは本音をぶちまけたというか、復讐に生きる以外の選択肢がなかった自分を憐れむことができたというか…ここの台詞はもう「何故あのとき自分を殺してくれなかった」としか聞こえませんよね。

 

最終的にアヴィリオはネロを殺さず、「すべてが無駄ごと」と言いつつも、「俺がお前を殺さなかったのは、お前を殺したくなかったからだ」と、この91日間で得たものの答えを口にして、逆にネロに引き金を引かれて物語は終わります。

アヴィリオの生死に対して明確な表現はありませんが、海から去っていくネロの車には同乗していません。彼が好きだった缶詰だけ助手席においてあります。何にせよ、ネロの引き金で“アヴィリオ”という復讐に取りつかれた少年はいなくなり、主人公は“アンジェロ”という天使の名を持つ少年に戻ったのだろうな、ということは伺えます。

 

 

12話分にまとめる内容として、非常に丁度良い濃度の作品でした。

軽すぎず、詰め込みすぎず。

 

私はこの作品のように「敵だと知らずに絆を深めてしまう」という内容のものが好きで、しかも片方は真実を知っている、というのが大好物だったので「91Days」はかなり楽しめました。

 

これ系はいつか自分でも作ってみたいですね~。

 

 

aki