「桐島、部活やめるってよ」

お久しぶりです!
気がつけば一週間くらいさぼっておりました。
ようやく引っ張りだした羽毛布団がめっちゃあったかくて幸せです。
ついこの間まで夏掛けのタオルケットで寝てたんだ……寒かったわ……
というわけで、夏野です。
先日、ふと思い立って映画「桐島、部活やめるってよ」を観ました。
予告編はこちらから。
一度映画館で観て、そのときもすきだなーと思った作品だったので、
ちょっと感想でも書いてみようかなと。
ちなみに原作は未読なので、映画版のみの感想になります。
あれこれ(主に卒制)落ち着いたら、近いうちに読む予定。
以下ネタばれにご注意ください。
劇場で、映画が始まって数分。
最初に抱いた感想は「あ、桐島出てこないんだ」だったのを覚えています。
そしてすぐに、これは「桐島」をめぐる人間関係の物語だけど、
「桐島という人物」はさして関係ないのだと悟ることになったわけです。
様々な解釈や考察があると思うんですけど、
私はまず、あぁ台詞がとてもいいなぁと思いました。
映画やドラマで語られる言葉って、ぱっと聞いた感じリアルでも、
本当はリアルじゃないことって多々ありますよね。
画面の中独特の言葉遣い、というか。
言い回しだけじゃなくて、妙に説明的だったり、語り過ぎていたり。
でも、この映画の台詞は、どれも生きていて、
「あぁこういう言葉で喋る人って居るなぁ」って思える。
特に沙奈は、役者さんもめっちゃ上手くて、
こういう女子高生いるわー……!!って、思わず感動しました。笑
「え、なに、わかんないんだけど」の言い方がもう、絶妙です。
そして同時に、この映画の台詞や会話は、
人間ってこれしか喋らないよなぁと思わせます。
現実に私たちは、悲しくても露骨に「私悲しいの!」なんて言えないし、
怒ってても「私いますごく怒ってるよ!」とは言えません。
人生に悩んでいても「私これからどうすればいいんだろう」とは、
なかなか言えない。
私は、この映画の主人公は、神木君が演じている前田ではなく、
「なんでも出来る人間」な、宏樹だと思うんですけど。
この宏樹が、抱えている虚無感や、孤独感、焦り、戸惑いといったものが、
ひとつも台詞として説明されないまま物語が進むのに、
それでもちゃんと胸に沁みてくるのが、良いなぁ、と思いました。
○
この映画は、学内ヒエラルキーの上に居る人間と、
下に居る人間が、桐島が部活をやめることによって、
逆転する構図になっていますが。
先に述べたように、
同時に、宏樹の成長物語とも捉えられると思うんです。
きっと宏樹は、これから先の人生に漠然とした不安を抱えていて、
生きるってなんだろうな、って、
まぁそんな感じの事を考えているんだと思うんです。
何でも出来るし、そこそこかわいい彼女が居て、
友達もいて、学内ヒエラルキーの上の方にいる。
だけど、それに意味なんてないと薄々気がついてる。
桐島が部活をやめただけで、自分達「上」の人間は慌てふためく。
「上」とか「下」とか、そんなもので人間をはかるこの「制度」が、
「世界」が、前田の言うように「おかしい」のだと、自覚し始めている。
それでもなお答えが見つからない。
だから彼は、ラストの方のシーンで、
前田に、フィルムカメラに「触って良い?」と聞く。
自分達と前田は何かが違うと、宏樹は気がついていて。
それはなぜだ?と。
二人が屋上でカメラを向け合う、このシーンがとても好きです。
宏樹の言うことって、誰もが一度は考えることだと思うんです。
なんで?どうして?って。
それに対して、前田が少し恥ずかしそうに、
何でも無いことのように、こぼす。
あぁそうか、そうだね、そうだよね、と、
何かがすとんと、胸に落ちてくるシーンです。
もっと語りたいことがいっぱいあるけど、
長くなりそうなのでここまでにします。
役者さんの演技もとても素敵だし、
シナリオも演出も、私はめっちゃ好きです。
おすすめ!
そろそろ半ジャーじゃ足下が寒いですね……
夏野でした。
aka