いつかの君へ6 | 「山あり谷あり笑いあり」らんのblog

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インドアなのに司会やイベントに参加する方向音痴不思議さんの日々を綴ったり、小説や詞を書いたりする迷走系ブログ❗️時折、失踪してblog更新怠ります
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真っ暗な空間(壮一と陽太の夢の中)


壮一「ここって」


お互いに気が付く。


壮一「陽太、お前何でここに」

陽太「壮一こそ」


隼人が出て来る。


壮一「お前も?」

陽太「壮一も?」

壮一「一週間前からだ、鮮明な隼人の夢を見るようになったのは。初めはなぜなのか気が付かなかった、でも今なら分かる。そうだよな隼人」


隼人が2人にちかよる。


隼人「ああ、二人に頼みがあるんだ。桜を、妹を助けてやってほしい」

陽太「桜ちゃんを」

隼人「そうだ、妹を助けてくれ」


土下座する壮一。


隼人「壮一」


気が付き同じく土下座する陽太。


壮一「すまない桜ちゃんがあんな風になってしまったのは、全部俺たちが悪いんだ」

陽太「すまない隼人、悪気がなかったとは言わないお前を困らせたかった。でも、あんな事になるなんて思ってなかったんだ」


2人を立ち上がらせる隼人


隼人「でも、俺は死んでしまった。後悔しているんだよな」

壮一「ああ、ずっと後悔している」

陽太「俺もずっと後悔して来た」

隼人「だったら、桜を助ける為に手伝ってくれないか。これが最後のチャンスなんだ」

陽太「最後って」

壮一「それは、お前にとって最後なのか?それとも、桜ちゃんにとって最後なのか」

隼人「どちらもだ」

壮一「どちらも、わかった何でも言ってくれ」

陽太「ああ、俺達で出来る事なら」


微笑む隼人


隼人「ありがとう、そう言ってくれると思っていた。頼んだぞ」


去って行く隼人。


壮一「隼人!」


立ち止まる隼人。


壮一「お前、今どこに居るんだ?まだあそこに居るのか?」

陽太「あそこって…まさか」

隼人「ああ、あの場所で待っている。俺はずっと待っているんだ」


去る隼人。


壮一「陽太、何があっても隼人の願いをかなえるぞ」

陽太「それが俺たちの出来る唯一の償いだな」


森の中に《わたし》がいる。


わたし「みんなに愛されてあなたは幸せね。私はいつもいつも一人だった」


桜が来る。


わたし「遅いじゃない、やっと来たのね」

桜「教えて、あなたはいったいなんなの?」

わたし「私はあなた、そう言ってるでしょ。それにもう分かっているはずよ」

桜「もう分かっている?そうなのかもしれない。でも思い出せなかった。何度カウンセリングを受けても、その間の事は忘れてしまう」


≪わたし≫は怪しく微笑み


わたし「いいわ、教えてあげる」


≪わたし≫は桜の耳元で


わたし「私はねこの世に産まれる事の出来なかった、もう一人のあなた」

桜「もう一人の私?」


驚く桜


わたし「どちらか一人しか生き残れないと言われて、二人はあなたを選んだ」

桜「一人しか生き残れない?選んだ?」

わたし「そう」


桜の首に手をかける《わたし》


わたし「お父さんとお母さんは、あなたを助ける為に消えかかっている私の命を捨てたの」

桜「捨てた、命を?」

わたし「そうよ」


笑いながら、桜の首から手をはなす。


わたし「それでも、二人はもう一人の私を忘れる事が出来なかった。そして、生き残ったあなたに完璧を求めた」

桜「……」

わたし「そりゃあそうよね、上の子が神童と呼ばれていたんですもの、あなたにも相当の期待をした。でも、あなたは」


暗い表情の桜


桜「私は神童じゃなかった。それどころかお父さんとお母さんの期待を、ことごとく破って来た」

わたし「そして七歳の誕生日のあの日、あなたはもう一人の私の話を立ち聞きした。そして愛されていない自分に気が付き、私を作り出したのよ」

桜「愛されていない愛されるはずがない私」


桜に冷ややかな微笑みを向ける≪わたし≫


わたし「本当は憎かったんでしょ?何でも出来て、誰からも愛されるお兄ちゃんが。だからすねて困らせた。大好きだけど大嫌いなお兄ちゃんを困らせたくて、わざと森の中に逃げ込んだ」

桜「森の中に」

わたし「そう、そこで私はサンダルを片方失くし、探しに来たお兄ちゃんは溺れて死んだ」

桜「探して探して、池の中にあったサンダルを取ろうとして、兄さんは足を滑らせた。私のせい」

わたし「そう私せいよ。そして、お父さんは私を憎んだ。あの言葉は忘れられないわ。あなたも聞いていたはずよ、なぜお前が生きている、お前が死ねばよかったんだ」


叫ぶ桜


桜「やめて、やめて」

わたし「だから完全に心を閉ざしたのよ、こんな奴らもっと苦しめばいいってね」

桜「そう、完全に心を閉ざした。この世から消えてなくなる為に」


ふと気づく桜。


桜「もしかして、あの時あなたはワザと私と入れ替わったの」

わたし「何の事?」

桜「だってあの時、あなたが入れ替わってくれなかったら私どうなってたか」

わたし「私はただ、乗っ取るなら今がチャンスだと思っただけよ」

桜「違う、そうじゃない」


わたし》の頬にそっと触れる桜に驚く《わたし》


わたし「なにをするの?」

桜「だって、あなた笑っていたのに悲しそうだった。今だって本当は」


思いっきり手を振りほどく《わたし》


わたし「私に気安く触らないで」

桜「そう、あの日もこんな事が」

わたし「思い出したの?」

桜「あの日、お父さん達の話を聞いてどうしようもなかった時、あなたは言ってくれた」

わたし「私が言った言葉」

桜「何があっても守ってあげる…私が代わりになってあげる大切な分身だから」


驚き離れる≪わたし≫


わたし「そんな事、何で思い出すのよ」


手を伸ばす桜。


桜「あなたも愛されたかったのよね。見付けてほしかったのよね」

わたし「やめて」

桜「寂しくて寂しくて」

わたし「やめて」


≪わたし≫に近寄る桜


桜「ねえ、どうすればいい?私は、どうやってあなたに償えばいい?」

わたし「償うですって?私は、そんな事を望んじゃいない。私はただ」


何かに気が付く《わたし》


わたし「ただ」

桜「あなたは本当はやさしい人。おじさんの家に行って、自分を取り戻してく私の邪魔をして来なかったもの」

わたし「二人は本当に愛してくれたから、どちらの私も、だから私」


明るくなっていく森