「あの日、麻衣子はケイル様が私に言った言葉と同じ言葉を、実加さんに言ったんです。驚きました、この人をもっと知りたい傍にいたいそう思ったのです。」
黒沢の言葉に、焦りまくる麻衣子
「ちょっと元さん、恥ずかしいから言わなくていいから。」
菜月が
「麻衣子?って呼びすて」
と言うと、広人が
「元さん?って」
と、キョトンとして言った。そんな2人に気付いた実加が
「黒沢元って名前なの。兄さんはいつもミドルネームのクロードで呼んでたから。私も知ったのは最近だけど」
「あれよ、色々とあったの❗️元さんのバカ」
と麻衣子が慌てていった。そんな麻衣子と黒沢を見ながら、実加が
「結局、ケイル兄さんも私も黒沢も、麻衣子が好きだって事なのよね。
まあ、私から麻衣子奪った黒沢は、いまだに大嫌いだけど。 」
と言い、黒沢を睨み付けた。
「すみません。」
困った顔をして、黒沢は謝った。
「ったく、麻衣子ったらどこが良かったの。」
と、苦笑いをしながら言う実加に
「本当に、どこが良かったのかなあ?あ、押しの強さ?」
と、麻衣子が黒沢をみると、
「そっそこ?」
「えーだって結構」
「しっ、それは秘密」
と、麻衣子を見る黒沢の色っぽさに、まだ2人はポカンとしていた。
そんな二人を、イラッとしてみていた実加が。
「だから、いちゃつくのは止めなさい。独り身には毒なのよ」
と言うと
「みっ実加❗️いちゃつくって」
「あー私も素敵な人見付けなくっちゃ、一緒に行ってくれる。」
広人が
「行ってくれる?」
と聞くと
「兄さんと約束したの、いつか本当の故郷にこのペンダントを返しに行くって」
と、胸元のペンダントを持ち上げた。
広人が
「それは」
と聞くと
「父から預かったペンダント、兄さんに渡すつもりだったんだけど、これも運命なのよね。」
と、実加はフッと笑った。そんな実加の肩を麻衣子が優しく抱きとめた。
ふと、広人は
ケイル、君はもしかして未来で麻衣子さんのそばに居るのが、自分ではないと知ってしまったのか?
だから…
いや今となっては知るすべもないな。
広人は麻衣子の笑顔を眩しく見ていた。
4人と話したあと館から出た広人は、緑の隙間から差し込む初夏の陽射しをあびながら森の中を歩いた。
降りしきる雪の日に、俺はこの館に来て結さんとケイル、2人の美しい悪魔に魅いられた。
あの日から、俺は変わりはじめたんだ。
大切な誰かを守る力が欲しい、そう願いはじめた。
今はまだ大切な誰かを見つけてはいないけど、いつか出会えたら必ず守り抜いてみせる。
君がどんなことがあっても結さんを受け止めたように。
広人は館を振り返り、緑に包まれて静かにたたずむ白銀の城をカメラにおさめた。

