『浦沢直樹特集』を読んで
ごきげんよう遊木です。
先日は今年に入って2回目のミーティングでした。
前回にやった「メンバーの目標を考える」というテーマから引き続き、今度は自分自身で目標を立て、他メンバーから意見を貰うというのが今回の流れでした。
Random Walkはオールジャンル創作サークルですが、現在いるメンバーが漫画組に偏っているのと、その中でも「今年は勝負や!」と意気込んでいるメンバーが重なっているので、2016年は漫画推しになりそうな1年です。
斯く言う私も、今年は「やりきった…」と言えるぐらい漫画を描こうと意気込んでいます。年末になったとき、自分の立てた目標が達成されているよう頑張る所存です。
さて漫画と言えば、先日久しぶりに美術手帖を購入しました。
毎回買うには少々財布へのダメージが大きいのですが、今回は『浦沢直樹特集』ということで、これは読まなくてはならぬと。

内容を読んで、まず最初に目に入ったのが、浦沢先生は『毎月に約130枚原稿を仕上げていた』ということ。
130枚…1日に4枚以上仕上げていたことになりますが、漫画をかじっている人はこの数がどれだけすごいか良くわかると思います。私も「すげぇえええ!」って思いましたが、さいとうたかを先生は150枚仕上げていたと聞いて、その辺の世代の人っていうのは、我々世代と「漫画をつくる」という感覚がそもそも違うんじゃないだろうかと思いました。150枚ってどういうことだってばよ…。
しかし、本誌にも書いてある通り、日本の漫画制作と言うのは本当に「日本人にしか出来ない」と感じますね。
デジタルが普及してきたので昔とは結構変ってきたと言っても、基本は一本のペンから背景も効果線もモブも生まれるわけですよ。ペンでカリカリ描くわけです。それを、毎週、毎月、休まず続けていく。
普通は生活の中に平日仕事、土日は休み、というようなサイクルがあるし、そういうサイクルがある生活を送っている社会人が多数派です。それに比べて漫画家は、休み=休載なわけですよね。休載しなければ、何ヶ月も何年も描き続ける。何ヶ月も何年もカリカリし続ける…。外国人からしたら、週刊連載なんて狂気の沙汰でしょうね。
本当に、漫画を愛していなければ出来ないことだな、と。
そして次に、「あ…」と思ったのがこの言葉です。
僕は少年誌で一回も連載していない。
オルタナティブな立ち位置であり、
決して王道ではない。
でも、そこから中心へ牽制するのが
重要だと思っています。
すごくこの言葉に共感しました。
売れ線から売れる漫画をつくるのではなく、マイナーと呼ばれるところから売れる漫画をつくる。
この言葉は、浦沢先生の作品を見るとすごくしっくりきます。私も「20世紀少年」を見たときは「YAWARA!」からえらい変わったな…とか思いましたが、なるほど、浦沢先生がこういうふうに考えていたのなら、彼自身が目指すものに着実に近づいて行ったんだなと。
この浦沢先生の考え方、歩んできた過程は、私が長い間もやもやしていたものに、スッと一本切れ込みを入れてくれた感じがします。
そして、この特集の話をする中で、私が一番伝えたいのは「漫勉」についてです。
※「漫勉」とは、浦沢先生が主導でやっている、漫画家の制作風景を撮影するNHKのドキュメンタリー番組。
私は「かわぐちかいじ・山下和美」編しか見ていないのですが、この1回を見ただけでもハッとしました。そう、内容がすごく「漫画制作ドキュメンタリーP」に似てるんですよ!
「漫画制作ドキュメンタリーP」は2012~2013年頃、サークル内の漫画組を集めて、制作風景などを撮影し、作業工程の違いや作家性について考えたプロジェクトです。
プロジェクト宣伝動画はこちら↓↓
さらに細かいコンセプトや作業記録、完成品は特設ページをご覧ください。
漫画完成後に制作した映像は全部で20分ぐらいですが、ぜひこちらも見て欲しいです。クオリティー面に関しては、似ていると言うにはめちゃめちゃ烏滸がましいレベルですが、私たちがやりたかったことと「漫勉」が非常に似ていることが分かって貰えると思います。
正直、漫画制作ドキュメンタリーPを進めているときは、自分で「この企画は絶対面白い!」と感じて始めたことなのに、途中で何度も「この企画は本当に面白いのか?」「的外れではないのか?」とぐらぐらしていました。
なんてったって、使用してる映像はデジカメの動画機能でひたすら自録りだし、日常的に動画編集しているわけでもない人間が映像を作ってるし、何よりプロの漫画家でもない。プロジェクトが完了した後も、大きな反響があったわけでもない。
だから名のある漫画家さんが、自分達と似たようなことを考え、形にしてくれていることがすごく嬉しかったです。
あぁ、自分達は決して的外れなことをしていたわけではないのだ、と実感できました。
願わくは、自分たちで多くの人から反応を貰えるものを創りたかったですけどね。
その他にも、長い間一緒に仕事をしてきた編集さんのこと、アシスタントの話など、いろいろ興味深い内容が書いてありました。
漫画家を目指している人は、ぜひ一度読んでみると良いのではないでしょうか。
しかし、インタビューの内容を見ても「漫勉」を見ても、浦沢先生がやりたいことは単に「漫画を描く」ことだけじゃないんだろうなぁと感じます。
もっと広い意味での表現、創作なんだろうな、と。
そんな感じで、私も自分の制作をどんどん進めていこうと思います。
インタビュー記事を読んで感動するより、感動するインタビュー記事を書かれる様な立場に早くなりたいですね。
aki
先日は今年に入って2回目のミーティングでした。
前回にやった「メンバーの目標を考える」というテーマから引き続き、今度は自分自身で目標を立て、他メンバーから意見を貰うというのが今回の流れでした。
Random Walkはオールジャンル創作サークルですが、現在いるメンバーが漫画組に偏っているのと、その中でも「今年は勝負や!」と意気込んでいるメンバーが重なっているので、2016年は漫画推しになりそうな1年です。
斯く言う私も、今年は「やりきった…」と言えるぐらい漫画を描こうと意気込んでいます。年末になったとき、自分の立てた目標が達成されているよう頑張る所存です。
さて漫画と言えば、先日久しぶりに美術手帖を購入しました。
毎回買うには少々財布へのダメージが大きいのですが、今回は『浦沢直樹特集』ということで、これは読まなくてはならぬと。

内容を読んで、まず最初に目に入ったのが、浦沢先生は『毎月に約130枚原稿を仕上げていた』ということ。
130枚…1日に4枚以上仕上げていたことになりますが、漫画をかじっている人はこの数がどれだけすごいか良くわかると思います。私も「すげぇえええ!」って思いましたが、さいとうたかを先生は150枚仕上げていたと聞いて、その辺の世代の人っていうのは、我々世代と「漫画をつくる」という感覚がそもそも違うんじゃないだろうかと思いました。150枚ってどういうことだってばよ…。
しかし、本誌にも書いてある通り、日本の漫画制作と言うのは本当に「日本人にしか出来ない」と感じますね。
デジタルが普及してきたので昔とは結構変ってきたと言っても、基本は一本のペンから背景も効果線もモブも生まれるわけですよ。ペンでカリカリ描くわけです。それを、毎週、毎月、休まず続けていく。
普通は生活の中に平日仕事、土日は休み、というようなサイクルがあるし、そういうサイクルがある生活を送っている社会人が多数派です。それに比べて漫画家は、休み=休載なわけですよね。休載しなければ、何ヶ月も何年も描き続ける。何ヶ月も何年もカリカリし続ける…。外国人からしたら、週刊連載なんて狂気の沙汰でしょうね。
本当に、漫画を愛していなければ出来ないことだな、と。
そして次に、「あ…」と思ったのがこの言葉です。
僕は少年誌で一回も連載していない。
オルタナティブな立ち位置であり、
決して王道ではない。
でも、そこから中心へ牽制するのが
重要だと思っています。
すごくこの言葉に共感しました。
売れ線から売れる漫画をつくるのではなく、マイナーと呼ばれるところから売れる漫画をつくる。
この言葉は、浦沢先生の作品を見るとすごくしっくりきます。私も「20世紀少年」を見たときは「YAWARA!」からえらい変わったな…とか思いましたが、なるほど、浦沢先生がこういうふうに考えていたのなら、彼自身が目指すものに着実に近づいて行ったんだなと。
この浦沢先生の考え方、歩んできた過程は、私が長い間もやもやしていたものに、スッと一本切れ込みを入れてくれた感じがします。
そして、この特集の話をする中で、私が一番伝えたいのは「漫勉」についてです。
※「漫勉」とは、浦沢先生が主導でやっている、漫画家の制作風景を撮影するNHKのドキュメンタリー番組。
私は「かわぐちかいじ・山下和美」編しか見ていないのですが、この1回を見ただけでもハッとしました。そう、内容がすごく「漫画制作ドキュメンタリーP」に似てるんですよ!
「漫画制作ドキュメンタリーP」は2012~2013年頃、サークル内の漫画組を集めて、制作風景などを撮影し、作業工程の違いや作家性について考えたプロジェクトです。
プロジェクト宣伝動画はこちら↓↓
さらに細かいコンセプトや作業記録、完成品は特設ページをご覧ください。
漫画完成後に制作した映像は全部で20分ぐらいですが、ぜひこちらも見て欲しいです。クオリティー面に関しては、似ていると言うにはめちゃめちゃ烏滸がましいレベルですが、私たちがやりたかったことと「漫勉」が非常に似ていることが分かって貰えると思います。
正直、漫画制作ドキュメンタリーPを進めているときは、自分で「この企画は絶対面白い!」と感じて始めたことなのに、途中で何度も「この企画は本当に面白いのか?」「的外れではないのか?」とぐらぐらしていました。
なんてったって、使用してる映像はデジカメの動画機能でひたすら自録りだし、日常的に動画編集しているわけでもない人間が映像を作ってるし、何よりプロの漫画家でもない。プロジェクトが完了した後も、大きな反響があったわけでもない。
だから名のある漫画家さんが、自分達と似たようなことを考え、形にしてくれていることがすごく嬉しかったです。
あぁ、自分達は決して的外れなことをしていたわけではないのだ、と実感できました。
願わくは、自分たちで多くの人から反応を貰えるものを創りたかったですけどね。
その他にも、長い間一緒に仕事をしてきた編集さんのこと、アシスタントの話など、いろいろ興味深い内容が書いてありました。
漫画家を目指している人は、ぜひ一度読んでみると良いのではないでしょうか。
しかし、インタビューの内容を見ても「漫勉」を見ても、浦沢先生がやりたいことは単に「漫画を描く」ことだけじゃないんだろうなぁと感じます。
もっと広い意味での表現、創作なんだろうな、と。
そんな感じで、私も自分の制作をどんどん進めていこうと思います。
インタビュー記事を読んで感動するより、感動するインタビュー記事を書かれる様な立場に早くなりたいですね。
aki