映画『楽園』のレビューでこの作品に触れたのに、ブログ書いて無かった!!


R•W•ファスビンダーの作品『ペトラ•フォン•カントの苦い涙』を、フランソワ•オゾンが自分流の映画に仕立てた作品。



オゾン作品の原題は『PETER VON KANT』、ファスビンダーでは有名デザイナーの女性が主人公なのを、オゾン作品では成功した巨漢の男性映画監督に書き換えています。

オマージュが過ぎるちゅー日本版ポスターより、こっちの方が良いよね〜笑


ドイツの映画監督、脚本家、舞台演出家のファスビンダーといえば、腐女子の間では俳優アルミン•マイヤーとの関係や、ジャン•ジュネ原作『プレストの乱暴者』を映画化した『ケレル』を1番に思い出すと思います。



上矢印主人公•ケレルを演じてるブラッド•デイヴィスがこの上なくエロくセクシーなんですよぉラブラブ


ファスビンダーはこの『ケレル』を編集中に、薬物の過剰摂取で37歳の若さで亡くなりました。


そんな彼の「女性だけの映画」を男性に置き換えたオゾン監督。彼のゲイの主人公の作品で言えば『ぼくを葬る』と、2020年の映画『Summer of 85』を思い出しますよね。



↑冬夢のブログはこちら電球


そしてこの『苦い涙』ですが、『楽園』で主人公・ジョーを演じたハリル・ベン・ガルシアが、年上の映画監督・ピーター(=ドゥニ・メノーシェ)を翻弄する美青年として登場。



クルクル巻き毛、厚い唇で甘い言葉囁いたりしちゃってさ、おじさんを手のひらで転がしちゃうの酔っ払い

この画像の1番右にいる男性は、カール(=ステファン・クレポン)といってもう3年以上ピーターの世話や仕事の管理、そして脚本の代筆までしている。このカールがね、ピーターの影のように存在していて、とっても怖い笑



カールを奴隷のようにこき使うピーターだけど、全幅の信頼を置いているようです。




ある日、フランツという恋人と別れ失意に暮れていたピーターの元に、女優で親友のシドニーがやって来ます。彼女は旅先で知り合った青年・アミールを彼に紹介。すると若く美しいアミールにピーターは一目惚れし、早速次の日の約束を取り付け再会しました。



彼の為に新しい映画を作る、一緒に成功しようと言うピーター。その日のうちに2人はベッドイン。アミールは妻を海外に置いてドイツに来てるらしいのになんだ?と思いましたが、何かの成功を夢見る若き青年ですもんね。使えるもんは、なんでも掴む覚悟だったんでしょう。

ピーターは彼に自分の屋敷に住んでと言い「愛しい人、愛してる」と囁くのでした。


しかし9ヶ月が経った頃には、アミールは演劇学校にもろくに通わず、ピーターには命令口調、カールを嘲笑するようになります。



そんなアミールを溺愛し、言いなりのピーター。アミールは夜遊びして、他の男とのあんな事やこんな事をピーターに話すの。ピーターも彼が外で何をしてるか聞きたがるけど、心の中は嫉妬で狂いそうです。


あー、おっさんが若く美しい男に執着し、猛烈に嫉妬するの、堪らーん!!


ごほん、ごっほん…落ち着け冬夢…


悲しみで泣き崩れるピーターにアミールは「楽しみたいだけ、そこに愛はない」と言うけど、ピーターにはアミールだけなので、理解はできない。出来ないけどアミールを失いたくないから、言いなりになる…あー、負のループ…


ある日、別れたはずのピーターの妻から連絡があり彼女に「会いに行く」と言うアミール。ピーターは渋々飛行機を手配してやるのですが、この時大きな喧嘩になってしまいました。でも、「行くな」って言いながら取っ組み合いまでするのに、結局はお金を渡すピーターはもう、ただの恋に溺れたバカなおじさんです。



アミールの居ない寂しさを、酒と薬で紛らわすしかないピーター。ある意味、狂ったように愛しちゃったからもう、どうしようもないんですよね。


帰って来る、と言ったアミールは帰って来ず、ピーターの誕生日にお祝いに来たシドニーから、アミールは他の作品に出演するらしい事を聞かされ、自分が捨てられた事を悟ったピーター。



その場にいた娘と母をも罵倒し、家中の物を壊して「彼を愛してる、心から。お前らよりずっと」と叫び泣き、暴れるのです。



結局、側に居た母のおかげでピーターは落ち着きを取り戻しました。その時、アミールからやっと電話があるんですが、会いに来ると言う彼にピーターは「無理だ」と言いました。

でもアミール、シドニーと一緒やった。電話もシドニーに言われて掛けたようでした。怖いのは、女、か…もやもや


ピーターは、ずっと側で使えていてくれたカールに「今まで悪かった。これからは2人で力を合わせよう」と優しく語りかけます。


でもでも!!

そのピーターに唾を吐き掛けられちゃうゲッソリゲッソリ


いやぁ、この作品で1番謎だったのがピーターなんですよ。だって一言も喋らないんですよ、セリフゼロなの。最後、実はピーターの事がずっと好きやった…的なオチかと思ったら、違ったわ。いやー、爽快でしたねニヒヒ


恋愛体質で相手に溺れるタイプのピーターだからこそ、有名監督にまで上り詰めた芸術家になれたのかもしれない。

ぽっこりお腹の出たピーター、40歳の設定でびっくりしたけど、40歳と23歳でも十分歳の差あるわねニヤニヤ


ピーターは一度も自分の部屋からは出ない、ある意味ワンシチュエーション的な作品。だから、彼の全てが詰まってるはずの部屋の中の物を壊すシーンは、ちょっと切なかったです。


そして往年の大女優、イザベル・アジャーニが女優・シドニーを演じてるんですけど、彼女もう68歳なんだってビックリマーク

冬夢的には大好きな作品『カミーユ・クローデル』や『王妃マルゴ』の少女のような風貌の印象でしたが、メイクやヘアスタイルもあるだろうけど、凄みのある女優役がぴったりでびっくりでした。







配信はU-NEXT、現在は有料作品なのでポイント余っている方は是非、観てみて下さいねびっくりマーク




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