いつか優しい未来~いつか優しい未来が34 | 「山あり谷あり笑いあり」らんのblog

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インドアなのに司会やイベントに参加する方向音痴不思議さんの日々を綴ったり、小説や詞を書いたりする迷走系ブログ❗️時折、失踪してblog更新怠ります
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「私に、お供をさせていただけますか?」

ばあやの言葉に、ケイルは

「お前は…それでいいのか?」

と聞いた。ばあやは微笑み、

「生まれたときから、お二人と一緒に居ることが、私の幸せでしたから、他の道など考えたこと はございません。その時が来たら、ご一緒にと思っておりました。」

ばあやの言葉に、ケイルが言った。

「お前が一番辛かったはずだ、すまない…さくら…。」

ばあやの目から、涙が溢れ出した。

「なつかしい名前です。もう自分の名前さえ忘れていました…最後に呼んでいただき、ありがとうございます。今日まで生きてきて…よかった。」

そう言うばあやを、ケイルは、そっと抱き締めた。

そこに結がやって来た。そして、ケイルを睨み付けた。

「よくもやってくれたわね…皆を逃がすなんて…私をうらぎるの?」

そう言い、結はケイルに近寄った。ばあやは、ただ立ち尽くしていた。

「結もうやめよう、こんな事…今が、最後のチャンスなんだ。」

ケイルが言うと、結が、

「最後…いやよ…私は生きるの、生き続けるのよ。 」

そう言う結の腕を、ケイルはつかんだ。

「この手袋…アザが広がったんだろ…結、お前の体はもう…。」

ケイルの手を振りほどき、結が言った。

「そうよ…どんどん腐っていくわ…生きながらね。あんな血さえ体に入れなければ、私は人でいられたのよ!」

結は怒りで震える体を、必死で抑えようとしていた。そして、

「あの日、この血のせいで錯乱した私が、お祖父様とお祖母様を噛み殺したあの夜…殺すことも出来たはずなのに、あなたは私を生かしたじゃないの…。
それなのに、今になってこんな風に裏切るなんて。こんな事になるのなら、なぜあの日に見捨てなかったの、なぜ殺さなかったの、そうすればよかったのに!!」

深い悲しみの色が、2人を包んでいた。

「こんなになるまで生かしておいて、今さら何を言っているの…。 ふざけないで…あなたのせいよ…私は、全てを手に 入れるまで、死なないわ。」

そう言う結を、ケイルは悲しい目でみつめた。

「みんな、みんな私から幸せを奪うのね…許さない…許さないわ!」

結の目が赤く光り、ケイルを指差すと、空気が刃物のようにケイルに向かって飛んできた。

「危ない、ケイルさま…」

ばあやが、ケイルの前に飛び出した。それは、ばあやの胸を激しく貫いた。

「さくら!!」

ばあやは、崩れ落ちるように倒れた。
ケイルは、ばあやを抱えあげ、

「さくら…さくら…なぜだ、俺なら大丈夫なのに…」

と言った。ばあやは苦しい息の中、ケイルに言った。

「あなたの、ケイル様のお役に立ちたかった…。やっと、お役にたてました。」

そう言い、ケイルの頬に触れた。そして

「ケイル様…最後に名前を呼んでくださって、ありがとうございました。あなたに会えて幸せでした…」

と言い、ばあやは静かに息を引き取った。

「今までありがとう、さくら…。今までの分、ゆっくり休んでくれ。」

ケイルは、ばあやをゆっくり床に寝かせ、結の方を見た。
結は、力を使ったために、苦しそうに肩で大きく息をしていた。そんな結にケイルは

「まだそんな力が残っていたんだな…でも、もう限界なんだろ。それに、その程度では、俺を止められはしない。」

と言った。