これは同性同士の恋愛を妄想したものです。それでもOKな方は下へスクロール。
ただ貴方が欲しかった。
ただ、それだけだった。
「どうしました?ぼーっとしてらっしゃいましたけど」
彼が心配そうに私を見る。
「ちょっと疲れてるのかな。すまないね」
「それにしても、このホテル景色が綺麗ですね」
「私もあまり使わないけど、来てみたくてね」
ワインを注いで彼に渡す。
彼は《美味しいですね 》と笑ったあと、膝から倒れた。
ここは最高の舞台だと思わないかい?
二人の夜のために、あるような。
力の抜けた彼の体は重かった。
ベットに引きずりあげる。
するとドアからボーイが呼びかける声がした。
「ご注文のアラカルトお持ちしました」
頼んだ覚えがないが対応しなくては。
私はドアを開けた。
「犯人確保!」
刑事たちが部屋へ、なだれ込む。
彼らは私を床に押さえつけた。
「居た。睡眠薬で眠らされてる」
「又吉さん、又吉さん!」
いぶし銀とも言えそうな刑事が凄んでくる。
「どれだけの薬、入れたんだ?量によっては命に関わるぞ」
「1錠くらいですよ」
私が彼を危険に晒すわけがない。
とにかく警察の奴らがうるさい。
「何をぎゃあぎゃあ騒いでるんですか。僕らの夜を邪魔して」
「お前、他の男性スタッフにも同じ事しただろう」
一ヶ月前くらいに似たような事をした。
あの子も可愛い子だったね。
「予行練習ですよ」
「そのスタッフがお前と彼を見て、通報してきたんだよ」
又吉さんが目を覚ます。
事態が飲み込めていないようだ。
「何ですか?え・・・と?」
「警察です。もう大丈夫ですよ」
「ごめんなさい・・・お酒飲んでか・・・ら記憶が・・・」
「大丈夫ですよ?立てますか?」
ベットから起き上がった彼に向けて
「せっかく2人の大事な夜だったのに。残念ですね又吉さん」
声をかけて背を向けた。
手錠の冷たさを感じながら。
ただ貴方が欲しかった。
今夜、一晩でも。