HCP;ジレンマ喰いの笑い猫▶▶「エンプティー・スマイル」メイキング | 乱歩酔歩--Random Walk official blog--

HCP;ジレンマ喰いの笑い猫▶▶「エンプティー・スマイル」メイキング

こんにちわ遊木です。

公開してから大分間が空きましたが、先月公開した動画の制作過程をざっくり書いておこうかと思います。
題して、「After Effects初心者が初めて動画作ったよ!」
(つまりすべてにおいて初心者ということです)


先に動画の紹介をばばっと。↓↓

ヒビカ・シティー・プロジェクト関連作品【ジレンマ喰いの笑い猫】より
「エンプティー・スマイル」



曲:久世康絢
歌詞・動画:遊木秋勇
3DCG:須々木正
歌:GUMI


<動画制作使用ソフト>
After Effects、Photo Shop、SAI、Blender(須々木氏に発注)




実は出たとこ勝負だったのであまり過程を覚えていないのですが、ようするに全てにおいて初心者の人間でも一応動画を作ることは出来るよ…ということをお伝えできれば。
クオリティー?そんなものマリアナ海溝に捨ててきたよ。



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①曲の発注
私は音楽関係はからっきしなので、作曲は久世氏に頼みました。
歌詞を制作後、曲の雰囲気や注意点の説明をつけて「じゃ!よろしく!」と丸投げ←


②絵コンテを作る
歌を死ぬほど聞き、動画のざっくり絵コンテを作ります。
(久世氏から何回かデモが上がってきてわかったことですが、やっぱりボーカルまで入ってないと絵コンテは作れません。曲デモから作るのはいろいろ無理…)



私の場合は方眼紙になっているクロッキー帳を持っていたので、それに秒数、画、歌詞、備考の枠を作りました。画面雰囲気はすごいラフですが、モーション、エフェクト効果、手描き素材、ベクター素材の数など、情報に関しては出来る限り書き込みました。
ただ制作してわかったことは、画面ラフに関してはクロッキー帳に描いたものをPCの画面で再現しても、かなり雰囲気が違うということです。結論から言うと、クロッキー帳のラフ画通りに作ると画面がかなり寂しいです。十中八九AEでの組み立て時に素材が増えます。
余裕がある人は、ラフ画の段階からちゃんと(PCで)完成時のサイズでデザインした方が、組み立て時に急遽素材を追加することがなくなると思います。


③3DCG素材の発注
絵コンテをもとに、素材を発注します。
今回、一番メインに使用していた街の素材は↓↓のようなラフデザインを渡していました。その後は例のごとく「じゃ!よろしく!」と適当に任せます。



その場でばばっと描いたのでデッサンとか壊滅的ですが、相手と意思疎通できてればこの程度で大体OKです。余裕余裕。
ちなみに3Dの方については、須々木氏が別記事を書いてるのでこちらをどうぞ。


④動画の試作をする(After Effects)
素材制作を始める前に、いくつかモーションの試しをしました。
この作業を入れると素材制作前にイメージ修正ができ、無駄な制作を省けます。
例えば、出だしの光の粒が舞うシーンは、最初は人物の後ろ姿に花びらが舞い上がる予定でしたが、白画面より黒画面の方がイメージに合った為現在のようになりました。



試作品で使う絵は、棒人間レベルのものでOKです。
ちなみに、ここで一度モーションの確認をしていたことで、本番で組み立てるときも若干作業がスムーズになりました。


⑤素材を作る(Photo Shop、SAI)
ひたすら素材を作ります。
私の場合は絵コンテのコマごとにナンバリングしていたので、その数字に沿ってフォルダ分けしていました。
この辺の作業が杜撰だと、後々の管理が大変になります。
素材は基本pngの背景透過。



ポイントは作りながら、いかに使い回しが出来る素材を見つけるかです。
使い回しが出来るものは遠慮なく使い回しましょう。どうせ後から素材が増えます。
ちなみに今回使用した素材は、差分なども合わせて約450個でした。


⑥組み立てる(After Effects)
絵コンテとAE参考書を手元に用意して、いざ組立て。
新規コンポジションを大量発生させました。
ひとつひとつの細かい説明は省きますが、何点かピックアップしてご紹介。

■出だしと、後半に使用している光の粒子。
黒平面に[Particular]を使用しています。
各数値は本当に手作業でやったので、何をどういじったかさっぱり覚えていません。なので、適当にキャプチャー貼っておきました。よろしかったら参考にどうぞ。



■サビなどの背景で動いている空(雲)のモーション
基本はこちらのサイトを参考にしています。⇒流れる雲の作り方

■Bメロのモヤモヤ
「さぁ、ここで踊りなよ」と「さぁ、ここで育てなよ」の背景で使用しているモヤモヤについては、以前参考書を勉強したときに出てきた内容を割とそのまま使いました。



細かい数値は省きますが、ざっと流れの説明をば。
まず平面に[シュミレーション]⇒[CCParticleSystemsⅡ]を適用、[Physics]の[Animation]を[Explosive]にします。
次に[ParticleType]を[S&FSphere]にし、[BirthSize][DeathSize][BirthColor][DeathColor]をいじり、靄が噴水のように吹き出す感じにします。最後に重力を0にすると、噴水だったのが周囲に四散して霧みたいになります。
その後は動かしたいようにいじりました。

困ったときにはウィグラーとブラインドを使いまくりましたが、基本は回したり、ひっくり返したり、スライドさせたりと、あまり難しい効果は使ってません。
ひたすら地道に作業しました。
制作してわかったことは、動画内容にもよると思いますが、イラスト素材がメインのものにはAEらしいエフェクトは上手く使わないと全然マッチしないということです。トランジション系はOKでも、シミュレーション系はダメでした。素人は無駄に背伸びしない方が良いです。


⑦最後にエンコード
完成したらレンダリングします。今回はaviで書き出しました。
書き出した動画を確認後、修正なども済ませたら最後にエンコードをします。
Media Encoderも試しましたが、やっぱりつんでれんこさんが優秀でしたので彼女(?)を使用。
無事にデレたら完成です。

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制作期間に関しては人によると思いますが、この動画ぐらいの効果をつけるなら、少なくとも組立てには一ヶ月半はかかると考えていた方が良いです。
また初心者といっても、私の場合は事前に参考書一冊は勉強していたので、本当にAEを触ったことがない人はもっとかかるかもしれません。
ただ、エフェクトのことが大してわかってなくても、本当に基本的なモーションだけつけられれば多分動画っぽいものは作れると思います。

みなさん、是非挑戦を!
…しかしアニメーションはやっぱり一人では無理でした(白目)


※過去にブログで紹介したAE練習まとめは、こちらの記事からどうぞ。



aki