RWTwitter小説企画そのに!
寒いですね……
こたつから出ようという気がおきません。
夏野です。
先日書きました、RWTwitter小説企画の続編です!
前回の記事ははこちら→『RWTwitter小説企画』
メンバーみんなの作品が出揃ったのでまとめます。
引き続き「#RWTwitter小説」というハッシュタグと、
togetterのまとめもご利用ください→☆
じゃあ順不同でばばばっと!
○
隣から規則正しい寝息が聞こえる。すーすーと微かなそれは、耳をそばだてないと聞こえない。触れ合う体温はあたたかく、首筋から漂う甘い匂いが鼻腔をくすぐった。起こすのは勿体無いけれど、そろそろ時間だ。
「あの、」僕が肩を叩く前に、彼女は目覚めて飛び出した。『扉が閉まりますご注意下さい』
【通学電車】aka
なかなかに美形の猫だった。最初に見かけたのは春、柳の下。それから残暑の日陰、彼岸花の隙間、雪に残った足跡。季節がひと巡りした頃、猫は姿を消した。消えた猫を探すなど野暮なことはしないが、こんな気持ちになるのなら一回ぐらい撫でておけば良かったと、僕は柳の下に立って「にゃー」と泣いた。
【猫と僕と隙間の季節】aki
「確かな愛が欲しいわ」
そう言った彼女の瞳は、赤く潤んでいる。
「何があっても揺るがない、強い想いよ」
細い肩に手を置くと、冷たい手が控えめに添えられた。
「それを糧に、私は生きるの。素敵でしょう?」
その瞳は、この心を掴んで離すことなどないのに。
「……どうして、僕たちは、」
【姉弟】rin
伝わらないかもしれないけれど、届くことが嬉しいの。私が感じたもの全て、君に届けておきたいの。「いちいち言わなくていい」なんて、流してくれても構わないのに、わざわざツッコむ君も大概律儀な人だと思う。時の中に流れていっても、君に届いていたと思うと、私の気持ちは無駄じゃないと思えた。
【私のつぶやく日々】noz
「なぁ白鳥」
彼はいつも無口だった。
そんな彼が鼻を鳴らす時、それはサイン。
彼も立派な男だ。
理不尽に対して苛立ち、イイ女を見つけると興奮する。
少し理性に欠け、獣臭い。
色白で毛深い彼は、俺のかけがえのない友。
「紅イモ食うか?」
彼の尖った兎耳が、ピンと立ち上がった。
【白鳥】shi
山手線。顔見知りに会わないよう陣取る。僕は探し物をしていた。日々何周もしながら探した。車輌は呼吸のように、人を吐き出しては吸い込む。でも僕は肺の一番奥に居座りじっと探した。何時間廻っても降りることなく、この国のど真ん中に63平方㎞の空虚な円を描き続ける誰かを。そして…
【And Boy Meets Girl】sho
その世界に色はない。瞳に映るのはモノトーン劇場。身振りの情緒で汲み取るムード。平面的な物語も、自分なりの解釈で、もっと豊かに楽しくなる。言葉は字幕が代弁して、世界に通じるエンターテイメント。俳優と涙がリンクして、感動的に疑似体験。名作・駄作は別として、それは奇跡的な出会いでした。
【クラシックムービー】noz
僕の母は、黒髪の艶やかな美人だった。聡明で、何事にも真面目な人だった。二人目の母は、料理や掃除が得意で、家庭的な人だった。三人目、四人目の母は、あまり身体が丈夫ではなかった。
五人目の母を連れて来た時、父は言った。「最新型なんだ。充電がひと月持つ」父は僕の母を、とても愛していた。
【mother】aka
「寄るなバカども!」
「それが彼女に向かって言う台詞ー?」
「そーよそーよぉ」
『てめーは男だろ』
「このバカップル辛辣ぅー」
静電気であそこまで楽しめる友人らを、少しだけ羨ましいと思う。が。
「おい雪!見てないでどっちか請け負え!お願い!」
「嫌」
無論、丁重にお断りした。
【それとこれとは】rin
降り出した雪は民家の屋根を白く覆っている。ふと、視界の端に泣いている学生が見えた。防寒ばっちりなその姿に私は『家にお帰りなさい』と言う。聞こえる筈もないだろうが、学生は私をじっと見つめるとやがて元来た道へ去っていった。そう、貴方には温かい服も家もあるのだから、そこへお帰りなさい。
【地蔵の見る世界】aki
「おはよー。星屑は見つかったかー」「違うし。“冬の化石”だし」「あ、そうだっけ」「そっちこそ何でここにいるの。山手線グルグルしておいでよ」「遅刻しちゃうだろ」140文字のドラマもありゃしない。でもだからこそ、僕たちは、字数制限のないツイートをしながら、校門への坂道を登って行った。
【翌朝譚】sho
こうして過ごす毎日が、あとひと月もすれば変わってしまうなんて、まだ実感は薄い。生活が劇的に変わるわけでも、これまで続けていたことを我慢しなければならないとか、そういうわけじゃない。ただ、同じではいられないだろうと思う。そしてそれは必要なこと。自分が変わるために、前に進むために。
【ツイート】shi
○
以上が今回の企画で制作されたSSです。
たぶんこれで全部のはずだ!
明日のミーティングで、それぞれのメンバーの、
ベストツイートを選ぼうと思います。
ちなみに個人的な感想としては、
やっぱり140字は厳しいぜ!っていうところですかね。笑
ただ、
@rw_suzusho:短歌、俳句の精神を受け継ぐ日本人に、ツイッターの字数制限は実はマッチしている気がする。だから、世界的に見ても日本人はツイッターが好きなのかと。
というツイートも見られたので、
日本語は少ない字数での表現が可能な言語なのかなーとも思ったり。
特に代表(aki)の【猫と僕と隙間の季節】や、
米原さん(noz)の【クラシックムービー】なんかは、
そういう言葉の面白さが出てて面白いな~と思いました。
後日また、ほかのメンバーの感想と合わせて、
総まとめ編を書きにきます!
深夜に眠たい目をこすりながら、夏野でした。
aka
こたつから出ようという気がおきません。
夏野です。
先日書きました、RWTwitter小説企画の続編です!
前回の記事ははこちら→『RWTwitter小説企画』
メンバーみんなの作品が出揃ったのでまとめます。
引き続き「#RWTwitter小説」というハッシュタグと、
togetterのまとめもご利用ください→☆
じゃあ順不同でばばばっと!
○
隣から規則正しい寝息が聞こえる。すーすーと微かなそれは、耳をそばだてないと聞こえない。触れ合う体温はあたたかく、首筋から漂う甘い匂いが鼻腔をくすぐった。起こすのは勿体無いけれど、そろそろ時間だ。
「あの、」僕が肩を叩く前に、彼女は目覚めて飛び出した。『扉が閉まりますご注意下さい』
【通学電車】aka
なかなかに美形の猫だった。最初に見かけたのは春、柳の下。それから残暑の日陰、彼岸花の隙間、雪に残った足跡。季節がひと巡りした頃、猫は姿を消した。消えた猫を探すなど野暮なことはしないが、こんな気持ちになるのなら一回ぐらい撫でておけば良かったと、僕は柳の下に立って「にゃー」と泣いた。
【猫と僕と隙間の季節】aki
「確かな愛が欲しいわ」
そう言った彼女の瞳は、赤く潤んでいる。
「何があっても揺るがない、強い想いよ」
細い肩に手を置くと、冷たい手が控えめに添えられた。
「それを糧に、私は生きるの。素敵でしょう?」
その瞳は、この心を掴んで離すことなどないのに。
「……どうして、僕たちは、」
【姉弟】rin
伝わらないかもしれないけれど、届くことが嬉しいの。私が感じたもの全て、君に届けておきたいの。「いちいち言わなくていい」なんて、流してくれても構わないのに、わざわざツッコむ君も大概律儀な人だと思う。時の中に流れていっても、君に届いていたと思うと、私の気持ちは無駄じゃないと思えた。
【私のつぶやく日々】noz
「なぁ白鳥」
彼はいつも無口だった。
そんな彼が鼻を鳴らす時、それはサイン。
彼も立派な男だ。
理不尽に対して苛立ち、イイ女を見つけると興奮する。
少し理性に欠け、獣臭い。
色白で毛深い彼は、俺のかけがえのない友。
「紅イモ食うか?」
彼の尖った兎耳が、ピンと立ち上がった。
【白鳥】shi
山手線。顔見知りに会わないよう陣取る。僕は探し物をしていた。日々何周もしながら探した。車輌は呼吸のように、人を吐き出しては吸い込む。でも僕は肺の一番奥に居座りじっと探した。何時間廻っても降りることなく、この国のど真ん中に63平方㎞の空虚な円を描き続ける誰かを。そして…
【And Boy Meets Girl】sho
その世界に色はない。瞳に映るのはモノトーン劇場。身振りの情緒で汲み取るムード。平面的な物語も、自分なりの解釈で、もっと豊かに楽しくなる。言葉は字幕が代弁して、世界に通じるエンターテイメント。俳優と涙がリンクして、感動的に疑似体験。名作・駄作は別として、それは奇跡的な出会いでした。
【クラシックムービー】noz
僕の母は、黒髪の艶やかな美人だった。聡明で、何事にも真面目な人だった。二人目の母は、料理や掃除が得意で、家庭的な人だった。三人目、四人目の母は、あまり身体が丈夫ではなかった。
五人目の母を連れて来た時、父は言った。「最新型なんだ。充電がひと月持つ」父は僕の母を、とても愛していた。
【mother】aka
「寄るなバカども!」
「それが彼女に向かって言う台詞ー?」
「そーよそーよぉ」
『てめーは男だろ』
「このバカップル辛辣ぅー」
静電気であそこまで楽しめる友人らを、少しだけ羨ましいと思う。が。
「おい雪!見てないでどっちか請け負え!お願い!」
「嫌」
無論、丁重にお断りした。
【それとこれとは】rin
降り出した雪は民家の屋根を白く覆っている。ふと、視界の端に泣いている学生が見えた。防寒ばっちりなその姿に私は『家にお帰りなさい』と言う。聞こえる筈もないだろうが、学生は私をじっと見つめるとやがて元来た道へ去っていった。そう、貴方には温かい服も家もあるのだから、そこへお帰りなさい。
【地蔵の見る世界】aki
「おはよー。星屑は見つかったかー」「違うし。“冬の化石”だし」「あ、そうだっけ」「そっちこそ何でここにいるの。山手線グルグルしておいでよ」「遅刻しちゃうだろ」140文字のドラマもありゃしない。でもだからこそ、僕たちは、字数制限のないツイートをしながら、校門への坂道を登って行った。
【翌朝譚】sho
こうして過ごす毎日が、あとひと月もすれば変わってしまうなんて、まだ実感は薄い。生活が劇的に変わるわけでも、これまで続けていたことを我慢しなければならないとか、そういうわけじゃない。ただ、同じではいられないだろうと思う。そしてそれは必要なこと。自分が変わるために、前に進むために。
【ツイート】shi
○
以上が今回の企画で制作されたSSです。
たぶんこれで全部のはずだ!
明日のミーティングで、それぞれのメンバーの、
ベストツイートを選ぼうと思います。
ちなみに個人的な感想としては、
やっぱり140字は厳しいぜ!っていうところですかね。笑
ただ、
@rw_suzusho:短歌、俳句の精神を受け継ぐ日本人に、ツイッターの字数制限は実はマッチしている気がする。だから、世界的に見ても日本人はツイッターが好きなのかと。
というツイートも見られたので、
日本語は少ない字数での表現が可能な言語なのかなーとも思ったり。
特に代表(aki)の【猫と僕と隙間の季節】や、
米原さん(noz)の【クラシックムービー】なんかは、
そういう言葉の面白さが出てて面白いな~と思いました。
後日また、ほかのメンバーの感想と合わせて、
総まとめ編を書きにきます!
深夜に眠たい目をこすりながら、夏野でした。
aka