新開家の居間 中央に座卓、隅に仏壇(午前中) 桜が、荷物を持って入って来る。
桜「ただいま~今帰りました・・・」
静まり返る部屋の中。荷物を置く。
桜「どこに行ったんだろ」
仏壇に近寄る。
桜「兄さん、ただいま。あれからもう、二十五年も経ったんだね」
手を合わせる桜。人の気配がして振り返る
桜「だれ?」
見渡すが 誰もいない。
桜「気のせい?」
気配を気にしながら、座卓にやって来る桜。友則と希美が、お墓の掃除から帰って来る。
玄関に桜の靴を見付ける希美。
希美・声「まあ、お父さんもう桜が帰って来てるわ!」
友則・声「本当か?」
バタバタと入って来る二人。
桜「ただいま、お父さんお母さん」
友則「(嬉しそうに)おう、よく帰ってきたな」
希美「桜、お帰りなさい」
優しく微笑み桜を抱きしめる希美。
桜「おお母さん苦しいってば」
そんな二人を笑顔で見ていた友則が
友則「あ、ちょっと待ってろ桜、すぐに着替えて来るから」
と部屋へ去って行く。
希美「お父さんたら嬉しそう。あらやだ、正也さん達と一緒に帰って来ると思っていたから、お昼の用意をしてないわ」
うろうろする希美に
桜「いいって、新幹線の中でお弁当食べたし」
と言う桜。
希美「そんなのだめよ!そうだ、夜は桜の好きな唐揚げにする予定だから、
お昼はうどんにする?おいしい、山菜の天ぷらがあるのよ」
楽しそうに言う希美に
桜「じゃあ、それでいいよ」
と桜が座りながら言った。
希美「じゃあ、腕によりをかけて作るわね」
と言い台所に去って行く希美に
桜「うどん、茹でるだけでしょ」
と声を書かけると
希美「やだわ、お出汁も重要なのよ」
と硝子戸の端から顔を出して言う。
桜「なるほどね」
と言う桜に
希美「それにしても、本当によく帰ってきたわね。もう大丈夫そうね」
希美が声をかけると、穏やかな表情で
桜「うん、もう大丈夫」
と言った。
希美「良かった。あ、お茶入れるわねと、お菓子だったわ」
台所に去る希美。桜は部屋の中をゆっくりと見回し
桜「やっと帰ってこれた」
と、呟いた。