芸術衛星とは何ぞや?
須々木です。
結構理系ネタが好きなので、今回はそういうのも多少触れつつ。
さて、先日12月3日の13時22分4秒(日本標準時)に「はやぶさ2」を載せたH-ⅡAロケットが種子島宇宙センターから打ち上げられ、探査機は予定通りの軌道に投入されました。
見事な大成功です。
とりあえず、おめでとうございます!!
「はやぶさ2」は、やたらとドラマティックな旅をした先代「はやぶさ」の後継機としてつくられた宇宙航空研究開発機構(JAXA)の小惑星探査機です。
先代が本当にボロボロになって、どう考えても帰還できるわけないという状況から、回収したサンプルを地球に送り届け(史上初の快挙)、自分自身は流れ星となって散っていったというお話は、映画されたりもしたので、かなりの人が知っていることでしょう。
打ち上げ半年後に宇宙空間で、観測史上最大規模の太陽フレア(EMP爆弾みたいなやつ)を食らったダメージがいろいろ響いたと思われますが、奇想天外な作戦を重ねて戻ってきた姿は、多くの人の心に焼き付いたようです。
打ち上げのとき全然注目されていなかったことを考えると、戻ってきたときの世間の反応が、関係者にとってはより印象的だったのではないかと勝手に想像しています。
というか、日本の宇宙開発の歴史において、これほどまでの注目を浴びたのはおそらく初めてのこと。
そのことは、今回の「はやぶさ2」打ち上げにおけるJAXAの立ち回りにも表れていた気がします。
宇宙開発事業というのは、費用対効果で言えば最悪級なわけで、慢性的な金欠、スポンサー不足。
そして、スケールがデカいわりに地味だし、研究者の方々も発信力があるわけではないので、とにかく世間の注目も集めにくい。
油断すると政治の都合でさらに予算が切られていったりしてしまいます。
そんな日本の宇宙開発の現場に訪れた千載一遇のチャンスが先代「はやぶさ」だったわけです。
とは言うものの、「はやぶさ2」の開発も紆余曲折。
ただ、こういうものはタイミングを逃すと技術が拡散してしまうので、時間との勝負です。
世間の熱もいつまでももつものではない。
実は、常に一発勝負の世界なのです。
そこでJAXAは、様々なキャンペーンを展開したりしてきましたが、特に頑張っている感があったのは、やはり打ち上げのLive中継です。
YouTube、ニコニコ、USTREAMなどで大々的にやっていましたが、JAXAの必死っぷりと金欠っぷりを余すことなく味わうことができました。
かなり長時間の放送スケジュールで、ずっと発射台の定点カメラの映像を流しているだけかと思っていたら、なんとMCの方がしっかりと進めていくじゃありませんか。
JAXAの開発員なので、完全に素人なわけですが、随分とかわいらしい声、好感を持たれそうな優しい口調の方で、さらに時々噛むのも愛嬌があるという。
絶対どこかで盛り上がるだろうと思ったら、やっぱり結構な反響があったようですね(笑)
● 「はやぶさ2」ライブ中継「MCの声かわいすぎ」 声の主はJAXA職員・嶋根さん 「地声が高いんです」 - ITmedia ニュース
● はやぶさ2ライブ中継のMC・嶋根愛理さんの声に癒される人が続出! 「声かわいい」「萌える」など絶賛コメント相次ぐ - ロケットニュース24
この反応を予測しての人選だとしたら、JAXAなかなかやりおるわ・・・
また、途中にしっかりとVTRを挟んで、かなりわかりやすく説明してくれたのもびっくりです。
大学の授業で使いそうな手作り感満載のVTRでしたが、構成自体は見事で、「みなさまの寄付のおかげで観測装置を一つ追加できました」とか、さり気なく挟んでくるのもナイスでした。
みんなのおかげだよ!
でも、みんなが忘れるとアタイすぐ死んじゃうからね!という雰囲気。
なんというか、人々の母性本能をくすぐるような感じでした。。
本当にギリギリで頑張ってるんだ・・・と誰もが感じたはず。
中継でMC経験のない開発員が進行していく時点でいろいろ滲み出ていますが。。
しかし、Live中継の進行そのものは非常に滑らかで、おそらく事前に相当な準備があったんだろうと思います。
さて、その後の探査機分離等、今のところすべて順調に進んでいるようなので、今度こそ波乱のない順風満帆な旅路を期待したいところですが、どうなることでしょう?
実際、宇宙空間というのは極めて過酷な環境ですし、もちろんメンテナンスなんてできない。しかも、目的地の小惑星(現時点でちゃんとした名前はまだない)については、前回同様到着するまで形状も不明です。一応、前回起きたトラブルに対してはしっかりと対策をしているようですが・・・
ところで、「はやぶさ2」については、各種報道等があるから良いのですが、個人的に気になったのが、仲良く打ち上げられたピギーバック(相乗り)衛星。
ロケット打ち上げのとき、隙間スペースに小さな衛星を相乗りさせることはよくありますが、今回は、PROCYON(東京大学・JAXA)、ARTSAT2: DESPATCH(多摩美術大学)、しんえん2(九州工業大学)という3機が選定されました。
これを見て、一つ「??」ってやつ、ありますよね?
そう、多摩美術大学ですよ。
ここでどうして美大が出てくるのか?
まず、その外観ですが・・・

※Despatch JPより。
あ、もちろん衛星ですよ。
黄色いサザエではありません。
ソーラーパネルも、飛び出たアンテナもない、かなり斬新な見た目です。
なんじゃこりゃ?
というわけで、いろいろ調べてみました。
まず、名前は「ARTSAT2: DESPATCH」。
人が一人で抱えられそうなサイズですが、オフィシャルっぽい説明を見ると・・・
深宇宙彫刻「ARTSAT2:DESPATCH」は、芸術衛星「ARTSAT1:INVADER」に続いて、ARTSATプロジェクトが開発する2番目の宇宙機である。
よくよく名前を見ればわかるのですが、今回のは2号機らしいです。
1号機である芸術衛星「ARTSAT1:INVADER」は、2014年2月に打ち上げられたそうです。
一辺10cmの超小型衛星で「世界初の芸術衛星」だとか。
それで、そもそもこの「ARTSATプロジェクト」とは何かというと・・・
ARTSATプロジェクトは、衛星を専門家のための「特別なモノ」から、市民の日常の中の「身近なコト」へと変えていくために、
1. 広く社会に開かれた「みんなの衛星」
2. 人間の感覚や感情を刺激する「感じる衛星」
3. 衛星本体の機能と外見がトータルにデザインされた「美しい衛星」
という3つのコンセプトを実現する、衛星や宇宙機のデザインと作品の制作を目指しています。
スローガンとしてはナルホドと言えなくもありませんが、具体的にはサッパリわからん・・・。
それで、もう少し具体的な情報を見ていきましたが、これは各自サイト等の説明を読んでください(参照サイトは最後にまとめてあります)。
いろいろと読んでいくと、それなりになんとなーく趣旨は伝わってくるような気がします。
そして、恐らくまだ手探りの状態なんだろうと。
しかし、今回の2号機は「芸術衛星」ではなく、「深宇宙彫刻」。
課せられた使命は、以下のようなものらしいです。
▼ 芸術ミッション
・宇宙機を地球脱出軌道に投入することで、彫刻作品を深宇宙へと送りだす(深宇宙彫刻の実現)
・芸術家の分身として深宇宙に送りだした宇宙機から、詩を生成し電波として送信する(宇宙生成詩の遠隔創造)
▼ 技術ミッション
・多くのアマチュア無線家の協力による深宇宙からの微弱な電波の共同受信実験(共同受信ミッション)
・3Dプリンタ造形物の宇宙機搭載実証と一般の宇宙機への応用
たぶん、一番「?」なのは、芸術ミッションの2つ目。
宇宙生成詩とは??
説明をいろいろ読んでいくと、以下のような説明がありました。
この宇宙生成詩の受信は、宇宙機が地球から遠ざかるにつれて電波が弱くなり、信号がとぎれとぎれにしか聞こえない状況を想定している。 そこでARTSATプロジェクトの地上局だけでなく世界各地のアマチュア無線家に協力いただき、多数の受信局からの断片的な情報を地上で再結合する「協調ダイバーシティ通信」による詩の復元を試みる。 詩の復元方法としては下の図のように、各ビットごとデータが重複する部分については多数決によるエラー処理を行い、それ以外の部分ではORの処理を施すといったシンプルな手法を考えている。
(中略)
搭載センサーのデータから生成された宇宙生成詩にあたるのは、CP2, CP3, CP4, CP5(編注;信号情報に割り振られたユニットの名称。あんまり気にしないで大丈夫です)である。
CP2, CP3では、宇宙機の温度を4文字の「カラーコード」に変換する。 このカラーコードは色を4文字で象徴したものであり、例えば「白」には "whit" が割り当てられる。 ちょうどサーモグラフィのように、宇宙機の温度が高いほど明るい色のカラーコードが受信される。
また、CP4, CP5では、宇宙機の角速度および消費電流を4文字の「リズムフレーズ」に変換する。 リズムフレーズは、詩人フーゴ・バルの「Gadji beri bimba」のフレーズをカットアップしたものであり、 「I Zimbra」という曲の歌詞にも使用されている。 つまり、このリズムフレーズによって、宇宙機の回転や電流が奏でる一種の音響詩が受信される。
ようは、宇宙空間に放たれた機体が持つ様々な変数を信号として地球で受信し、それを詩と解釈する、ということですかね?
そして、そもそも電波の出力が弱いので、必然的に地球において多くの人の協力が求められ、その寄せ集めにより一つの形になると。
科学的な信号データを芸術の域に昇華しようという発想は、文化庁メディア芸術祭でも見られたりするものですが、これもその流れを汲むものなのでしょうか。
現時点で、どのような“カタチ”になるのか、なかなか想像できるものではありませんが、それなりに興味を惹かれるものです。
動力が一次電池(充電できないやつ。つまり、乾電池みたいな。打ち上げ時点の電池が切れたら終了)だけなので、機体の寿命は一週間くらいらしいですが、どのような成果を得られるのか。
広大な未知の領域に挑み続けるという点では、科学も芸術も同じ。
そういう意味で、種子島より一つのロケットで打ち上がったこれらの機体が、未知なる宇宙から我々に何を届けてくれるのかというのは、興味深いテーマですね。
というわけで、すっかり一定の知名度を獲得した感のある「はやぶさ」シリーズですが、その他にもいろいろ面白いネタがあったりします。
宇宙はカラっぽじゃなくて、ネタに満ち溢れているんですねー。
※今回のエントリーにおいて、以下のサイトを参照しました。なお、内容等に誤りがある場合はお知らせください。
・JAXA 小惑星探査機「はやぶさ2」
・ARTSAT.JP (メインページ/共同受信ミッション/INVADER)
・wikipedia - はやぶさ2
sho
結構理系ネタが好きなので、今回はそういうのも多少触れつつ。
さて、先日12月3日の13時22分4秒(日本標準時)に「はやぶさ2」を載せたH-ⅡAロケットが種子島宇宙センターから打ち上げられ、探査機は予定通りの軌道に投入されました。
見事な大成功です。
とりあえず、おめでとうございます!!
「はやぶさ2」は、やたらとドラマティックな旅をした先代「はやぶさ」の後継機としてつくられた宇宙航空研究開発機構(JAXA)の小惑星探査機です。
先代が本当にボロボロになって、どう考えても帰還できるわけないという状況から、回収したサンプルを地球に送り届け(史上初の快挙)、自分自身は流れ星となって散っていったというお話は、映画されたりもしたので、かなりの人が知っていることでしょう。
打ち上げ半年後に宇宙空間で、観測史上最大規模の太陽フレア(EMP爆弾みたいなやつ)を食らったダメージがいろいろ響いたと思われますが、奇想天外な作戦を重ねて戻ってきた姿は、多くの人の心に焼き付いたようです。
打ち上げのとき全然注目されていなかったことを考えると、戻ってきたときの世間の反応が、関係者にとってはより印象的だったのではないかと勝手に想像しています。
というか、日本の宇宙開発の歴史において、これほどまでの注目を浴びたのはおそらく初めてのこと。
そのことは、今回の「はやぶさ2」打ち上げにおけるJAXAの立ち回りにも表れていた気がします。
宇宙開発事業というのは、費用対効果で言えば最悪級なわけで、慢性的な金欠、スポンサー不足。
そして、スケールがデカいわりに地味だし、研究者の方々も発信力があるわけではないので、とにかく世間の注目も集めにくい。
油断すると政治の都合でさらに予算が切られていったりしてしまいます。
そんな日本の宇宙開発の現場に訪れた千載一遇のチャンスが先代「はやぶさ」だったわけです。
とは言うものの、「はやぶさ2」の開発も紆余曲折。
ただ、こういうものはタイミングを逃すと技術が拡散してしまうので、時間との勝負です。
世間の熱もいつまでももつものではない。
実は、常に一発勝負の世界なのです。
そこでJAXAは、様々なキャンペーンを展開したりしてきましたが、特に頑張っている感があったのは、やはり打ち上げのLive中継です。
YouTube、ニコニコ、USTREAMなどで大々的にやっていましたが、JAXAの必死っぷりと金欠っぷりを余すことなく味わうことができました。
かなり長時間の放送スケジュールで、ずっと発射台の定点カメラの映像を流しているだけかと思っていたら、なんとMCの方がしっかりと進めていくじゃありませんか。
JAXAの開発員なので、完全に素人なわけですが、随分とかわいらしい声、好感を持たれそうな優しい口調の方で、さらに時々噛むのも愛嬌があるという。
絶対どこかで盛り上がるだろうと思ったら、やっぱり結構な反響があったようですね(笑)
● 「はやぶさ2」ライブ中継「MCの声かわいすぎ」 声の主はJAXA職員・嶋根さん 「地声が高いんです」 - ITmedia ニュース
● はやぶさ2ライブ中継のMC・嶋根愛理さんの声に癒される人が続出! 「声かわいい」「萌える」など絶賛コメント相次ぐ - ロケットニュース24
この反応を予測しての人選だとしたら、JAXAなかなかやりおるわ・・・
また、途中にしっかりとVTRを挟んで、かなりわかりやすく説明してくれたのもびっくりです。
大学の授業で使いそうな手作り感満載のVTRでしたが、構成自体は見事で、「みなさまの寄付のおかげで観測装置を一つ追加できました」とか、さり気なく挟んでくるのもナイスでした。
みんなのおかげだよ!
でも、みんなが忘れるとアタイすぐ死んじゃうからね!という雰囲気。
なんというか、人々の母性本能をくすぐるような感じでした。。
本当にギリギリで頑張ってるんだ・・・と誰もが感じたはず。
中継でMC経験のない開発員が進行していく時点でいろいろ滲み出ていますが。。
しかし、Live中継の進行そのものは非常に滑らかで、おそらく事前に相当な準備があったんだろうと思います。
さて、その後の探査機分離等、今のところすべて順調に進んでいるようなので、今度こそ波乱のない順風満帆な旅路を期待したいところですが、どうなることでしょう?
実際、宇宙空間というのは極めて過酷な環境ですし、もちろんメンテナンスなんてできない。しかも、目的地の小惑星(現時点でちゃんとした名前はまだない)については、前回同様到着するまで形状も不明です。一応、前回起きたトラブルに対してはしっかりと対策をしているようですが・・・
ところで、「はやぶさ2」については、各種報道等があるから良いのですが、個人的に気になったのが、仲良く打ち上げられたピギーバック(相乗り)衛星。
ロケット打ち上げのとき、隙間スペースに小さな衛星を相乗りさせることはよくありますが、今回は、PROCYON(東京大学・JAXA)、ARTSAT2: DESPATCH(多摩美術大学)、しんえん2(九州工業大学)という3機が選定されました。
これを見て、一つ「??」ってやつ、ありますよね?
そう、多摩美術大学ですよ。
ここでどうして美大が出てくるのか?
まず、その外観ですが・・・

※Despatch JPより。
あ、もちろん衛星ですよ。
黄色いサザエではありません。
ソーラーパネルも、飛び出たアンテナもない、かなり斬新な見た目です。
なんじゃこりゃ?
というわけで、いろいろ調べてみました。
まず、名前は「ARTSAT2: DESPATCH」。
人が一人で抱えられそうなサイズですが、オフィシャルっぽい説明を見ると・・・
深宇宙彫刻「ARTSAT2:DESPATCH」は、芸術衛星「ARTSAT1:INVADER」に続いて、ARTSATプロジェクトが開発する2番目の宇宙機である。
よくよく名前を見ればわかるのですが、今回のは2号機らしいです。
1号機である芸術衛星「ARTSAT1:INVADER」は、2014年2月に打ち上げられたそうです。
一辺10cmの超小型衛星で「世界初の芸術衛星」だとか。
それで、そもそもこの「ARTSATプロジェクト」とは何かというと・・・
ARTSATプロジェクトは、衛星を専門家のための「特別なモノ」から、市民の日常の中の「身近なコト」へと変えていくために、
1. 広く社会に開かれた「みんなの衛星」
2. 人間の感覚や感情を刺激する「感じる衛星」
3. 衛星本体の機能と外見がトータルにデザインされた「美しい衛星」
という3つのコンセプトを実現する、衛星や宇宙機のデザインと作品の制作を目指しています。
スローガンとしてはナルホドと言えなくもありませんが、具体的にはサッパリわからん・・・。
それで、もう少し具体的な情報を見ていきましたが、これは各自サイト等の説明を読んでください(参照サイトは最後にまとめてあります)。
いろいろと読んでいくと、それなりになんとなーく趣旨は伝わってくるような気がします。
そして、恐らくまだ手探りの状態なんだろうと。
しかし、今回の2号機は「芸術衛星」ではなく、「深宇宙彫刻」。
課せられた使命は、以下のようなものらしいです。
▼ 芸術ミッション
・宇宙機を地球脱出軌道に投入することで、彫刻作品を深宇宙へと送りだす(深宇宙彫刻の実現)
・芸術家の分身として深宇宙に送りだした宇宙機から、詩を生成し電波として送信する(宇宙生成詩の遠隔創造)
▼ 技術ミッション
・多くのアマチュア無線家の協力による深宇宙からの微弱な電波の共同受信実験(共同受信ミッション)
・3Dプリンタ造形物の宇宙機搭載実証と一般の宇宙機への応用
たぶん、一番「?」なのは、芸術ミッションの2つ目。
宇宙生成詩とは??
説明をいろいろ読んでいくと、以下のような説明がありました。
この宇宙生成詩の受信は、宇宙機が地球から遠ざかるにつれて電波が弱くなり、信号がとぎれとぎれにしか聞こえない状況を想定している。 そこでARTSATプロジェクトの地上局だけでなく世界各地のアマチュア無線家に協力いただき、多数の受信局からの断片的な情報を地上で再結合する「協調ダイバーシティ通信」による詩の復元を試みる。 詩の復元方法としては下の図のように、各ビットごとデータが重複する部分については多数決によるエラー処理を行い、それ以外の部分ではORの処理を施すといったシンプルな手法を考えている。
(中略)
搭載センサーのデータから生成された宇宙生成詩にあたるのは、CP2, CP3, CP4, CP5(編注;信号情報に割り振られたユニットの名称。あんまり気にしないで大丈夫です)である。
CP2, CP3では、宇宙機の温度を4文字の「カラーコード」に変換する。 このカラーコードは色を4文字で象徴したものであり、例えば「白」には "whit" が割り当てられる。 ちょうどサーモグラフィのように、宇宙機の温度が高いほど明るい色のカラーコードが受信される。
また、CP4, CP5では、宇宙機の角速度および消費電流を4文字の「リズムフレーズ」に変換する。 リズムフレーズは、詩人フーゴ・バルの「Gadji beri bimba」のフレーズをカットアップしたものであり、 「I Zimbra」という曲の歌詞にも使用されている。 つまり、このリズムフレーズによって、宇宙機の回転や電流が奏でる一種の音響詩が受信される。
ようは、宇宙空間に放たれた機体が持つ様々な変数を信号として地球で受信し、それを詩と解釈する、ということですかね?
そして、そもそも電波の出力が弱いので、必然的に地球において多くの人の協力が求められ、その寄せ集めにより一つの形になると。
科学的な信号データを芸術の域に昇華しようという発想は、文化庁メディア芸術祭でも見られたりするものですが、これもその流れを汲むものなのでしょうか。
現時点で、どのような“カタチ”になるのか、なかなか想像できるものではありませんが、それなりに興味を惹かれるものです。
動力が一次電池(充電できないやつ。つまり、乾電池みたいな。打ち上げ時点の電池が切れたら終了)だけなので、機体の寿命は一週間くらいらしいですが、どのような成果を得られるのか。
広大な未知の領域に挑み続けるという点では、科学も芸術も同じ。
そういう意味で、種子島より一つのロケットで打ち上がったこれらの機体が、未知なる宇宙から我々に何を届けてくれるのかというのは、興味深いテーマですね。
というわけで、すっかり一定の知名度を獲得した感のある「はやぶさ」シリーズですが、その他にもいろいろ面白いネタがあったりします。
宇宙はカラっぽじゃなくて、ネタに満ち溢れているんですねー。
※今回のエントリーにおいて、以下のサイトを参照しました。なお、内容等に誤りがある場合はお知らせください。
・JAXA 小惑星探査機「はやぶさ2」
・ARTSAT.JP (メインページ/共同受信ミッション/INVADER)
・wikipedia - はやぶさ2
sho