「あの聞いてもいいですか?」
「何かしら?」
と不思議そうに結が答えた。そんな結に広人が
「さっきメイドさん?ですかね、代わりの人が来るって言ってたんですけど、何かあるんですか」
と聞いた。すると田所が咳払いをして
「実は明日から2週間、メイド達が休みをとるのです。
きっと、その代わりに雇うアルバイト達の事でしょう。いらっしゃるのは今時の若い娘さん達ですがね。
そこで相談なのですが、たまたまいらっしゃるあなたにも協力をお願いしたいのですが宜しいかな」
そう言いジロリと下から広人の顔を見た。
なっなんて目で見てくるんだ
その目のあまりの鋭さに広人は動くことが出来ずにいた。
「広人さん、どうかして?」
結に声をかけられて我に返った広人が
「あいえ、はい分かりました俺で出来る事があれば何でも言ってください」
すると、とても嬉しいそうに結は広人の手をとり
「ありがとう助かるわ頼りにしているわね」
和かな美しい微笑みをたたえ言った。
「では広人さま、申し訳ありませんが本日は別のお客様が来ることになっておりまして、
出来ればしばらくお部屋で居ていただければありがたいのですが」
田所がそう言うと申し訳なさそうに結が言った。
「ごめんなさいね、突然来る事になったの。大切なお客様だから
今日は1日かかると思うわ、邸を案内出来なくてごめんなさいね」
部屋から出るなって?まあ構わないけど
「分かりました、じゃあ出来るだけ部屋にいるようにします」
そう答えるしかなかった。
「勿論時間がかかるようでしたら、昼食や夕食はお部屋にお持ちいたします。
他に何かご用がありましたら、お部屋にある電話を鳴らしていただければ伺います。
ただし内線専用の電話ですので、外部に連絡したい時はその都度申し出てください。よろしいですね」
あの電話は内線専用だったのか
「はい、まあ
部屋の装飾とか興味深いものがけっこうあるので退屈はしないと思います」
そう広人が言うと結が
「よかった、この城は本国の離宮に似せて造ってあるから見ごたえがあると思うわ」
と言った。それを聞いた広人は
本国の離宮
「きっとすごいんでしょうね、いつか見てみたいな」
夢見る目付きで言う広人に結が
「そうね、いつか見られるかしら」
と呟いた。
いつか?いつでも行けるはずだよな、何だろうなんか引っ掛かるな
広人は疑問を持った。
だが、それを打ち消すように突然大きな音がして扉が開き2人の男性が家の中に入ってきた。
「結!久しぶりだなぁ」
そう言い男性は結を抱き締めた。
えっ今度はなんだ?
その光景を呆然と見ていた広人に、仕立てのいいスーツを着た少し白髪混ざりのその男性が、結から離れ近よってきた。
そして
「君はたしか」
そう言うと広人をじっと見た。
「小崎広人様です」
もう1人の黒のスーツの細身の背の高い男性がそっと耳打ちをした。
「ああ、そうそう小崎君だね、本当によく似ているなぁ。
まあ、ゆっくりしていってくれ」
そう男性が言った。
ゆっくりしていってくれって、何様だこいつ
驚き立ち尽くす広人に結が
「いやだわ、広人さんがびっくりしてるでしょ。ごめんなさいね驚かせて、
彼は平岩陽平、私の従兄弟よ。こっちは秘書の」
男性は会釈をして
「黒沢と申します。よろしくお願いいたします」
と言った。広人も慌てて
「小崎広人です、よろしくお願いします」
と言った。 すると陽平は広人に近付き顔をよせ小声で言った。
「結は私の物だからね覚えておくように」
「えっ!?」
突然の事に驚く広人をニヤリと陽平が見ていった。
「さあ、じゃあ行こうか結」
そう言うと陽平は結の腰に手を回した。
それを見て広人はドキッとした。
そこに従兄弟以上の関係を感じた。
