砂の芸術in由比ヶ浜2013~あの日の呪いを解くのは今~
おばんです遊木です。
先日は須々木氏、凛ちゃん、夏野ちゃんと由比ヶ浜に海水浴に行って参りました。
さてみなさま、由比ヶ浜といえば我々にとって因縁の場所でもあります。
それはちょうど1年前の今頃、我々は今年と同じように由比ヶ浜に行き「創作集団らしく砂の芸術をつくろうぜ」と息巻いておりました。
…しかし結果は惨敗。
できあがったそれは、度が合わない眼鏡で斜め45°から見ればまぁ前衛的なアートに見えなくもない造形でしたが、普通の人が普通に見れば「大人気ない大人が大人気なく遊んでできた大人気ない砂の城」でした。砂上の楼閣と呼ぶにもあまりに哀れな佇まいに、去年、私は一人この世の無常について考えたことを今でも忘れません。
ちなみにこれが、去年我々が制作した『RWの呪われた城』です。

※より詳しく知りたいという方は是非、1年前のこのブログをお読みください。
しかし、人間は進化する生き物。
諦めたらそこで試合終了。
勝てば生きる、戦わなければ勝てない。
立って歩け、前へ進め、おれたちには立派な足がついてるじゃないか。
そうだ…おれたちはまだ負けてない…!
ということで、以下リベンジ砂の芸術2013in由比ヶ浜の報告です。
去年と違って細かく記録を録っていなかったので、途中段階の写真はないですが。
**************
天気はやや曇り。気温もそこまで高くなく、連日の猛暑に比べたらだいぶ過ごしやすい日和。
海に入るにはやや物足りない気がしないでもないが、まぁそれは置いておこう。
面子も4人と、去年に比べたらかなり少数ではあるが仕方ない。きっとこの人数にも何か意味があるのだと、己に言い聞かせる。
そんな感じでいろいろ去年との相違点はあるが、そんなもの大海原を前にしたら微々たる違いでしかない。
夏野ちゃんがやや遅れてくるということだったがそこは気にせず、我々はさっそく懐かしき海の感触を確かめに行く。少し強めの波に気分を高揚させつつ、いざ海の中へ!
そして、足首まで浸かった瞬間。
何これ冷てぇ。
さすが最高気温29度。普通に過ごすには問題なくても、やっぱり海日和ではなかったようだ。
泳ぎに行ってしまうと夏野ちゃんが場所がわからないだろうということで、砂浜に戻りモソモソ砂をいじりだす。断じて水温に心を挫かれたわけではない。
「ウォール・マリアつくろう」
時代の流行りに乗っかって進撃ネタで攻めようとするが、案外あの壁の中の世界を再現するのが難しいことを知る。
このあたりで夏野ちゃんが到着したので、とりあえず我々は海の中に進撃する方向にシフトチェンジした。水温?そんなもの気にしない。入ってしまえばこっちのものだ。
その考えは正しかったようで、海に入るとものの数分で水温にも慣れた。しかし、今度は陸に上がると風が寒いという逆の状態になる。…仕方ない。プールでもまたしかり、これは水場で遊ぶ人間の宿命だろう。
そこそこ高かった波を満喫した後は砂浜に戻り、先ほどのウォール・マリアの続きを作ろうとするがこれもまたものの数分でシフトチェンジ。調子が悪い時はさっさと行く先を変えるに限る。
そして、誰かが言った。
「城、つくるか!」
…ここから我々のリベンジは始まった。
思い起こされるのは去年の呪われた城…この場であれに関わった人間は私と須々木氏だけだが、城作りにシフトチェンジしたとき、口に出さずとも2人とも同時に思ったはずだ。去年と同じ轍は踏まんと。
何より今年の我々には、去年とは違い強力な味方がいた…そう、それはスコップ(金属製)である。そもそも端から砂の芸術をやる気だった去年、スコップを持っていなかったことの方が甚だ疑問ではあるが、それはさておき。このスコップが、この後果てしない威力を発揮することになる。
まずは唯一の男手である須々木氏が、まるで何かに憑りつかれたかのようなスピードで砂を掘り始めた。残りの三人はその砂をひたすら中央に盛って行く。もちろん定期的に水をかけて固めることも忘れない。
凛ちゃんの意向により、幅より高さを求める方向になったので、ひたすら上へと延びていったその砂山は、気がついたら我々の腰の高さを優に超えていた。
思い返せば去年、何より苦戦したのがこの下地の砂山作りである。
しかし見よ、これがスコップの力だ。

この砂山作りを1時間かからないぐらいでやってのけたのだ。スコップ1つでここまで変わるとは…恐れ入る。
砂山を完成させた我々は、お昼休憩を挟んだ後、再び作業に戻る。
そして海に飛び込むこともせず、さくさく作業に戻る面々。この時点で私の耳に、神からの声が聞こえる…これ、今回はうまくいくんじゃね?
ここからは、ディテールを整えていく作業だ。
参考までに言っておくと、途中須々木氏が「美大生(卒)が3人もいるんだから腕の見せ所…」とかぬかしていたが、ぶっちゃけその言葉に残りの3人は無言だった。仕方ない。3人ともファイン系専攻ではないのだ。
須々木氏は無言の我々に「…ぇ」という感じであった。
…まぁなんていうか、無言であった理由は察しろ。
さて、ここからはペインティングナイフの出番である。
昼ごはんの間に階段構造にすることは決まっていたので、とりあえずさくさくと階段にしていく。
そして気が付いたときには、外回りを夏野ちゃんと須々木氏、城を凛ちゃんと私が整えていくという作業分担が出来上がっていた。
私はとにかくペインティングナイフ(大)でざっくざく階段構造を作り上げ、それを追うように凛ちゃんがペインティングナイフ(小)で形を整えていく。夏野ちゃんと須々木氏はお堀を深くし、私と凛ちゃんがさらに細かいディテール調整に入る頃には、須々木氏は外の世界とつなぐ橋を、夏野ちゃんは周辺にサークルロゴ、日付、水路を作っていた。
これらを打ち合わせなしにやってのけたのだ。各々恐るべきエアリード力である。
ちなみに、階段構造がそこそこ様になってきたあたりから、周囲の目も集まりだした。
細かいディテール調整に入るころには、通りゆく人が写真を撮り、横を通り過ぎた外国人は二度見をし、ややナンパ系の兄ちゃんは「すげぇっすね!」と声をかけてくるようになる。
…しかし、客観的に見ると我々は少し異様な集団だったのかもしれない。
若い男女が、談笑するわけでもなく、きゃーきゃー騒ぐでもなく、ほとんど会話もせずに黙々と城を作っているのだ。海水浴を楽しんでいる周囲と比べると、正直浮きすぎていた。…個人には空気を読む力があっても、集団としては果てしなくエアスルー力が高かったらしい。
そして腰が痛くなって立ち上がった私は、想像していなかった光景を目にすることになる。
…制作陣が増えとるがな。
立ち上がったことによって開けた私の視界に入ったのは、せっせとお堀をかためている正体不明の幼女。…君、一人なのかい?
あえてメインの城には手を出さず、黙々とお堀を固めるその姿に将来の有望さが伺える。ちなみに彼女はやや経った後、母親らしき人物が迎えに来た。最後に「バイバイ~」と手を振って立ち去ったその姿は、ぶっちゃけ垂涎ものの可愛さだった…じゅる。
そして西日もだいぶ強くなった頃、我々の城は完成した。
ご覧に入れよう、これが『新・RWの城』である。

時間の関係などもあり至らない点は多々あるが、突然砂浜に現れたものの中ではそこそこ立派だと思いたい。これなら『呪われた』をつけなくても城と呼んでいいだろう。




少なくとも二桁の人が写真を撮っていた。
それなりの人数に話しかけられ、我々がシャワーを浴びた後にまったり寛いでいるときも、通りすがりの人は写真を撮り、少年たちが興奮して城の中で遊んでいた。
芸術にはまだ遠いが、一時でも人様の目を引いたのは確かだろう。
総合的に判断して、とりあえずは我々の勝利としても良いのではないだろうか…。
そう、我々は去年から引きずっていた呪いを、今断ち切ったのだ。
まったりとアルコールを飲みながら暗くなるのを待ち、我々は花火をして帰路についた。
成功した城のことを思えば、花火中に起きたちょっとしたハプニングもご愛嬌だろう。
何にせよ、夏らしく夏を満喫した一日だった。

砂の城は帰るころには満ち潮の波にさらわれ、もうその形を留めていなかった。
しかし我々の胸の中には、今でもあの城が堂々とそこに佇んでいる…。
aki
先日は須々木氏、凛ちゃん、夏野ちゃんと由比ヶ浜に海水浴に行って参りました。
さてみなさま、由比ヶ浜といえば我々にとって因縁の場所でもあります。
それはちょうど1年前の今頃、我々は今年と同じように由比ヶ浜に行き「創作集団らしく砂の芸術をつくろうぜ」と息巻いておりました。
…しかし結果は惨敗。
できあがったそれは、度が合わない眼鏡で斜め45°から見ればまぁ前衛的なアートに見えなくもない造形でしたが、普通の人が普通に見れば「大人気ない大人が大人気なく遊んでできた大人気ない砂の城」でした。砂上の楼閣と呼ぶにもあまりに哀れな佇まいに、去年、私は一人この世の無常について考えたことを今でも忘れません。
ちなみにこれが、去年我々が制作した『RWの呪われた城』です。

※より詳しく知りたいという方は是非、1年前のこのブログをお読みください。
しかし、人間は進化する生き物。
諦めたらそこで試合終了。
勝てば生きる、戦わなければ勝てない。
立って歩け、前へ進め、おれたちには立派な足がついてるじゃないか。
そうだ…おれたちはまだ負けてない…!
ということで、以下リベンジ砂の芸術2013in由比ヶ浜の報告です。
去年と違って細かく記録を録っていなかったので、途中段階の写真はないですが。
**************
天気はやや曇り。気温もそこまで高くなく、連日の猛暑に比べたらだいぶ過ごしやすい日和。
海に入るにはやや物足りない気がしないでもないが、まぁそれは置いておこう。
面子も4人と、去年に比べたらかなり少数ではあるが仕方ない。きっとこの人数にも何か意味があるのだと、己に言い聞かせる。
そんな感じでいろいろ去年との相違点はあるが、そんなもの大海原を前にしたら微々たる違いでしかない。
夏野ちゃんがやや遅れてくるということだったがそこは気にせず、我々はさっそく懐かしき海の感触を確かめに行く。少し強めの波に気分を高揚させつつ、いざ海の中へ!
そして、足首まで浸かった瞬間。
何これ冷てぇ。
さすが最高気温29度。普通に過ごすには問題なくても、やっぱり海日和ではなかったようだ。
泳ぎに行ってしまうと夏野ちゃんが場所がわからないだろうということで、砂浜に戻りモソモソ砂をいじりだす。断じて水温に心を挫かれたわけではない。
「ウォール・マリアつくろう」
時代の流行りに乗っかって進撃ネタで攻めようとするが、案外あの壁の中の世界を再現するのが難しいことを知る。
このあたりで夏野ちゃんが到着したので、とりあえず我々は海の中に進撃する方向にシフトチェンジした。水温?そんなもの気にしない。入ってしまえばこっちのものだ。
その考えは正しかったようで、海に入るとものの数分で水温にも慣れた。しかし、今度は陸に上がると風が寒いという逆の状態になる。…仕方ない。プールでもまたしかり、これは水場で遊ぶ人間の宿命だろう。
そこそこ高かった波を満喫した後は砂浜に戻り、先ほどのウォール・マリアの続きを作ろうとするがこれもまたものの数分でシフトチェンジ。調子が悪い時はさっさと行く先を変えるに限る。
そして、誰かが言った。
「城、つくるか!」
…ここから我々のリベンジは始まった。
思い起こされるのは去年の呪われた城…この場であれに関わった人間は私と須々木氏だけだが、城作りにシフトチェンジしたとき、口に出さずとも2人とも同時に思ったはずだ。去年と同じ轍は踏まんと。
何より今年の我々には、去年とは違い強力な味方がいた…そう、それはスコップ(金属製)である。そもそも端から砂の芸術をやる気だった去年、スコップを持っていなかったことの方が甚だ疑問ではあるが、それはさておき。このスコップが、この後果てしない威力を発揮することになる。
まずは唯一の男手である須々木氏が、まるで何かに憑りつかれたかのようなスピードで砂を掘り始めた。残りの三人はその砂をひたすら中央に盛って行く。もちろん定期的に水をかけて固めることも忘れない。
凛ちゃんの意向により、幅より高さを求める方向になったので、ひたすら上へと延びていったその砂山は、気がついたら我々の腰の高さを優に超えていた。
思い返せば去年、何より苦戦したのがこの下地の砂山作りである。
しかし見よ、これがスコップの力だ。

この砂山作りを1時間かからないぐらいでやってのけたのだ。スコップ1つでここまで変わるとは…恐れ入る。
砂山を完成させた我々は、お昼休憩を挟んだ後、再び作業に戻る。
そして海に飛び込むこともせず、さくさく作業に戻る面々。この時点で私の耳に、神からの声が聞こえる…これ、今回はうまくいくんじゃね?
ここからは、ディテールを整えていく作業だ。
参考までに言っておくと、途中須々木氏が「美大生(卒)が3人もいるんだから腕の見せ所…」とかぬかしていたが、ぶっちゃけその言葉に残りの3人は無言だった。仕方ない。3人ともファイン系専攻ではないのだ。
須々木氏は無言の我々に「…ぇ」という感じであった。
…まぁなんていうか、無言であった理由は察しろ。
さて、ここからはペインティングナイフの出番である。
昼ごはんの間に階段構造にすることは決まっていたので、とりあえずさくさくと階段にしていく。
そして気が付いたときには、外回りを夏野ちゃんと須々木氏、城を凛ちゃんと私が整えていくという作業分担が出来上がっていた。
私はとにかくペインティングナイフ(大)でざっくざく階段構造を作り上げ、それを追うように凛ちゃんがペインティングナイフ(小)で形を整えていく。夏野ちゃんと須々木氏はお堀を深くし、私と凛ちゃんがさらに細かいディテール調整に入る頃には、須々木氏は外の世界とつなぐ橋を、夏野ちゃんは周辺にサークルロゴ、日付、水路を作っていた。
これらを打ち合わせなしにやってのけたのだ。各々恐るべきエアリード力である。
ちなみに、階段構造がそこそこ様になってきたあたりから、周囲の目も集まりだした。
細かいディテール調整に入るころには、通りゆく人が写真を撮り、横を通り過ぎた外国人は二度見をし、ややナンパ系の兄ちゃんは「すげぇっすね!」と声をかけてくるようになる。
…しかし、客観的に見ると我々は少し異様な集団だったのかもしれない。
若い男女が、談笑するわけでもなく、きゃーきゃー騒ぐでもなく、ほとんど会話もせずに黙々と城を作っているのだ。海水浴を楽しんでいる周囲と比べると、正直浮きすぎていた。…個人には空気を読む力があっても、集団としては果てしなくエアスルー力が高かったらしい。
そして腰が痛くなって立ち上がった私は、想像していなかった光景を目にすることになる。
…制作陣が増えとるがな。
立ち上がったことによって開けた私の視界に入ったのは、せっせとお堀をかためている正体不明の幼女。…君、一人なのかい?
あえてメインの城には手を出さず、黙々とお堀を固めるその姿に将来の有望さが伺える。ちなみに彼女はやや経った後、母親らしき人物が迎えに来た。最後に「バイバイ~」と手を振って立ち去ったその姿は、ぶっちゃけ垂涎ものの可愛さだった…じゅる。
そして西日もだいぶ強くなった頃、我々の城は完成した。
ご覧に入れよう、これが『新・RWの城』である。

時間の関係などもあり至らない点は多々あるが、突然砂浜に現れたものの中ではそこそこ立派だと思いたい。これなら『呪われた』をつけなくても城と呼んでいいだろう。




少なくとも二桁の人が写真を撮っていた。
それなりの人数に話しかけられ、我々がシャワーを浴びた後にまったり寛いでいるときも、通りすがりの人は写真を撮り、少年たちが興奮して城の中で遊んでいた。
芸術にはまだ遠いが、一時でも人様の目を引いたのは確かだろう。
総合的に判断して、とりあえずは我々の勝利としても良いのではないだろうか…。
そう、我々は去年から引きずっていた呪いを、今断ち切ったのだ。
まったりとアルコールを飲みながら暗くなるのを待ち、我々は花火をして帰路についた。
成功した城のことを思えば、花火中に起きたちょっとしたハプニングもご愛嬌だろう。
何にせよ、夏らしく夏を満喫した一日だった。

砂の城は帰るころには満ち潮の波にさらわれ、もうその形を留めていなかった。
しかし我々の胸の中には、今でもあの城が堂々とそこに佇んでいる…。
aki