久々の【語るブログ】です!!


最近、「大好きなものは変わらないんですぅ」ってブログを書いたんですが、そのコメント欄で数名の方がこの少女漫画の傑作『トーマの心臓』をあげてくださいました。


もちろん冬夢も少女の頃にどハマりし、思春期の感化されやすい時期にアイデンティティを決定付けた作品のひとつでした。

だからコメント欄だけでは語り足りない、是非語り場をとお話が盛り上がり、このブログを書く事にしました。


ここのコメント欄には『トーマの心臓』が大好きな方達が、思うがままを存分に書いて下さい。推しキャラを語るも良し、ご自分の考察を語っても良し、コメントへのリプも自由になさって下さり盛り上がると冬夢も嬉しいです。


あ、もしかしたらお若いフォロワー様の中には、『トーマの心臓』って何?って方もいらっしゃるかもと思いましたので、まずはざっくりとご紹介。


​『トーマの心臓』著者・萩尾望都



1974年から週刊少女コミックで連載が始まった少女漫画。
ドイツのギムナジウムを舞台に、そこで学ぶ少年たちの愛、友情、家族愛、無償の愛を描いた作品。

原作者の萩尾先生は冬夢も大好きな映画『悲しみの天使』をモチーフにしたと仰っています。



この映画も合わせて観て下さると、深くトーマの世界に浸れるかもしれません。


冬夢が初めてトーマと出会ったのは、むかーし昔。

今のように、BLなんて言葉も雑誌なんかも無い時代に出会ったので、ハマりにハマって高校大学時代まで単行本全3巻は部屋に置いてありました。





さて、これから内容とこの作品の中に生きてる少年たちに触れていきます。そして、冬夢の語りたい事も。


トーマ

タイトルにある「トーマ」は、シュローダーベッツ中等科の13歳。可愛らしい容姿で皆んなから可愛がられていた天使のような少年だったがある雪の日、橋から転落死します。冬夢が好きなキャラです(^^)

ユリスモール(ユーリ)

高等部の14歳。真面目で優等生、成績も優秀で皆んなから委員長と呼ばれ信頼されています。しかしトーマの死の後、彼に宛てたトーマからの手紙が届き、トーマの死に責任を感じるようになります。彼とトーマの間に一体何が?

オスカー

高等部の15歳。1年間放浪の旅に出ていて、同級生より一つ年上です。兄貴肌でユーリと共に舎監室に住んでいて、彼に特別な感情をもっています。冬夢のいち推しキャラ(*^^*)

エーリク

高等部の14歳。トーマの死後シュロッターベッツに編入してきたが、トーマに生き写しの容貌だった事で話題になり、その可愛らしさから「ル・べべ」と呼ばれるように。本人はその呼ばれ方を嫌っていた。トーマと違い、言いたい事を言う自由奔放な少年。マザコン。

アンテ

中等科の13歳。トーマとは「どちらがあの品行方正なユーリを落とせるか」という賭けをしていました。実は彼はいつもユーリの側にいるオスカーの事が好きで、その賭けはオスカーからユーリを引き離す為のものでした。

サイフリート

トーマの死の前年、ある事件で高等部を放校になった不良生徒。悪魔的魅力を待ったカリスマ。八角形のメガネがトレードマーク。


これらの登場人物以外にも沢山の生徒や、学校の教職員、生徒達の家族もたくさん出てきます。


物語はユーリとトーマの関係やトーマの死の謎、そしてそれに絡む人物たちの過去や家族、愛の全てが描かれています。


アンテに唆され、ユーリを落とす賭けをしたトーマ。しかし賭けを知ったユーリは激怒。皆んなが見ている前でトーマを酷く拒絶してしまいます。

でもトーマは本当にユーリが好きだったんですよ。だからそれ以後も彼に手紙を書き続けました。

トーマが最後に送った手紙は、復活祭の休暇が終わり学校に生徒が戻ってくる日、ユーリに届きます。

それはあの有名な、この作品を象徴する書き出しで始まっていました。


【ユリスモールへ さいごに これがぼくの愛 これがぼくの心臓の音 きみにはわかっているはず】


ユーリはトーマの死で精神的に弱っていて、彼をずっと世話していたのが同室のオスカー。ある夜、過呼吸になったユーリに人工呼吸しているところをアンテに見られて、黙っているからと彼にキスさせられるシーンがあります。アンテ、あざとい…


しかしユーリはこのトーマの遺書ともとれる手紙をそれ以上読まず、彼の墓の前で破り捨てました。その頃、転入してきたのがトーマに容姿がそっくりのエーリク。学校は大騒ぎで、最初ユーリとエーリクはお互いに牽制し合いケンカになってばかりでした。

エーリクはオスカーの助けで学校に馴染み友達も増えます。そんなある日、アンテが言いふらした「オスカーとユーリがキスしてた」という件で、オスカーはユーリの部屋から大部屋へ、オスカーの代わりにエーリクが入る事になるのです。


ユーリはある日から心を閉ざしてしまいました。

友人にも優しかった彼が「友情も同情も好意も迷惑だ」と言うようになってしまった。

オスカーは噂を言いふらしたアンテに罰を与えようとしますが、彼がトーマとの賭けを自ら言い出しそそのかしたのは、自分の事を好きでやった事だと知ります。

アンテってきっと皆んなに嫌われる存在なのよね、でもオスカーを本気で好きなの。だから何をしてでもユーリを彼から遠ざけたかったのよ。ここでこっ酷く無視されちゃうのだけど。「振り向いてオスカー、君が誰を好きでも構わないから」って泣くアンテ、冬夢は好きだな。

そんなオスカーは「僕ではダメか?」と心で呟くほどユーリを愛してるの。辛い…


エーリクはずっと母からの手紙を待っていましたが、ある日届いた手紙は「母が事故で亡くなった」との知らせの手紙でした。我を忘れる程打ちのめされるエーリクの側にいたのはユーリ。無断で家に帰ったエーリクを追うユーリは、彼を学校へ連れ戻そうとします。

この旅で、ユーリはサイフリートに再会してしまい、エーリクはユーリの実家での彼の家族の問題を知る事になりました。2人はここで距離を縮めます。

学校に戻ったユーリを見てオスカーは「変わった」と思うんですよね。戻るまでの3日間に何があったか、彼は想像します。自分ではトーマをユーリの心から排除出来ない事、そしてそれが出来るのはもしかしたらエーリクだ、と思うのです。っくぁぁ〜切ない!!


エーリクは優しくなったユーリに天使の羽を見ます。そんな時盗難事件が起き、盗癖のあるレドヴィという生徒がトーマについてユーリに話すと彼は激昂します。

エーリクはレドヴィが隠していた、トーマがユーリに当てた詩を見つけていました。レドヴィは《ルネッサンスとヒューマニズム》という本に挟んであったその詩を時々見ていたのでした。

この詩が13歳の少年が書いたと思えないくらい文学的宗教的なものなのです(もちろん、原作者が書いたんだけど…)全文を書きます。


ぼくは ほぼ半年のあいだずっと考え続けていた

ぼくの生と死と それからひとりの友人について


ぼくは成熟しただけの子供だ ということはじゅうぶん分かっているし 

だから この少年の時としての愛が

性もなく正体もわからないなにか透明なものへ向かって

投げだされるのだということも知っている それから ぼくが彼を愛したことが問題なのじゃない

彼が僕を愛さねばならないのだ

どうしても


今 彼は死んでいるも同然だ

そして彼を生かすために

ぼくはぼくのからだが打ちくずれるのなんか なんとも思わない


人は二度死ぬという まず自己の死 そしてのち 友人に忘れ去られることの死


それなら永遠に

ぼくには二度めの死はないのだ(彼は死んでもぼくを忘れまい)

そうして

ぼくはずっと生きている

彼の目の上に


これを見てエーリクは、トーマがアンテに茶番劇に誘われる前からユーリの事を好きでいつも見ていた事を知りました。

もうね、トーマの一途な気持ちが痛いの。ユーリが本当は好きだったトーマの気持ちを受け要られなかった理由はもう少し後で分かりますが、この辺りからは時代背景、そしてキリスト教における赦しの概念がユーリをガチガチにしていた事も分かってきます。そして全てを知っていたオスカーは、彼を救いたかったんです。


義父がエーリクを引き取りたいと学校にやってきました。しかしエーリクは「ここに残りたい、信頼を得たい人がいる」と言って残るのですが、それがユーリが好きだから残ったと噂になります。トーマに似たエーリクがユーリを好き。おせっかい共は、お茶会で2人を鉢合わせさせる作戦を決行します。しかしお茶会の開かれる《ヤコブ館の2階はし》は、ユーリが2度と足を踏み入れたくない場所でした。


オスカーがユーリの体の傷について知っていた事をユーリは知ります。彼の背中の傷を見ていたエーリク。そして、トーマがずっと自分を見つめ、好きでいた事を知っていたユーリ。


ユーリが全てを話す時がきました。

冬夢は「人間は善と悪、どちらの心も持っていて、時に悪の方に心強く惹かれる事がある」という言葉を噛み締めました。

ユーリの良い心はトーマに惹かれ、悪い心はサイフリートに惹かれてしまった。サイフリートがどんな思考の持ち主でどんなに残酷か彼は気付いていたはず。お茶会に誘われそこに参加すると決めた時、ユーリは自らの羽を捨てたんですね。そしてサイフリートの暴力の前に屈し、翼をもぎ取られた。それは自らが招いた事だったんです。サイフリートに膝まづき、神より彼を愛していると言った事は、ユーリにとって自分は神に祈る価値もなくなったと思わされました。しかしトーマは事件のことは知らなかったのに、心を閉ざし他人から愛される事を拒んでいるユーリには気付いていたのです。ユーリに愛してると言った日からトーマはユーリを「赦していた」んですね。何と崇高な愛でしょうか、そしてユーリに愛される喜びを残す為に、トーマは自ら命を絶った。


そんな愛を、13歳のトーマに見せつけられるんです!


トーマは自らの愛が茶番では無かった事、そしてユーリが自分自身を裏切り、許されない存在になったという事を否定したかったのではないでしょうか。

冬夢の好きなオスカーは、出会った頃の明るく友達思いのユーリに戻してあげたいと思い、彼の側に居続けていました。キリスト教で禁じられている同性愛、しかしトーマもエーリクもオスカーもユーリを愛していました。

ユーリ自身もトーマを愛しましたが、彼を失った事で一生を神に捧げる事を決めます。


神学校に向かう列車の前で、彼を見送るオスカーとエーリクの姿は、冬夢の記憶に深く刻まれてます。トーマの愛は「罪を犯したものを許す」というより「何もかもいっさいを赦す」というものではないかと冬夢は思うのです。

死んでユーリの記憶からは絶対に無くならない存在となったトーマ。

ユーリの手にはあのトーマの詩と、彼も読んだ『ルネッサンスとヒューマニズム』の本がありました。


彼の死が遺された者に及ぼした影響は、とても大きなものでしたね。大人になって読むと、自分もかなりの影響を受けていたなぁと、改めて思います。

番外編の漫画たちも、『Studio Life』による舞台化も、映画『1999年の夏休み』も、森博嗣さんのノベライズも、全て観て読んでいました。

繊細な感情表現と、詩的なセリフの数々に多感な少女は物凄い刺激を受けていた訳ですねおねがい




どれだけ語っても足りないくらい、感じる事言いたい事が溢れ出る作品『トーマの心臓』。

皆さんと存分に語りたいと、三つ指付いて冬夢がお待ちしてありますm(_ _)m



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