【気ままに作品れびゅー #1】飢えて死ぬのだー
須々木です。
唐突ですが、タイトルの通り、気ままに作品のレビューなどを書いていこうかと。
ちなみに、アニメは録画して時間があるときに見ることが多いので、最新のものではないことが多いです。
敢えて旬をはずすのだ。
なお、すべては僕の主観に基づくものなので、そのあたりはご了承ください。
というわけで、記念すべき第1回は、『人類は衰退しました』(テレビアニメ)で行きましょうー。
【人類は衰退しました】
※第1話は無料配信。
今いるいわゆる“人類”(作中では旧人類と言われる)が衰退して数世紀後の世界。
調停官という役職についている旧人類の主人公(名前は出てこない。本作の語り手。「わたし」)と、現人類と言われる「妖精さん」の交流を軸に展開していくファンタジーっぽい作品です。
原作は、2007年よりガガガ文庫(小学館)から刊行されている田中ロミオのライトノベル。
ちなみに、原作第1巻はガガガ文庫の創刊ラインナップのひとつだそうです。
テレビアニメは、2012年7月から9月までテレビアニメが放送されました(全12話)。
……とかいう、wiki先生などに聞きながら書けるようなことはおいておくとして。
さて、中身に触れていきましょうかね。
ちなみに、ネタバレとか注意です。
[episode.01&02 妖精さんの、ひみつこうじょう]
全体的にパロディーの多い作品ですが、ひみつこうじょうのお話は、楳図かずおの漫画『14歳』のチキン・ジョージを思い出しました。
※episode.09でも、「漂流して行き着いたところに国を築く」という、どことなく「漂流教室」に通じるストーリーもあるし、原作者は楳図かずお好き??
・人間の食料として、人工的に工場でつくられるチキン。
・そのチキンが知性を持つ。
・しかも、人類と対立して滅ぼそうとする。
みたいなところで共通点が多いなあと。
まあ、楳図かずおの漫画みたいな、トラウマ確実のキモさはギャグ調にデフォルメされ、うまくフワッと構成されていますが。
チキン・ジョージの方で、人類を駆逐するチキンにより恐怖を植えつけたのに対し、本作では、それに「わたし」と妖精さんのコンビで華麗にカウンターパンチを食らわせる痛快さがたまりません。
実際に原作者が元ネタにしているのかよく知りませんが、そうだとしても、元ネタのテーマを踏襲しつつ、それを見事にさばいて見せた手腕に感服です。
ちなみに、個人的には、チキンの演説の場面とか最高です。
あとは、他の話にも共通していますが、オチのつけかたがピカイチですね。
[episode.03&04 妖精さんたちの、さぶかる]
Yのキャラが良いですね(笑)
筋金入りの腐女子という設定や、中の人の関係で、「化物語」の神原駿河とかぶりますが、これはわざとでしょうかねー。
現代の「同人業界」の趨勢をネタにして展開していくわけですが…。
作中では、「同人誌」を敢えて「同類誌」と命名していますが、タイトルにかけて「同類は衰退しました」というのが、ナルホド!と。
[episode.05&06 妖精さんたちの、おさとがえり]
中身はさておき、このepisode.06の最後に、episode.01で主人公がベリーショートになっていた謎が明かされるという構成は、おお!という感じでした(つまり、これはepisode.01の直前のお話)。
アニメでは、原作から時系列を入れ替えていますが、ただ入れ替えるだけではなく、それをしっかりと面白さにつなげているところがすごいです。
また、一番難解と思われるepisode.07&08の直前に、ややわかりにくさのあるこのお話を持ってきたのも、全体の流れを考えての配慮でしょうか。
すごく砕いて言えば「擬人化」のネタ。
でも、しっかり説明しようとすると一度見ただけではスムーズにはいかない。
ただ、その難解さが、妖精さんという摩訶不思議現人類のいるこの世界に逆に説得力をもたらしているところがうまいです。
わかりにくさをマイナスではなく、プラスするという逆転の発想。
[episode.07&08 妖精さんたちの、じかんかつようじゅつ]
ひとことで言えば、昨今よくある「ループネタ」です。
しかし、その中で、これまでのエピソードでも普通に登場している「おじいさん」の若かりし頃や、寡黙な「助手さん」との出逢いをうまく描いています(つまり、助手さんが出ている話より前のエピソード)。
一度見ただけでは、どういうことかかなりわかりにくいエピソードですが、そのぶんナルホドと思わせられます。
主人公ちゃんがおじいさんから借りた日時計のその前の持ち主は誰であるか、そもそも助手さんはなぜアロハなのか、など、見事なつなげ方です。
ところで、例の犬に関しては、パラドックス(paradox/逆説=理を超える言説)とパラ+ドッグス(para+dogs/理を超える犬)をかけているんでしょうかね?
[episode.09 妖精さんたちの、ひょうりゅうせいかつ]
それまですべて2話で1セットだったのが、ここにきてはじめての1話完結エピソード。
このエピソードでは旧人類が「わたし」だけで、あとはひたすら妖精さんしか登場してきませんが、そのぶん妖精さん同士のかけあいが存分に楽しめます。
実は、これまでのエピソードは、他のキャラクターにスポットが当たっていて、妖精さんはアクセントの役割に近かったので、完全に妖精さんそのものにフォーカスしているのは、このエピソードがはじめてなのではないでしょうか。
そして、ここで「わたし」と妖精さんの密な関係性を描いたところで、このあとのエピソードにうまくつながっていきます。
[episode.10 妖精さんたちの、ちきゅう]
「わたし」が学舎を卒業し、クスノキの里の調停官としてのはじめての仕事をするときのエピソード。
つまり、今までの中で時間的には一番昔のエピソードに当たります。
今まで、妖精さんが普通にいるものだとして話が進んできたところで、敢えて本来の視聴者視点、つまり「妖精さん?ナニソレ?」的に思っている頃の主人公を描いています。
ここからこうやって関係を築いてきたんですね。
[episode.11&12 妖精さんたちの、ひみつのおちゃかい]
ラスト2話、ここにきてついに、完全な回想編です。
時間は数年さかのぼり、主人公が学舎(全寮制の学校のようなもの)にいたころのお話。
性格も今とは全然違い、人とうまく関わることのできなかったころから、徐々に成長していくお話です。
あくまで人間(旧人類)が中心のストーリーなので、妖精さんはほとんど画面に登場しませんが……そう来たか、と。
この作品の世界観としてちょうど良い感じの感動を最後に添えて、お話は終わります。
って感じで、結局順番に書いていってしまいましたが、実際にはあんまり小難しい事を考える必要などない作品で、見ているときはただただ純粋に楽しめます。
特に、妖精さんについてはもはや僕が改めて語るまでもなく。
一方で、少し考えてみたくなると、それはそれで考えれば考えるだけ味が出るという、いろんな楽しみ方のできる良作だと思います。
また、個人的には、1クールのアニメということを意識したエピソードの時系列入れ替えもうまくハマったように感じます。
アニメとして、盛り上げるところ、落ち着かせるところのメリハリがしっかりしていて、絶妙な間だったり、ときには力ずくだったりで視聴者を揺さぶるところなんかは、岸誠二監督の他の作品とも通じる所があると思いました。
「瀬戸の花嫁」ほどの勢い押しとは違うものの、テンポの良さは相変わらずです。
ライトノベルとしての武器でもある言葉の妙で飽きさせず、実はよく考えられているちょっとしたSF的な要素で世界観に説得力を持たせ、そこにアニメならではの童話的な演出(特に色づかいとか)が心地よく見事にマッチした良作だと思います。
是非ともそのうち2期もゆるりとつくってもらいたいです。
▽「人類は衰退しました」アニメ公式 → http://www.maql.co.jp/special/jintai/
sho
唐突ですが、タイトルの通り、気ままに作品のレビューなどを書いていこうかと。
ちなみに、アニメは録画して時間があるときに見ることが多いので、最新のものではないことが多いです。
敢えて旬をはずすのだ。
なお、すべては僕の主観に基づくものなので、そのあたりはご了承ください。
というわけで、記念すべき第1回は、『人類は衰退しました』(テレビアニメ)で行きましょうー。
【人類は衰退しました】
※第1話は無料配信。
今いるいわゆる“人類”(作中では旧人類と言われる)が衰退して数世紀後の世界。
調停官という役職についている旧人類の主人公(名前は出てこない。本作の語り手。「わたし」)と、現人類と言われる「妖精さん」の交流を軸に展開していくファンタジーっぽい作品です。
原作は、2007年よりガガガ文庫(小学館)から刊行されている田中ロミオのライトノベル。
ちなみに、原作第1巻はガガガ文庫の創刊ラインナップのひとつだそうです。
テレビアニメは、2012年7月から9月までテレビアニメが放送されました(全12話)。
……とかいう、wiki先生などに聞きながら書けるようなことはおいておくとして。
さて、中身に触れていきましょうかね。
ちなみに、ネタバレとか注意です。
[episode.01&02 妖精さんの、ひみつこうじょう]
全体的にパロディーの多い作品ですが、ひみつこうじょうのお話は、楳図かずおの漫画『14歳』のチキン・ジョージを思い出しました。
※episode.09でも、「漂流して行き着いたところに国を築く」という、どことなく「漂流教室」に通じるストーリーもあるし、原作者は楳図かずお好き??
・人間の食料として、人工的に工場でつくられるチキン。
・そのチキンが知性を持つ。
・しかも、人類と対立して滅ぼそうとする。
みたいなところで共通点が多いなあと。
まあ、楳図かずおの漫画みたいな、トラウマ確実のキモさはギャグ調にデフォルメされ、うまくフワッと構成されていますが。
チキン・ジョージの方で、人類を駆逐するチキンにより恐怖を植えつけたのに対し、本作では、それに「わたし」と妖精さんのコンビで華麗にカウンターパンチを食らわせる痛快さがたまりません。
実際に原作者が元ネタにしているのかよく知りませんが、そうだとしても、元ネタのテーマを踏襲しつつ、それを見事にさばいて見せた手腕に感服です。
ちなみに、個人的には、チキンの演説の場面とか最高です。
あとは、他の話にも共通していますが、オチのつけかたがピカイチですね。
[episode.03&04 妖精さんたちの、さぶかる]
Yのキャラが良いですね(笑)
筋金入りの腐女子という設定や、中の人の関係で、「化物語」の神原駿河とかぶりますが、これはわざとでしょうかねー。
現代の「同人業界」の趨勢をネタにして展開していくわけですが…。
作中では、「同人誌」を敢えて「同類誌」と命名していますが、タイトルにかけて「同類は衰退しました」というのが、ナルホド!と。
[episode.05&06 妖精さんたちの、おさとがえり]
中身はさておき、このepisode.06の最後に、episode.01で主人公がベリーショートになっていた謎が明かされるという構成は、おお!という感じでした(つまり、これはepisode.01の直前のお話)。
アニメでは、原作から時系列を入れ替えていますが、ただ入れ替えるだけではなく、それをしっかりと面白さにつなげているところがすごいです。
また、一番難解と思われるepisode.07&08の直前に、ややわかりにくさのあるこのお話を持ってきたのも、全体の流れを考えての配慮でしょうか。
すごく砕いて言えば「擬人化」のネタ。
でも、しっかり説明しようとすると一度見ただけではスムーズにはいかない。
ただ、その難解さが、妖精さんという摩訶不思議現人類のいるこの世界に逆に説得力をもたらしているところがうまいです。
わかりにくさをマイナスではなく、プラスするという逆転の発想。
[episode.07&08 妖精さんたちの、じかんかつようじゅつ]
ひとことで言えば、昨今よくある「ループネタ」です。
しかし、その中で、これまでのエピソードでも普通に登場している「おじいさん」の若かりし頃や、寡黙な「助手さん」との出逢いをうまく描いています(つまり、助手さんが出ている話より前のエピソード)。
一度見ただけでは、どういうことかかなりわかりにくいエピソードですが、そのぶんナルホドと思わせられます。
主人公ちゃんがおじいさんから借りた日時計のその前の持ち主は誰であるか、そもそも助手さんはなぜアロハなのか、など、見事なつなげ方です。
ところで、例の犬に関しては、パラドックス(paradox/逆説=理を超える言説)とパラ+ドッグス(para+dogs/理を超える犬)をかけているんでしょうかね?
[episode.09 妖精さんたちの、ひょうりゅうせいかつ]
それまですべて2話で1セットだったのが、ここにきてはじめての1話完結エピソード。
このエピソードでは旧人類が「わたし」だけで、あとはひたすら妖精さんしか登場してきませんが、そのぶん妖精さん同士のかけあいが存分に楽しめます。
実は、これまでのエピソードは、他のキャラクターにスポットが当たっていて、妖精さんはアクセントの役割に近かったので、完全に妖精さんそのものにフォーカスしているのは、このエピソードがはじめてなのではないでしょうか。
そして、ここで「わたし」と妖精さんの密な関係性を描いたところで、このあとのエピソードにうまくつながっていきます。
[episode.10 妖精さんたちの、ちきゅう]
「わたし」が学舎を卒業し、クスノキの里の調停官としてのはじめての仕事をするときのエピソード。
つまり、今までの中で時間的には一番昔のエピソードに当たります。
今まで、妖精さんが普通にいるものだとして話が進んできたところで、敢えて本来の視聴者視点、つまり「妖精さん?ナニソレ?」的に思っている頃の主人公を描いています。
ここからこうやって関係を築いてきたんですね。
[episode.11&12 妖精さんたちの、ひみつのおちゃかい]
ラスト2話、ここにきてついに、完全な回想編です。
時間は数年さかのぼり、主人公が学舎(全寮制の学校のようなもの)にいたころのお話。
性格も今とは全然違い、人とうまく関わることのできなかったころから、徐々に成長していくお話です。
あくまで人間(旧人類)が中心のストーリーなので、妖精さんはほとんど画面に登場しませんが……そう来たか、と。
この作品の世界観としてちょうど良い感じの感動を最後に添えて、お話は終わります。
って感じで、結局順番に書いていってしまいましたが、実際にはあんまり小難しい事を考える必要などない作品で、見ているときはただただ純粋に楽しめます。
特に、妖精さんについてはもはや僕が改めて語るまでもなく。
一方で、少し考えてみたくなると、それはそれで考えれば考えるだけ味が出るという、いろんな楽しみ方のできる良作だと思います。
また、個人的には、1クールのアニメということを意識したエピソードの時系列入れ替えもうまくハマったように感じます。
アニメとして、盛り上げるところ、落ち着かせるところのメリハリがしっかりしていて、絶妙な間だったり、ときには力ずくだったりで視聴者を揺さぶるところなんかは、岸誠二監督の他の作品とも通じる所があると思いました。
「瀬戸の花嫁」ほどの勢い押しとは違うものの、テンポの良さは相変わらずです。
ライトノベルとしての武器でもある言葉の妙で飽きさせず、実はよく考えられているちょっとしたSF的な要素で世界観に説得力を持たせ、そこにアニメならではの童話的な演出(特に色づかいとか)が心地よく見事にマッチした良作だと思います。
是非ともそのうち2期もゆるりとつくってもらいたいです。
▽「人類は衰退しました」アニメ公式 → http://www.maql.co.jp/special/jintai/
sho