城戸の「彼女と寄りを戻した」







「仕事を辞めて別会社に転職する」
と言う事実が、木島に分かってしまった前話。
城戸の薦めで書き始めたポルノ小説、そして大物作家「蒲生田」との出会いの後。
ドキドキの、5話です。
※
城戸を睨み付ける、木島。
「君は、最低だ」
部屋を出て行こうとする木島を、城戸は必死で止めようとします。
「木島、なあ木島❗話を聞けって、なあ!」
「離して」城戸を突き放す木島。
「いや、ちゃんと話そうと思ってて。タイミングが掴めなくってさ」
木島は、2つの事にキレてる、と話します。
城戸が、彼女と寄りを戻したのを黙っていた事。
「いつだ?どの時点だよ、なぁ?」
城戸に顔を近付け詰め寄る木島ですが、目を反らしたまま何も答えない城戸。
「最悪だ、僕にこんな事言わせやがって!死にたい気分だよ」泣きそうな木島。
「なあ木島、俺は…」木島の肩に手を掛けた瞬間、「触るな❗」と木島は、城戸を突き飛ばします。少しの沈黙…
「で、もう1つは何だよ?」
「もう1つは、君が自分の仕事にプライドなんかなくて、そのプライドの無い仕事を僕に紹介した、って事だ。自分の仕事をバカにするような奴と、よく結婚なんか出来るな?それに、先生の原稿が転職の交換条件?仕事を取る為に僕を出しにして、それも全て、結婚の為だったって事か❗」
涙を堪えながら、思わす大声を出してしまう木島。
城戸ににじり寄り、顔の前で城戸に「最低だな、お前」
木島は、コートを着始めます。
「でも、君って昔からそういう奴なんだろう?他人の顔色ばっかり伺って、自分の好きな事なんて、出来やしない。信念も貫けない、いやむしろ信念なんか無い、ぺらっぺらな人間なんだよ」
城戸は、初めて木島を睨み返します。
「なんだ?悔しいのか?信念は無いのに、プライドは一人前にあるんだなぁ」
城戸は、悔しさと自分のした事のジレンマで、涙ぐんでます。
「お前の様になれるかよ。皆がお前のように、生きられると思うなよ❗」
木島に掴み掛かる城戸。

「世間なんか、将来なんか知らねぇって顔で、好き勝手、ワガママ放題で、空気も読まねぇで…くそっ…くそっ…くそっ…」
それを許す「特別な才能」があって、情熱があって、孤独を恐れない強さがあって、お前みたいになりたかった…
城戸は、木島の胸に顔を埋めてしまいます。
お前といると俺は、自分が嫌んなる。
木島は、その城戸をじっと見て、彼に言います。
「そうかい、気が合うなぁ。僕もお前みたいな人間、ヘドが出る」
城戸を押し退け、とっとと荷物をまとめて僕の家から出て行け、と言って木島は部屋を出ました。
毎回、冒頭から激しい木島と城戸よね~
3月いっぱい、雨と寒の戻りに苦しめられた。
蒲生田の病室で、執筆しながら世話をしている木島。
春の寒さが憎らしい。春は、一雨ごとに暖かく、蒲生田先生の様態は一雨ごとに、悪くなっていった。
城戸は、蒲生田の病室を訪れます。
「先生、先生」
彼に気付き、目を覚ます蒲生田。身を起こすと蒲生田は、まだ原稿が渡せずすまない、もう少しで完成だが、集中出来なくてなぁ、と言います。
先生の気の済むように、未完でも出すから、と言う城戸。そういう契約だったようでした。
蒲生田は、城戸がこの仕事か終わったら、転職する事を、理生から聞いていました。
城戸は、謝ります。
蒲生田は、仕事だから気にするなと言いますが、
「お前、あいつとは学生からの付き合いなんだろう?仕事とか抜きでよぉ、これからもあいつの力になってやってくんねぇかなー」
蒲生田は、木島の事を心配していました。良い物を書くが、もう少し力をを抜いて、図太くならないと潰れてしまう。
「だから、頼む。あいつの事を頼むよ」

城戸は、俺に出来る限りの事はする、と約束しました。
何故か、泣き出す蒲生田先生。
「悔いなんかねぇと思ってたのに。お前のせいだぞ、城戸!てめぇの軽はずみな思い付きが、こんな…こんなよぉ…責任取れ❗」
大泣きする先生。
大丈夫です、あいつの事は、大丈夫ですから…
頼む、頼む、と蒲生田は泣き続けていました。
しんどい、でもあいつはもっと…
城戸は、会社で社長に、転職を断っていました。ここに残りたい、ウチで作ってる物が好きだ、そう言って頭を下げました。
社長は、笑って城戸に「バカな奴、そのバカに免じて話を付けてきてやる」と行ってくれます。
屋上で1人、タバコを吸う城戸。
これで、良かったんだ。
蒲生田の容態が、悪くなりました。昏睡状態で2日目です。

病室に駆けつける城戸。
「木島…」
憔悴しきっている様に見える彼に、大丈夫か?と声を掛けます。
「なんですぐ、連絡しなかったんだよ?」
「うるさいなぁ…」
「お前、寝てないんだろう?酷い顔してるぞ」
「ほっといてくれよ」
「意地張ってないで、少し休め」
「イヤだ」
いいから、そこで寝ろと城戸は木島を掴みました。木島は思わず、城戸に掴み掛かります。
「その間に、何かあったらどうするんだよ!」
木島は、怖れていました。自分を受け入れてくれた蒲生田を失う事を。
「大丈夫、直ぐに起こしてやるから。交代しよう、な?」
木島を落ち着かせ、休ませる城戸。
目を覚ました木島は、少し眠れたようです。
蒲生田の側に、寄り添う2人。
「謝ろうと思ってた。色々悪かった。俺はお前に、誠実じゃ無かった」
「謝らなくていいよ、別に。僕が自分勝手に、バカな期待をしただけだ。君には君の事情があるんだろ、分かってる」
「城戸…来てくれて、ありがとう。正直、1人で耐えられそうになかった」
木島の肩を抱く城戸。寄り添う木島。

「先生と話したい事がまだ、たくさんあったよ。僕が昔、理想的な父親っていうものを夢想した時、それは先生みたいな人だったんだ。僕が愛する世界を愛し、理解してくれる人。その事を話したら、ゲラゲラ笑ってたよ。オレみたいな奴が親父だったら絶対、作家には成ってないだろうって」
「本当だな」

「どっちが良かったのか、って言うと、分からないけどね」
木島はそっと、城戸の肩から離れました。

「5日くらい前から、だんだん喋ってる事が支離滅裂になってきてさぁ、先生の明晰な頭からどんどん、言葉が失われていく事が分かった。もう、元には戻らないんだろうなって…」

涙を流す木島。
「辛かったぁ…でも、先生にはもう、必要ないんだよね、そういうものは」
木島は席を立ち、城戸に言います。
「先生の原稿、出来てる。僕が預かってるんだ。たぶん、暫く忙しいだろうから、少し落ち着いたら、取りに来てくれないか?」
「ああ、分かった」
明け方、先生は眠ったまま静かに息を引き取った。
※
木島の喪失感が痛くて、辛い回だったわ~

えっ
次回でもう、最終回

嘘~ん❗
